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4日目

 

 皆さーーん!

 こーんばーんわーー!

 海の上、四日目のさちこさんですよー!


 現在はぁ、夜です。

 うふ。


 ……あぁ、自分がうざい。






 突然だが、私は1人の時間というものをこよなく愛している。



 1つ強く主張したいのは、

 『1人が好きイコール人類とにかく皆嫌い、ではない』という事だ。


 人との時間の10倍、1人の時間が欲しい。

 これに尽きると思う。


 なんでもかんでも『1人が好き』と言えば、コミュ障の社会不適合者だと決めつけないで欲しい。

 まぁ私はそのコミュ障だがな!



 友達と久しぶりに会う時間。

 家族と旅行に行く時の何気ない会話。

 仕事の繋がりしかなかった方がふと話す故郷の思い出。


 これらは1人大好き人間にも、時折きらきらと光を持ちそうなほど大切な記憶、時間なのだ。


 ただ相手が好きでも、人といるという事はとてもとてもエネルギーがいる。


 苦しんでいる人がいるから口には出せないが、コロナ禍で外出自粛でお誘いを断る必要がなくなってどれだけホッとしたか。

 ……久々に人とランチしたら2時間で結構な頭痛がして、別れた後速攻帰宅しダウンしたが。何という弊害。夜まで起き上がれなかったよ。


 家族は生まれた時からいるから何とか大丈夫だが……いや、親とかぶつかるから無理。

 私が同居がなんとか可能なのは、姉くらい。

 親は個人差はあると思うが、普通に昭和の田舎産まれのせいか男尊女卑。

 私はその親の環境で親にそう育てられても、物心ついた頃からとにかくその考えが大嫌いで無理だった。

 うちは女兄弟、つまり2人姉妹だから比べることもなく虐げられてもいないのだが、小さい頃からそれらしい言葉、風習、全部駄目だった。

 ことある(ごと)に「やっぱり女はダメだ」と母親が言ってればそうもなるか。

 家族でも生まれつき性質が異なるというやつだ、多分。

 要は家族も慣れてるけど無理め。



 まぁとにかく、人といるととても疲れる。

 ギリ大丈夫なのは姉。


 その姉と暮らすために引っ越しの準備っていっぱいあるでしょ?

 人とやりとりするでしょ?

 その間、仕事もあるでしょ?

 繁忙期だったから、いったいいつ休む気なのか、引っ越しの進捗、せっついて訊かれるでしょ?

 新居に入ったから姉と暮らしてるでしょ?(何故かいないけど)


 どうなるか、ってゆーと。



 開放感すごいよねーー!




 普通は。


 いや、私の感覚に同調してくれる人がどれだけいるか知らないけども。

 この流れでいったら。


 カーテン閉じきりの閉塞感、結構あるけど!



 でも私は、1人になったら4.5日は機嫌良く過ごす人間なんだと思ってた。



 しかし流石、巨大なだけあって雄大なエネルギー(パワー?神通力?)があるのか。

 巨大目さん(?)がもしカーテンの隙間から覗いてたら……と思うと、おちおちトイレも行けない。行くけど。

 なんだか威圧されてるようにビクビク過ごすのだ。

 ちなみに電気、水道、ガス。 全部使えた。

 謎。

 水道は水を飲むのに使ってたけど。


 本も読めないし、スマホもいじれない。

 いや、スマホは電源入ったが、言語がわからなくていじれない。正確には。

 ネット繋がればと思ったが、アプリのアイコンも見知った物がなく、やっぱり変な字で何か書いててわからない。


 電話も通じない。

 ツー、ツーッと繰り返し、きれる。


 塗り絵も可愛くなくて、やる気スイッチ見つからない。


 つまり、閉じ籠もってるのに、何っにも気を紛らわせるものがない。


 妄想は常に人生の隣にあり、親友であり自分自身だが、この不穏な状態では、どんなに愛したキャラも遠くの彼方で降りてきてくれない。


 仕方なくシル○ニア○☆ミリーを握りしめたり、靴やお洋服を変えてるうちに、話しかけるようになってしまった。


 そこまでの時間、たった一日、24時間。

 ……多分そこまで経ってないし。



 いくらなんでも!


 さちこ、それは独り言よ!

 あんた1人で三役やってんのよ!帰ってきなさい、戻れなくなるわ!


 第3の佐知子(さちこ)か第4の早智子(さちこ)かわからないけど、焦りまくって叫んでいる。


 さちこは混乱シテイル。


 どうしよう。 私は寂しん坊だったのか?


 でもさ、沙千子(さちこ)

 私は誰か人類を探すべきなのかもしれない。

 このアパートにまだ残っている住人を。

 わかってるんだ。 1人ではどうしようもない。

 何も出来ない。


 せっかく体調が回復したのに、何も事態を把握しようともしていない。


 でもさ、もし。


 もし私が寝てたのがひと晩じゃなくて。


 私が知るより何日も経ってたら。


 この玄関の扉の向こうでは、少なくなるばかりの食料を奪い合ったりしてるんじゃないの?

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