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海の幸、再び

 


 ニコニコとしたイカさん先生の、小さく見える背後の方に何か。


 イカさん先生はデカイので、結構近くにいるともうイカさん先生しか見えない。

 

 その、わずかに見えているイカ先生の背後の方、結構遠くにイカ先生の足で吊るされている黒いものが見えた。


 ……毅視子(きみこ)さん。

 何やろうとしたの、今度は。


 海の中での出来事なのか何なのか、私には不思議に思っても、頭の中に何も浮かばなかった。


 先生たちが魔力で隠そうとすると、私には多分もう流れ出てこない。


 しかし私の方は流れ出まくりらしく、やはりかなり気を張らないと流出してしまうみたいだ。


 どうしようか。

 頭の中身がねえ、単細胞なのにね?


 そういうわけで普通に夜更かしして、一睡もしてなかったことがバレた。


  イカさん先生が、ニコニコとしたまん丸なお目めをちょっと、キッと釣り上げたので私にもわかった。

 先生に分かってしまったということが。

 さらに魔力でも私の中に流れてきた。

 魔力ってすごいね。


 なんかこう……壁がないね。


 個体同士の。

 困ったね。


 人類補完計画みたいで、早く魔力の抑え方を覚えたい。

 それが難しいんだけどね。

 あと人類補完計画がどういうのか、あんまわかってないけどね。

 なんか溶けてた。昔。




 メッ!と叱られる私。


 イカさん先生の足は、たくさんあるわけなんだが、それをわざわざ両側1本ずつ曲げた。

 腰に手を当ててるみたいな、あの怒るポーズのやつだ。

 怒るっていうか叱るポーズ、みたいなやつ?


 先生、すみません。


 たっぷり食べる約束はしたけど、そういえばたっぷり寝る約束はしてなかったような気がするな。

 気のせいかな?

 まあいいか。

 ギリギリセーフか。


 でも謝らなきゃいけない。

 怒られている。




 ごめんなさい、先生。




 もう、しょうがないなあ。

 という感じで謝って一通り反省すると、先生は怒りを収めてくれた。


 怒ってますよ!っていう感じを、魔力でこっちに流していただけなのかもしれないけれど。



 そして「さあどうぞ、いっぱい食べるんだよ」と、またもグルグル巻きにした足を皿のようにして、そこに乗せたたくさんの魚介類たち。


 昆布?とか魚がピチピチとか。

 あとカニさんとか海老さんがハサミをカッシャカッシャ鳴らしている。


 これ、もはや軍隊じゃん。


 先生、勝てません。

 全然勝てません。

 昨日だってあんなんだったのに。


「ほーら、美味しいよ」という先生の魔力言葉?感情?

 そして私が美味しく堪能した事も、先生にはすでに伝わっているようだ。


 はい、とても美味しかったです。

 でもすごいですね?

 いいの?海の生き物、出しちゃって。


 どうしてもシュールに感じてしまう。

 先生はそれでも美味しいよ、と差し出してくる。

 こう……自慢の海の幸!みたいな。


 漁師?


 そりゃ、この海の幸は先生が漁をしたんだろうけれども。


 いいのか?

 これでいいのか?


 貝王様もいいみたいだけどね。


 海の中でそうやっていろんな生き物が、食べたり食べられたり循環してるんだもんね。


 それは平気なんだろうね。


 ていうか貝王様、食べられるのが平気なら、わざわざあんな大仕事の城作りまでして、何をどう守りたかったの?

 外敵?

 何に対して?


 魔王って侵略戦争みたいなのするの?

 他の魔王の領地に忍び込んだり、侵入したりとか?

 何のために?

 忌深子(きみこ)さんみたいにいろんな性格がいるからあるのかな?


 うーん、でもそれだと、いちいち夫婦喧嘩……では正確には違うけど、口げんか?くらいで皆わーわー?!とかならないもんね。

 どういうことだ?



 外敵、ってーと。

 じゃあ人間?

 こんな大海の中じゃ、人間がなかなか脅威にはならないと思うけど。


 それともこう、根こそぎ命を取ってって無駄にしちゃうような、底引き網漁みたいなのはあるの?知らんけど。なんか珊瑚とか折られちゃうとか聞いたような聞かないような。

 漁の種類がわかってないけどさ。

 底引き網って無駄とか出るのかしら?

 とったもの全部を食べたりすんのかな?


 でも、そんな大型船ないよね?


 電気とかの動力がないと重しとか持ち上げたり出来ないんじゃないのかな。

 でも船に電気を搭載する前からそういうのあったのかな?


 捕鯨船とか?

 それこそ産業革命前、だよね?


 それはいくつもの船は総がかりでやったわけでしょ?

 捕鯨はできるんだったら、大がかりな漁も出来るのか?


 いやいや、捕鯨してんのか?


 うん、わからん。


 もっとずっと単純に、城は台風対策かもしれないしね。


 まあいいや。




 とりあえず目の前のことですね。


 とりあえずエビはとっても四苦八苦した。


 カニもきっと四苦八苦する。


 貝は茹でただけで食べれてよかったんだけれども。


 そういうわけでどうしよう。

 貝をもらえばいいのかな?


 昆布、実はまだ残ってんだよね。醤油かけた、煮物でもないけどおかず。


 結構デカかったから。

 普段、出汁から作ってないし、余るからな。

 だからもう昆布はとりあえずいいとして。


 いや、野菜は食わなきゃいけないのか?

 人間、ビタミンとらなきゃいけないんだよね?


 そこまで手を掛ける時間はない。


 刺身、ってビタミンCだかがあるんだっけ?


 目についたので、とりあえず。


「じゃあ、すいません。

 お魚を1匹」


 そしたら、近くでビッチビッチしてたお魚さんはえっ!?て顔をした。

 表情、豊かなんですね。

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