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お出かけ

 


 (あるじ)さんのところへようやく到着。


 既に聞いているようで、


「お早いですね」


 とニッコリ言われただけだった。



 手土産もなく来るつもりでは……。


 何持ってきたらいいかわからなかったけど。


 昨夜は部屋の隅にいた人等の数人が、ロバだかラクダだか変わった馬だか知らん生き物に、鞍や荷物をつけて準備している。


『我々』と言ってたが、主さんもマント姿だ。


 何か主さんが話し、馬(?)達は下げられた。


 白服と主さんと昨夜の隅の人、3人だけになる。


「すみません。熱当たりの対策を考えてはいたのですが、お早かったのでこのまますぐに行きましょう。」


「はい」


 私の歩きで遅れないか不安だが、歩くのは全然構わない。


 こちらを、と隅の人に黒か紺か暗い色のマントを差し出された。


 日傘はあるけど、と思ったが、受け取った。

 日陰なのでまだリュックの中だが、アレをさしても多分暑いし、人が多いと危ない。

 それと多分目立つ。


 今もお屋敷の関係者なのか十歳くらいの子どもが、通ってきた通路から私をガン見している。

 荷物を背負う道具なんて古今東西あると思うので、リュックが珍しいんじゃなく、やっぱり服装が目立つんだろう。


 茶色の夏用ズボンに、上はインド綿の七分袖のオレンジ色の服だ。同色の刺繍も入っている。


 白服や、昨夜の主さんの服とは似てないが、街の色には合ってるとは思う。


 でも浮いている。結果的に。


 民族調といえばなんでも合うわけじゃないよね、そうだよね。

 でもまだ浮かないかな?と思ったのだ。


 マントの着方がわからなくてまごついてる間も、さっきの子にガン見されてる。


 男の子って女の服装に興味ある?


 もしかしてやっぱりリュックか?


 真っ黒のナイロンのリュックなんてないとは思うけど、蔓籠みたいのを背負ってる人は昨日見たけど。


 ……あ、このリュックそういえば、小さく堕良ッ熊(だらっくま)の刺繍入っているんだった。


 ……そういえば、クマ耳もついてた。


 それかな?


 ごめんよ、大人なのにキャラグッズ使うおねいさんで。 オバチャンじゃないよ。

 君のお母さんより年上の可能性もあるけど、おねいさんだからね。 


 不器用なのに、子どもに気を取られているせいか、畳んであったマントを広げてもどこがフードなのかわからず。

 ようやく、想像より大きな布の端にそれらしき箇所を見つけて羽織ろうとするも、リュックが邪魔。

 地面に置くのも嫌で、リュックを前に背負い直し、マントを再び広げるも、また上下を見失う。


 モタモタしている私を、他の3人は準備が終わりじっと待っていた。


 途中でそれに気付いたので当然、急ごうとするのだが、マントなんてドール用の、首元に紐で縛って装着するだけの簡易なものしか知らない私は、全然スピードが上がらない。


 焦って下向いて、なで肩からリュックがずり落ちかけるし。


 こりゃあ駄目だ、と思ったのかどうなのか。


 ここを右手で持ってこっちを、と悪戦苦闘する私を3人で取り囲み、あっという間にリュックを背に直されマントを装着された。


 冗談じゃなくあっという間だった。


 リュックを引っ張られた感覚もなかったし、腕を特に動かすどころか触られても(多分)いないのに、気付いたら背負ってた。


 え?


「では参りましょう」


 主さんのにっこり出発の掛け声。


 え?ホントに何が起きた。


 目は開いていたのに、どうやってマントを止めたかわからない。


 呆然としてたら、隅の人にそっと背を押された。

 背というかマント越しの肩の後ろというか。

 主さんと白服は歩き出している。


 言葉自体はかけられてないのに、何故かコクコクと頷き、私も続いて歩き出した。


 本物の40秒で支度、ってこういう感じなんだろうな。




 ほんの歩き出すこと数分。


 スニーカーで良かったなぁ、なんて意識して遅れないように歩いていると、


「今日は昨日より2度高い予報です」


 とスマ子が喋りだした。


 マントの中のリュックのポケットの中なので、かなりくぐもった音だが、白服はピクッと反応し、止まって振り返り睨みつけた。


 幸いというか、私を睨むというよりリュックを警戒しているように見える。


 後ろを歩く、隅の人(名前知らないのでこのままごめんなさい)には、私よりはハッキリ聞こえたことだろう。


 主さんにまで聞こえたかはわからないが、当然止まって振り返った。


 あぁもう、私はどうしたら。


「すみません、靴紐が。靴紐が切れました!」


 頭の中で小さく、私以外に紐靴履いてる人見たっけ?と思ったが、とにかく時間が欲しかった。


「そうですか、それは大変ですね」


 主さんは相変わらずニッコリ言った。


 しかし暑くなる前に出掛けるのはどうした、というこの状況は変わらない。


 むしろどんどん日は登る。


 靴紐が切れる大変さが共通しているのかどうなのかもわからないが、四の五言ってられない。


 後ろ手にポケットからスマ子を出し、しゃがみ込んで必死に声を抑えてスマ子に言った。


「緊急事態でもないのに喋るなー!」


「熱中症予防においては緊急事態です。大概の日本人はこの環境では熱中症になると思われます。」


 そーだろーけど、好きで出てきたんじゃないから!

 そもそも原因はお前だ。



投稿したつもりが出来てなかった(T_T)

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