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来船

 


 次の日、コンコンとなった音に反射的にビクッと起きた。

 怖くて怖くて固まっていたけれども、その時にゆるゆると知ってる感じがして、自分にも魔力がある事を思い出して気配を辿ってみる。

 すると、イカさん先生だった。


 とっさに魔力珊瑚を見たけれども、(ちゃんと寝返り打った時に壊しそうにない場所だけどね、 枕元の近くにある )それを見ても別に光ってはいない。


 そんなに緊急性はなさそうだ。


 イカさん先生が来て危ないっていうことは今までなかったけどね。

 なんせ襲撃中に現れて、助けてくれたぐらいだったから。



 窓を開け、イカさん先生に挨拶しようとして止まる。


 先生の向こうに、夜明けの空と、何か。


 遠いが、魔力が作動して、突然目の前に画面のように、大きくあらわれて見えた。


 船だ。



 ……また?


 海賊だろうか。


 今は、海の上にカーサフクダだけが浮いているのではない。

 どう考えても、自然に見える島だ。

 これは海賊の拠点にするのに持ってこい、だよね。

  ここに食べ物があるとか、水が湧いてるかどうかは別としても。



 私は来られると困るけどね。


 そういえば……いたな。

 人間がいたわ。島ができた時。

 壁があるって言ってたような気がしたけど、島まるごとにあるのかな。

 どーゆー感じのバリアなんだろう?

 攻撃しなかったら通れるのかな。



 なんで後から聞いておかなかったんだ、私。

 いや、もういっぱいいっぱいでさ。

 あ~もう!

 あの時は疲れてたとしてもさ!その後。

 食べてばっかで!

 陸地ができてカーサフクダの中も全部行けるようになったのに、探検しなかったけど。


 どっちの方から、どう逃げたらいいの?


 それを教えに来てくれたのかな?

 それとも、友達?とかいう感じで来たのかな?

 イカさん先生は。



 先生を見ると、コクっとうなずかれた。

 口に出さなかったけど、頭の中のぼやきへの返事?



 どうしたらいいかわからないので口に出して聞く。

「いいえ。誰とも約束していません。

 誰か訪ねてくる、という話も聞いていません」


 すると、イカさん先生はまたコクッとうなずく。

 いつものようにニコニコとして、ウンウンなずいてるのとはやはり様子が違う。

 やはり緊急事態らしい。


 困ったね。どうしたらいいんだろう。


「先生、あの船がこのまま通り過ぎるっていうことはありますか? 私はこの海に来てからあんまり船を見たことがなかったです。」

 海賊に衝撃された時以外。


「このままこの島が見えずに、通り過ぎるんでしょうか?」


 そう聞くが、イカさん先生はふるふると頭をふった。


 滅多に船は来ない。

 あれは、中に人間がいるんでしょう?

 ほとんど来ないよ。

 と。



 ……海賊かな?

 それとも主さん達が、恩を返せってきたのかな?

 海賊の方が可能性が高いか。

 嫌だ。


「どこにどう逃げた方がいいでしょうか?

 私、海賊に来られても戦えません。」


 するとイカさん先生が、最悪の場合は船をひっくり返して波で流しちゃうからこのままの方がいい。

 見えていないのだったら、可能性は薄いけれどもそれでいいし、この壁の中の方が安全だから。

 と。


 やはり島全体に、貝王様の壁がかかっているらしい。

 その中でもやはり、カーサフクダの中に壁が残っていると。


 そういえば、説明してもらった気がするな。


 要は、このままが安全っていうこと。


 どうしたらいいかわかんないで着替えた。

 着替えたが、それはすぐに終わる。

 よくわからないけれど、髪を100均の髪留めでとめて、なんかとりあえず顔を洗ってきた。


 顔洗ってどうすんだよ、そう思うんだけどね。


 靴を履こうかと思ったんだけれども、逃げる時って靴が大事だからね。

 でもはっきり言って、寝室の窓からの方が見えるんだ。

 だって、この窓の方角から船が来てんだもん。


 外に出てもいいように、リュックにハンカチ だのを入れていく。

 あんまり余分な、重い物を持っても困るけれども。

 空になってるペットボトルを洗っておいたやつがある。

 よかった、ちゃんと洗っといて。

 一応、乾かしといたんだよね。

 本当はメーカーは、使用済みを使いまわすのを推奨してないみたいだけど。

 とりあえず、それに水道水を入れて周りを拭いて、リュックの中に入れた。


 携帯も入れようとするんだけれども、充電器にささったまま。

 これがまたグネグネと、なかなかうまくとれない。

 何でタティングレースとかは、図書館から本借りてきてわざわざやってもできないのに、携帯の充電器のコードってこんな簡単に絡まるんだろう。

 イライラする。


 物に怒っても仕方ないけど。


 焦ってる。

 自覚はある。


 どのぐらい役に立つんだか、わからないものを用意してリュックを背負ったまま、もう1回窓に戻る。


 イカさん先生は、窓のそばについていてくれた。

 船の方を見ている。


 私も船を見ると、ぐんぐん近寄ってくる。


 この大海原、海しか見えなかったから今まで距離がわかんなかったけど、意外と小さいのかな?


 そんなわけないか。

 あの船が早いのか。

 風がどっち向きなんだかよくわかんないけど、凄い速さだな。



 怖いのに何もすることはない、とか黙って待ってるって、私苦手なんだよね。

 そわそわしてしまう。

 逃げたいけど、ここが一番安全って言われると。


 今、思いっきり窓開けてるけどさ。


 どうなんだろう。


 でも海賊だったら別に、船から砲撃とかした方が楽だよね。

 この島が見えてるとしたら、の前提だけれども。

 それとも島に誰もいないと思って侵略する気なのかしら。

 それは侵略って言わないか。

 自分のものにするつもり、か。


 どうなんだろうな、ここ。

 水は湧いてんのかな。


 でもスーパーあるんだから困んないよね。

 困るのは私。



 船は一直線にこっちに進んできているように見えたけれども、どうもカーサフクダの方向とは別の方に行ったみたいだ。

 まあここ、船つけられないしね。

 どこで座礁するのか私は知らないけども。


 すごく嫌な気分だ。

 何なんだよ、どっち行くんだよ。

 でも、知らないところから入り込まれても困る。

 入り込まれてって言っても、私ほとんどのこの 島のことをまだ知らないけど。



 じーっと待って、イライラしていたら、船が見えなくなった頃、頭の中で映像が浮かんだ。

 どうもあの船が、この島の入江のような場所に入って行ったみたい。


 あるんだ、入り江。


 ていうかさ、魔力は便利だね。

 頭の中に浮かぶ。


  だが、そこからが長かった。

 船というのは、すぐに下りられるたものではない。

 港が整備されているわけじゃないから。

 深さを測りながら色々潮を見たりして、小舟で降りて、それから入江に入って。

 何だのかんだの、いろいろやっている。


 これを黙って待ってるのも、すごーく嫌な感じだ。

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