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イカさんの解説

 




 私は、あの手紙やイカさんに好感を抱いた。


 だから来たのだ。

 ビビリなのに。



 でももう、すっかり嫌になっちゃったよ。


 帰りたい。



 招待主は、私の同行者と夫婦喧嘩(?)してるし。


 痴話喧嘩?夫婦喧嘩?


 バカップル?


 ケッ!




 あぁ、体までザワザワする。


 ザワザワするというか、なんかサワサワな空気を感じるというか。


 ちょんちょん。


 ん?


 今、誰か私をつつきましたかね?


 振り返る。


 誰もいない。



 ……ちょんちょん小僧?



 昔読んだ子ども向けの妖怪の本に載ってたな、そんなの。


 妖怪ちょんちょん小僧。いや、袖引き小僧だっけ?


 まぁどっちでもいいが。



 ちょちょちょちょ。


 なんか今度は四度突きできたぞ。


 だから、誰だ!

 と振り返り、


 カニとかエビとかばっかりだった、ここ、と思い出した。



 下に目を向けると、腰の辺りに白い小さなイカが浮いてた。


 はーい、というように、ゆっくりと外側の足を真上に伸ばす。



 お行儀の良い子のような仕草に、おや、気付かずごめんよ、と思う。


 さっきまでは、イタズラかと思ってたが。

 怒ってはいないよ。

 リアル妖怪でも驚かないしね。


 ビビるけどね。


 でも、この世界のファースコンタクトがなんたって気味子さんだもの。


 その鬼魅子さん、男(?)と討論会してるけどね。


 女の友情は儚いね。

 ホントに友情があったかはともかく。


 ってかあの二人は会話出来てんのか?


 貝さんがただのストーカーなら、いろんな意味で会話は成立しないけど。


 鬼未子(きみこ)さん、口ないけど。

 口は関係ないか。


 あっちには関わらない。


 私はこっちで妖怪体験ごっこを……



 ちょんちょん。


 ハッ!また脱線してた!


 このイカさん、私をわかってるな!




 ってか、似てる?


 イカさんは顔の高さに浮上してきた。


 ウンウン。


 ん?頷いてはるわ〜。


 いやぁ、でも大きさが。


 ウンウン。

 そして、一番右端の足で、自分自身をさすイカさん。


 え?


「イカさん?さっき連れてきてくれたイカさん?」


 ウンウン。


 えーー!

 大きさが何百分の一じゃん!

 そんなことしたら目が丸いんだから 本当に普通に可愛いよ!

  大きさ 全然違うじゃん!


  するとイカさんは、貝さんの方をさした。

 ちっちゃくて細くて長い足で。



 どういう意味 ?

 すみません 。あんまり 実は賢くないもんでね、 意味が分かんないですよ。


  貝さんも同じってこと?


  毅海子(きみこ)さんの方はさしてないよね ?


 するとイカさんは、私のそばではあったものの、少し距離は残っていた。

 それをもっと私に近づいてきて、そっと私に一番近い長めの足でほっぺに触れた。


 そうすると頭の中にぼんやり映像が浮かび始め、それが徐々にピントがあったようにクリアになり、海の中の白い貝のお城が出てきた。

 なるほど私が巨大な貝だと思ったのは、見間違いじゃなかったんだな。


 そして、貝だけど中身がお城なんだな。


  つまりそれが貝さんってこと?


 改めてイカさんの方を見るとウンウンとうなずいている。


 城で貝。


 うん。


 よくわからん。



 ここは何?


 竜宮城?



 イカさんは頭を傾げ、やっぱり外側の長い足で考え込むように自分の顔(顔?)に触れた。


 うーん、えっとねー、と聞こえてきそうだ。


 小さくなるとなおさらキャラっぽい。


 リアルイカは、絶対に外側の足が長いわけじゃなく、中の足が長かったりする。

 当然イラストみたいに足が横並びじゃないしね。


 こうして、キャラクターぽい生き物が顔の近くに浮いていると、アニメかなんかみたい。

 自分で、自分のことを俯瞰して見れはしないけど。



  ある意味、私も魔力あるんだから魔法少女だよね。

  いや魔法少女は嫌だな。痛すぎる。



  なんで、ちっちゃいと少女って言うし、歳をとれば 老女っていうのに、その中間はないんだろう。


 中間って何?


 魔法女?



 要は略して魔女だな。そのままだな。


 年代、関係ないよね。



 魔法中年女。


 魔法中女。

 チュウジョって言うとなんか、中将みたいだね。


  魔法中将、ちょっとかっこいいかも。

  いや、ダサいか。


 いやいや違うから。私、中二病は減退期だから、大丈夫だから!

 本気で言ってないから。

 何がしっくりくるかなと思ってるだけだから。



 ちょんちょん。


 あ、はい!

 またどうでもいい事を!


 なんか世話をかけますねぇ、イカさん。


 私のサポートの為に不完全変態したスマ子なんて、休みとってるのに。海賊襲撃中は喋ってたのに。


 水が怖いのかな?


 確かに充電してるからまだ家電(スマホって家電かな?)かもしれないけど。



 イカさんは、ちょんちょんは肩をつついたけど、今度はまた頬に触れた。


 頭の中に、また映像が浮かぶ。


 さっきと同じのだ〜。


 そう余所事考えているせいか、映像は遠いまま変化しないので、一歩意識を近付ける。


 すると映像のピントがあって、意味も流れ始める。


 海。

 海底。


 たくさんの生き物。


 白くてデカい貝さん。


 海には長生きで大きくて賢い生き物も、

 小さくて弱い生き物も、

 魔力があって強くて賢い生き物も、

 魔力があっても弱い寿命の短い生き物も、たくさんがいる。


 貝さんは守りたくて、自分の体を城に変えた。


 皆がもしもの時、避難出来る場所を作りたくて。


 そして膨大な魔力の渦が生まれた。


 それはこの辺りの海を治める貝さんでも、大変な事だったから。


 そして海上にまで影響が出て、時空の歪みから落ちてきたりもした。


 これ、カーサフクダだ。


 そうか。


 貝さんも魔王なのか。



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