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贅沢海鮮定食

 

 えー、それでは!

 伊勢海老さんに茹で上がっていただきましょう!


 動くやつを何とかしないと。

 貝達後回し。


 伊勢海老かも知らんが。


 これで大事なのは、きちんと鍋を用意することだ。

 何言ってんだ、って思われるかもしれないがな、体全体がちゃんと入って浸かるぐらいの鍋を用意しておくことのは必要なんだ。


 そうじゃないとな。

 伊勢海老は近くで見たことないんだけどな、カニを茹でた時の経験から言うとだな。

 カニが地獄風呂から脱出しようとしてね、そりゃ大変なんだよ。


 武器?防具としてだとね、とっても役に立たないみたいな扱いされるけど、鍋のふたって重要なんよ。


 蟹もまさしく生きるか死ぬかだからね。


 それはグツグツなってくるとね、なってこなくてもね、脱走しようとして大変なんだ。


 それを、それはもう決死で押さえつけるわけ。


 鍋のふたの戦いなの。


 ふた自体に重さがあるんだったらいいけどね。

 それでも時々、よいしゃー!って弾き飛ばす強者がいるのだよ。


 カニ、強い。


 一匹ずつ茹でると違うのかな?


 熱湯の鍋で暴れられると危ないから、つきっきり。


 火をつけた鍋から離れるな?


 違うよ、横で洗い物も包丁も全然使えないって意味だよ。


 出来れば菜箸かトングも装備すると良い。


 こっちで最後の力を振り絞って突撃(押さえつけるふたに)している間、鍋の円の反対側から出るやつがいるから。



 五右衛門がどんな最後だったかわかるね。

 石川五右衛門、知り合いじゃないけどね。


 これは結構な戦いなわけよね。


  うーん、かーなーりーちっさい頃は茹でた毛ガニなんて冷蔵庫に入ってたおやつみたいな感じだったんだけどね。

 高級品になり果てて、全然手が出なくなったね。

 たまに食べても実入りが良くない気がする。


 懐かしいわ。



 今やブッフェをグレードアップした時にようやく、時間をかけてほじほじして食べてるようなもんだけどね。

 ビュッフェに毛ガニはあんま見ないから、ズワイガニなのか何なのか別のカニだろうけど。

 金額がね。

 私が行けるような安いところだと、あんまり良くないんだよね。

  安くはないんだけどね、私の財布的には。


 一般的なカニが食べれるビュッフェから考えたら多分、安い方なんだろう。

 でもそうじゃなきゃ行けないから。



 しかしここで大問題です。


 伊勢海老というのは別に近くで見たことも触ったこともないけれども、大きさの基準も知らんけど、デカイ。

 なかなかこの大きさの入る大きい鍋はなかった。


  フライパンに入れても多分こいつ、入りきらないよね。

 ハサミを持ち上げるだけで脱出できるな。


 困った。

 まず、真っ二つにしましょう。



 ん?


 刺身で、良くない?


 捌けないから、ついカニと同じく、茹でる一択しか思いつかなかったけど。

 ってかカニ刺しも好きなのに、カニイコール茹でる、しか思いつかないけど。


 このままでよし?


 この殻がなければいいんだよね?


 寄生虫とかどうなんだろ?


 …………刺身って、どうやるの?


 えぇ。

 実家では母まかせ。


 自炊では海鮮、食べません。


 おーと!

 危機を察知したか、暴れ始めたーー!


 うん。


 もし茹でるとしたら、もうしょうがない。


 真っ二つです。


 ちょ、暴れないで。


 バスタオル巻きのまま、押さえつけ、床にまな板を置いた。

 手を緩めないようにしながら、バスタオルをめくって、半分の位置ではないかもしれないが、包丁で切る。


 自分がケガしそうだから。


 バスタオルごと半分を持ち上げて、流しに置く。

 頭のほうだ。


 これから、どれくらいの時間、動くんだろう?


 ま、いいや。

 脱出まではしないだろう。


 伊勢海老の生命力知らんが。


 残った方をまな板ごと持ち上げて作業スペースに置く。


 少しは片付けといてよかった。



 ちっさいエビしか知らないから、こんな鎧みたいな殻のむき方わからない。


 何とか刺身っぽくはなったが、疲労困憊。

 身も結構、ボロボロ。

 もったいない。


 あ、エビの身ね。

 私じゃないよ。



 ちょいと一口。


 あまーい!

 うまい!

 弾力があって甘エビより好きかも!


 って、そう思う人が多いから高いのか。

 量も違うしね。


 色も茹でなくても、殻赤くてめでたいし見栄えするしね。


 伊勢海老はね。

 これ、ガチ紫。


 殻の色見ると、ちょっと食欲減退する。


 身は白くてよかった。


 異世界だから伊勢でもないし、エビなのかもわからんが、味はエビ。

 美味しいエビ。


 エビですらなかったら、もはやエイリアンじゃん。




 あー、刺身ならご飯欲しい。


 炊こうかな?


 今から?


 パックご飯もうないんだよね。


 ちょっとずつ使ったもの増えるって、どれくらいの割合?


 ま、無いものはいいか。


 炊く。


 無洗米に水入れて、浸水しないで早炊き。




 お預けになってしまった。


 どうしよう。


 炊けるのを待ってる間、このIHクッキングヒーターで、貝と昆布の汁物でも作る?


 でも二つ同時に使ったらブレーカー上がっちゃうんだよな。


 電気代がこわい。

 再起動に電力くうんだよね?


 いや、もう電気代請求されないからいいのか。


 いや、引き落としがまだ出来る予定でも、電気代がもっと上がったのかどうなのか、わかんないじゃないか。

 向こうのニュースが見れないんだから。


 こっちにいる間に、もっともっと物価が上昇しているかもしれない。


 物価の上昇 恐ろしや。



 ってか、向こうの世界のカーサフクダの中にマナが溜まり始めて、それを解放する意味でも融合したエネルギーで島を作ったんだから、もうこの設備もこっちの世界の物?


 今、何も考えずに水道使ったが。



 試してみるか?



 世界まで変わったんだから、もう怖いもんはないよね。


 嘘。


 めっさ怖い。


 1つ目とか。




 ま、いいや。


 いっけーー!


 ポチ。


 温めを始めたが、ぶちっと止まる音はしない。


 炊飯器の炊飯中ランプもついたまま。



 多分、30秒くらい経ったよね?


 これ、いけるんじゃね?



 そわそわしたが、結局、鍋の中は煮えたち、汁物は出来上がった。


 イィエ~~イ!!


 出来上がった豪華海鮮定食は、味噌汁の味噌が少なかったけど磯の汁物という感じでけっこう美味しかったし、刺身はちょっと表面がカピッとしてしまうかと思ったがそんな事はなく、めちゃくちゃ美味しかった。


 ハデ謎昆布は、ご飯を運んだり、箸用意したり水持ってったりの合間に、適当に汁から出して、醤油かけてレンチンしたが、かなり美味しかった。

 もしかしたら一番気に入ったかも。

 甘いエビ刺しの後だから?


 ちなみにあんなにハデだったのに、火を通したら真っ黒になった。


 異世界ごはんですよ?


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