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魔王

 


 全然全く違うけど乱暴に例えると、


 カーサフクダは、マナがとてつもなく溜まった中に生じた魔力によって、ストーンとこっちに落ちた、


 んだそうだ。 (多分)




 だから戻る事は出来ない。


 この現象が起きたのはたまたまで、落ちるのは簡単だけど(という程でもないのだけど今回は脇に置いといて)、押し上げるのはもっと桁違いの莫大な魔力が要るだろう。 万が一、実行出来てもカーサフクダごと、無事では済まない可能性が高い、との事。


 誰かが意図したものでもなく、極々平和にこちらへの移動が起きたのが奇跡ではないか、と。


 ヤな奇跡だな。


 でも落下して粉々死も嫌。



 元の世界はつまり上か、と聞いたら違うと言われた。

 やっぱりわからない。





 そんで原因は多分、気味子さん。


 さすが気味子さん(怯え)


 たまたまで良かった、気味子さんに呼ばれて来てたら泣いてたよ。

 恐怖が先にたって怒りが湧いてこない。



 人口に膾炙するに、魔王、と。


 その訳が近いそうだ。



 さすが気味(悪)子さん。

 絶対、乙姫様とかじゃないと信じてた。



 マナの固まりが各地に生じ、魔力を帯び、その地の王となる。 生物の。

 ほとんどの生き物がそれに従う。


 人間だけはわかってなくてわざわざ戦い、魔王は現在は数を減らした。


 元はマナだから絶滅しないのだが、人間の住める土地なんてものは世界が変わっても大差ないらしい。


 歴史上、何度も、国をかけてまで戦った結果、人間の住む土地のマナはほとんどなくなり、昔より貧しくなったそうだ。


 いくらマナがあっても、人間が魔法を使うとかなりのマナが使われる。

 マナの固まりである魔王をマナを消費して倒し、新たに生まれてもまた、それを繰り返した。


 その地域のマナを、一定に保つ為に魔王は生まれてくるのでは?と今は言われているらしい。



 何千年も生きて比べる人間がいないけど。


 と、いうのが陸の人間の知識。

 スマ子いわく最先端の情報。


 はいはい。

 お前は凄いよ。


 どんどん口数増えるスマ子。



 んで、魔王もしくはマナ溜まりについて。


 あくまで陸の情報だが、多分、海もそうなんじゃないか、との事だ。


 情報元が人間だからか、海の事はよくわからないらしい。


 日本でも海外でも、ロマンを込めるのか恐怖が大きくなるのか、海の空想生物、化け物の話は多い。


 疑問に思うが、結局目撃されるくらいしかないから、調べようもないのだそう。


 確かに。

 海で張り込みなんて無理だね。




 そんで気味子さんが何したの?


「生まれた可能性が……。」


 生まれたの!?


 生まれたてであのデカさなの!?


「こちらの世界の生き物は、年の取り方が特殊な場合があります。」


 場合? 一定じゃないの?


 元の世界の唯一平等は時間だったのに。


 時は金なり、だけど。

 金持ちは時間を買う、とか言うけど。


 あれ、やっぱり平等なものなんてなかったな。



 特殊な場合というのは、生まれつき魔力のある生き物に多いらしい。


 特に、数少ない観察された魔王の例。

 生まれた時に大きく魔力に満ちていても、何事もなく過ごしていると、時間と共に極わずかだが、力が減退してくる。


 食べ物はいらないし、周囲もマナに溢れている。

 しかし何故か、微々たる差だが弱くなり、体も小さくなっていった。


 やはり食欲がわかないだけで、食べる必要があるのではないか、と、馬を差し出した。


 すると魔王のいない土地で人間に育てられた馬は怯えたのか暴れ出し、魔王も反応してケンカのようになった。

 ように、というのはすぐにケンカにならなくなったからだ。

 魔王の体は見る間に膨らみ、生まれた時より大きくなった。

 特殊な能力者がその魔王を見て、経験によって成長する事を発見した。


 時間がたっても経験する事が何もないと、成長もない。


 逆に生まれてすぐに戦いに巻き込まれると、あっという間に強く成長するらしい。


 そういう生き物はごく少数らしいが。


 魔力を持つ生き物自体が少なく、魔王と区別がつきにくかったりするんだそうだ。


 魔王は元はマナの固まりなので、個体によっては全く人間を意識していなかったり、近くでの目撃例がないわけではない。


 珍しい魔力のある生物も、生まれたてで警戒心がない場合もあって間近に観察される例もあるが、そもそもの数が少なく、まだ色々わかっていない。


 人間以外の生物には、基本、魔王は別格で瞭然らしいが。



 陸の魔王も1つ目なのかというと違う。


 1つ目の目撃談もあるが、多くは陸上の生き物を象っているそう。

 巨大な小鳥(変な言葉だ)だったり、逆に体躯の小さな金の角を持つ銀の鹿であったり。(そっちは遠目で見たい)


 姿だけでなく、性質?性格もさまざまで、攻撃的だったりのんびりしていたり。


 なかには甲羅に木をはやした大亀もいて、旅人がそうとは知らず雨の流れてこない小高い木の根元で眠ったところ、乗せられたまま国3つを越えていた、なんて逸話もあるようだ。

 これはもはやおとぎ話だな。


 でも休む時間の差が生んだ奇跡のウッカリさんコラボでもある。

 ちょっとほっこり。


 ……いや、魔王なんて存在には、人間1人は眼中にないだけかも。




 この海域の魔王は、……あれは何考えてんだろ。


「わかりません。」


 スマ子が無情にわざわざ返事した。


 多分、口に出してなかったのに。



 何にせよ、スマホからスマ子に不完全変態したのは、気味子さんの爆誕エネルギー(多分)に、移動と、その後すぐ本人が出現して、短時間で複数回触れた事が大きいわけね。


「私は虫ではありません。」


 つまりそういう事ね。

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