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焼魚

 


 このお魚さん、

 言葉がわかるのかな?


 それとも魔力が通じているのかな?

 私の決意がわかったのかな?


 よくよく見ると、どうもお魚さんはうっすらとだけ魔力を帯びているようだった。

 お魚さん、ごめんね。

 通じてたね。

 どうやったって多分、通じるね。


 (さは)(づら)いなって思って君を見たからね、ごめんよ。


 先生に、ちゃんと今はご飯も食べます、今日の夜はちゃんと、もちろんたっぷり、たっぷり寝ます!

 と誓い、とりあえずお魚さんをもらってご飯にする。


 結構、必死だ。

 また夜になっちゃう。

 いや、正確には夜じゃないけど、夕方になっちゃう。

 それはさすがにまずい。

 昼にこのままご飯を食べて、もし昼寝したら絶対夜寝れない。

 でも眠くなりそう。


 そしたらまた、同じことの繰り返しだ。



 昨日の伊勢海老風紫ガニで、……あ、違う。

 エビだ。紫エビ。

 散々苦労して大変だったので、今日はもう始めから、昨日見つけた料理ばさみを使う。


 首を一発で切り落とせないので、初めにピッチピッチャするお魚さんの首のあたり、何て言うの?エラのあたり、あれにハサミをブスッと垂直に刺して、それからハサミで切る形で落とす。


 しかし立派なお魚さんで、ハサミでなかなか切れない。

 包丁の方がマシなんだろうか?


 どうしよう?

 ハサミで挟んで押さえつけたまま、切ってる途中のその横に包丁を入れて、頭を切り落とす。


 急いではいるけど。

 とにかく、怪我がないようにしないとね。


 どうなってるかわからないから、腹の辺りを()()を取るため斜めに切り落とす。結局、これも包丁を使った。

 が、それで綺麗にとれているかわからない。

 とりあえず、水で洗い流す。


 切り落としたお魚さんの、頭の目がこっちを向いている気がする。


 ごめん。

 でも私もね、洗いながらね君のね、小骨が刺さって痛いんだよ。


 血が出なくなるまで洗い、塩を両面にたっぷりふって、アルミホイルを皿代わりに折って魚を乗せてトースターへ。


 魚焼き器、ないのだ。


 魚焼きがついてた物件は、キッチンが奥まっていて、換気扇だけでは煙の警報装置のアラームが止まらなかった。


 その次のキッチンに窓もあった物件は、ガスコンロしかなく、トースターがあるのにわざわざ買うのもな、で終わり。


 カーサフクダの場合。

 以前毎日カレーを作ってた方々は壁紙に匂いが染み込んでたから張り替え代金を請求した、と言われた。


 怖くて魚が焼けなかった。


 でもこの調子だとこれからは、魚焼くの、多い気がする。


 あーご飯、昨日の残ってて良かった~。


 あれ?刺身の予定じゃなかったっけ?



 ……ま、いっか。

 もう、どうもならないし。


 昨日は、ただただ楽しんで食べたけど、今日は美味しんで味わいながら、少~し時間を意識する。

 冷蔵庫の中もチェックせず、ご飯、塩焼き魚、醤油味昆布、水。

 並べて食べた。


 ご馳走さまでした!


 うまいな~、ここの魚。


 台所事情、というのか?

 さまざまな大きくも小さくもない要因が重なって、焼き魚は就職して実家を出てから、外食で食べるものだった。


 でも、この海で食べるのが一番美味しく感じる。

 外食で食べると、この値段でこんな感じか、とか意識するつもりがなくても考えちゃうせいだろうか?


 でも、お金出せば座ってても温かい美味しいものが食べられる、って大きいよね。


 貰ったものだから?


 でもお返しとか申し訳なさとか、そわそわするよね?貰ったものって。


 イカさん先生を、お返しとか考えつかない程、自分より上だと思ってるから?


 実際に身長?体長から、年齢(の概念は正確ではないが、どのみち生きてる年数は)まで遥かにイカさん先生が上だけどね。


 贅沢な日常だな~。



 魚臭いかと思ってシャワーを浴びようかと思ったが、外出したらどのみち帰って風呂かシャワーを浴びるので、止めた。


 思ってたよりは外は涼しそうだが、蚊には刺されるだろうから。残念ながら。


 室内で使用すると喉が痛くなるので、なかなか減らなかった蚊取り線香に火を点ける。


 入れ物兼香台みたいな缶ごと持っていく。

 持ち手ついてるから。


 自分で持ち歩くからどのみち煙を吸うのだろうが、室内で窓開けて使用するのとは多分、風の流れが違うだろう。

 知らんけど。



 堕良ッ熊(だらっくま)リュックに無駄に財布とかも入れて、水筒に水入れて持ち、玄関で靴を履いている途中、ふと気付いた。


 動きながら頭の片隅で、ファーストカーサフクダの方にも人いないよね~ゾンビもいないよね~?とか本気ではないが考えてると、気配が。


 例によって、気配とかわからないから、魔力に集中すると、イカさん先生だ。


 今までずっと知らなかった感覚だから、魔力に集中するのは結構疲れるのだ。

 だからイカさん先生や貝王様と話している時しか、いや一緒にいる時かな?一応ね魔力に集中したことがない。

 だいたい1人だからね。


 だからイカさん先生からお魚をもらって「ありがとうございました」と頭を下げ窓を閉めたりの後は、全然もうそんな感覚を追っていなかった。


 ちなみに貝王様の魔力珊瑚は、本当に魔力を流している時以外はどんなに集中しても魔力を感じないという貝王様の技量の高さを伺わせる素晴らしいものである。

 今もやはり気配を感じない。

 と考えれば、頭の中に光っても何ともいないその姿は玄関からでも思い浮かぶ。

 けれどもこれは、頭の中で魔力で検索してるだけだからね。現状を。


 履く途中の靴をやっぱり脱ぎ、寝室にリュック背負ったまま戻る。


 貝王様が魔法を固定しているようで、今朝も窓は明るく半分くらい青いまま、大きなイカさん先生の白をうつさなかった。


 今もそうなので、外にイカさん先生の魔力が在るが、目視では確認出来ない。


 忌深子(きみこ)さんもまだいる。

 少し遠い?


 ガラリ。


 イカさん先生は、足で掴んだ毅水子(きみこ)さんを高く持ち上げていた。


 

また投稿出来てなかった(+_+)

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