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方針

 

 あらあらあら。

 私ですか?


 全くもう、おバカのスマ子のせいで。


 恨み再び。

 振り返るとスマ子は光っていたが、私の感情に気づいたようで、その後、光は消えた。


 カコドの人間に悪意があろうとなかろうと、元凶はお前だ。

 肉が食いたい、言ったのは私だけど。



 主さんの話だと、貴金商(宝石店?しかし浮かぶ店の絵はアラビアンな雑貨屋)と、警備設備の二ヵ所で、魔力感知の魔法具が作動した。

 158年ぶりだそうだ。あっそ。

 あまり精度の高くない魔法具で『そこまで強い魔力を放っていなくても、触れれば作動する、カモ』と言われて()いた。

 魔力持ちを連れて来なければ試せないので、真実かはわからない。

 そう、言われていた。今までは。


 それが作動した。

 最初は、作動自体が人間側の勘違い。

 それをまず疑ったが、それを魔法具と知らない人間でも、いつもと違うと断言する。

 次に誤作動を疑ったが、ほどなくして同じ街で同じ日に反応した事がわかると、一部街の上層部は混乱したらしい。


 そしてその日、街に怪しい見知らぬ人間が突然現れた。

 この辺の人間じゃない。

 街全体に公表しないまま、船二隻が海賊狩りに出た。


 と、いう事らしい。



 こう聞くと、私がすごく怪しい。


 でも主さんの朗々たる語りっぷりから、そう仕向けてんじゃないの~?と疑心暗鬼にもなる。


 だってさぁ~。

 不可抗力だけど、ある意味ではアナタ方はやっぱり海賊の仲間じゃ~ん?

 ん~?


 魔王が出張ったから「我々良いこでーす」言い出した感、あるんじゃん?


 私1人なのに海賊ってなんだよ。

 どんだけボッチなんだよ。

 ボッチなのは真実だけど。

 私は魔王じゃない。

 無理よ。

 1人対、街。


 異世界の海辺を舞台に1人巨悪と戦う海賊ボッチ。

 ……アリか?

 ナシだな。

 ない。無理。


 そもそもボートも自分じゃ漕げないもん。


 よく小説とかで『同じところをぐるぐる回っている』とボートの描写があるけど、あれ、ホントに回るんだ。

 やった事あるんだけど、出発地点からあんまり離れてないところで、まっすぐ進もうとして何故か回ってばかり。

 時間がなくなるから、少し進めるようになっても、もうあまり遠くへ行けない。

 ぶっちゃけ歩いた方が早かった。

 あとその方が景色も見れた。


 だから海賊は無理。

 ボート以外は動かし方も知らない。

 残念無念、漂流一択だから。


 ほんとのホントは、船が理由じゃないけどね。

 山賊になったって、襲う前に1人で転びそうだから。


 つまり今まで通り、ただのボッチだ。


 ってか、こんな事どうでもいいんだ。



 いやいや、白服は?

 普通に街中歩いてたじゃん!

 連日、反応しまくりでしょ?!


 遅ればせながらツッコミを入れると、頭に『ソレもはや街の端じゃん』という位、普段から遠回りして歩く白服が浮かんだ。

 効率悪っ!


 慎重も過ぎると滑稽である。


 ノープランで上陸して、海賊を呼ぶ一因を作った私が言っちゃいけないけど。



 私は主さんの続く説明に、疑心暗鬼になっていてちょっと興味を失っていた。

 自分のことなんだけど。



 ちょうどその頃、イカさん先生の魔力を感じた。

 たくさん貝王様が映像を並べている近くに、イカさん先生の魔力の白い丸い光が現れた。

 私にも聞こえるようにしていてくれるが、どうも貝王様に声をかけているらしい。


 どう思う?と二人で話し合いが始まった。

 あくまで向こうに気づかれないように、私には少し漏れて、状況を追っていけるように。


 お二人で主さんの話を聞き漏らさないようにしつつ、白服に気づかれないように魔力を調整し話し合いを続ける。

 魔力の感知、制御以前に、私この知能からして無理だな。

 話を聞きながら頭の中で会話。すごいな、どうやるの?


 海の中で、詐欺対策なんてしたことあるんだろうか?と思ったけど、やっぱり知能の高い生き物もいるから、あることはあるらしい。


 詐欺ってゆうより嘘つき対策?

 大半は「食べちゃダメ」って言われても、魔王がいる目の前だったら我慢できても視界から外れた途端に我慢できなくて、本能のままにを襲っちゃう、とかいう、単純なものらしいんだけどね。

 鳥頭ね。 海洋生物なのに。


 自然の中のこととはいえ、生物が一方の捕食者のみ大繁殖して、捕食される側の方が絶滅の危機に瀕したりする、なんていうこともあるみたいだ。

 温暖化しなくても、色々あるんだね。

 そういう時に海の多様性を保とうとして、できるだけ取りすぎないように、って言うんだけれども、単純な生き物の方が9割方を占める。

 まあ本能で生きてるからしょうがないんだけどね。なきゃ餌がなくて死んじゃうしね。


 それに対して、知能の高い者は何と他の海域まで持ってって、高く売りつけるような行為もするらしい。

 人間じゃないのに売りつける?と思ったりするんだけれども。

 例えば、貴重になっててとっても美味しい食べ物(生き物)がある。

 お隣の魔王同士で「これは食べちゃいけません」と決まったりするんだけれど、それが大好物の生物の前に持って行ったりとかして。

 そして魔力値の高い餌の場所を教えてもらったり、とか。

 もっと色々狡猾なのもあるみたい。

 どっちにしても、厄介な事だ。

 環境保護する魔王も大変……。



 お二人は、同時進行で色々なことをやっているのでそれ以上私にも分からなかった。

 わざわざ教えてもらわないとね。

 海の中の様子だけ見てても私には、そもそも判断がつかないから。



 とりあえずの結論としては『どんな裏があるかわからないけど、一旦、信用しないという方向で近づきすぎない方がいい』という話になった。

 と思う。多分。


  あの財宝の中には、黙っている分には無害なんだけれど、相手のことを害しようとしたり約束を破ったりすると、呪いがかかるという真珠なんかもあるみたい。

 すげえな、真珠。

 凄すぎない?怖いんだけど。

 恨みが結晶化してんの?

 産出した貝さんに生前、何があったの?


 一見正直そうに見えるけれども、ただ単にそういった罠を警戒しているのか、そもそも知っていて返した可能性もあるから、と。

 知っていたとしたら、かなり海の情報について詳しいから、自分たちの身も危うくなるかもしれない、ということだった。


 すごいな、高度すぎて私にはほとんどわかっていないけれど。

 お手数をおかけします。

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