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帰還

 


 白服について行くと、入ってきた時よりもずいぶんとすぐ、外へ出た。


 何故に?


 入ってきた入口と別だし(多分)。


 ってか、

 外は外でも庭じゃない?これ。


 暗いのでハッキリ見えてるわけじゃないが、壁に取り囲まれてるように見えるが。



 それでもつい、庭に所々ある仄かな灯りに惹かれていると、ポケットのスマホが熱くなっていた。


 というかスマ子か。


 白服がまだいるのに、と思ったが、ポケットに入れて歩き回るとスマホというものは、勝手に設定を変えていたり電話をかけていたりラインで怪文書を贈っていたりし、充電が切れかかっていたりする。


 帰れないと困る。


 仄暗い庭に白い甚平で立ってるからどうしても目立つが、ちょっと体の向きをかえて腕を伸ばし、スマ子を取り出した。


 手さぐりで。


 するとポケットから出た途端、何よりも明るく光っている。

 懐中電灯機能なくなったんじゃないのか!?


 見なくてもわかる不自然な激しい明るさ。

 回りとの違いが凄い。


 こうなっている理由はわからなくても、とにかくこの光を止めたい。

 強い明暗差で目がすぐには利かないだろうと思うが、画面を見ない事には始まらない。


 明る過ぎて何も見えない画面を見ながら、まずサイドのボタンを押した。


 焦りすぎて押したのが音量なのか電源ボタンかもわからないが。


 すると光はむしろ増したように感じた。


 次の瞬間、玄関に立ってた。



 ……かぐや姫でもあるまいに、こんな派手な帰還ある?


 何で庭から消えるのよ。


 あと4時間3分じゃないの?


「違います。前に表示した時間は『あと4時間6分』です」


 どーでもいい。


「9時間経ってないし!そもそもよくもあんな注意事項いっぱいなのに無理やり連れ出してくれたな!」


 ”私、スマホに向かって1人で怒ってるんだな“

 と頭の片隅で思うが、怒りを抑えきれない。


 面倒事に関わりたくないだけかもしれないが、多分、接触したのが(あるじ)さん(達)で幸運だったのだ。

 まだ明日があるので、それによって変わるが。


「明日何時に行くのか聞いてませんでしたが、良かったんですか?」


「アンタが大丈夫です、って言っちゃったんでしょーが!」


 反省しろよ!


 確かに聞いとかなきゃいけない事だけど!


 怒りとツッコミが追いつかない。


 異世界の城を攻め落とす話とか危険極まりない。


 結局、魔力持ちは医者だとわかるのか、それ以外に見分け方があるのかもわからないままだし。


「明日どうするつもりで勝手に返事したわけ?9時間経たなくても移動出来るの?」


 つーか


「アンタ、ホントにこっちの常識わかるの?時間わかるの?全然役にたたなくない?」


 疲れてるし、明日起きれないと困るのだが、もう何から確認したらいいかわからない。


「ちゃんとわかります」


 ウソつけ、全然知らなかったじゃないか!


「人の中で当たり前過ぎて情報に上がってこなかっただけです。国の研究機関が星の研究を見落とすのが悪いんです」


 お前はどこを盗聴盗撮してんだ。


 それにどんな責任転嫁?

 いや、私もか。


「絶対、移動の前に私の許可を取ること!絶対!」


 これだけは呑め。

 私の命に関わる。


 甚平を水につけて、なんとかシャワーを浴びる。


 お湯を浴びながら、主さんは国の研究機関の最先端の情報を持ってるんだな、とかそういえば名前知らないな、とかぼんやり考えた。


 一番はじめに街の通りに行った時も、服装が変だけじゃなく突然現れたのを見られたかもな。

 ガン見してる人いたし。


 主さんは色々力もありそうだし、それも知ってて織り込み済みで助言くれたのかも。


 明日、どういうカッコしてったらいいんだろ。

 マントなんてない。


 時間がそもそも夜明け前だったりして。


 不安だが、一応スマ子に聞くか。


 とりあえず靴下は履いていこう。


 早く寝たいが、どうしてもノロノロシャワーになる。


 風呂から出て少しドライヤーをかけただけで、すぐ寝てしまった。


 色々確認したかったのに。







 音楽が聞こえる。


 そういえば、携帯の目覚ましは前はこんな音楽だったっけ?

 最近アラームばっかりだったからな。


 設定したっけ?


 夜明けです。夜明けです。


 だから何だ?


 私は朝日を見に起きたりしないのに。

 朝イチでキミコさんに会うだけなのに。


 あれ、誰だっけ?そんな人いた?


 でもよく知ってるような……。


 夜明けです。夜明けです。


 だからそれが何だ?ってば、スマ子。


 スマ子?


 喋る白い甚平のポケット


 気まずい室内


 庭から挨拶もなく発光物体となって消える自分


 また明日


 明日?


 微睡みから一気に覚醒する。


 跳ね起きてカーテンを開けると、既に日は登っていた。

 昼というほどじゃなさそうだが、


「遅刻です」


「スマ子!」


 お前30回くらい夜明けです、って意味なく繰り返さなくても、もっと早くソレ言えたよね!?


 わざと?!

 わざとだろ!


 と、言ってる間に気味子さん登場。


 だよね。

 今カーテン開いてるもんね。


 でもそれどころでもないんだ。

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