表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

230/235

飢え、再び

 

 せっかく食べ物がハチさんからもらえるようになった翌日。


 私は朝から早速、食料を探していた。


 昨日、カステラ(仮)を残した。

 大きなボール状が1/3くらい欠けた状態だった。

 またお腹が減って夜に食べた時には、甘いものはこれ以上進まないな、という感じになった。何かは食べたいが、ちょっとしか食べられなかった。

  私にとっては珍しいことだ。

 きっと明日の朝になったら進むだろう、と思った。


 全然進まなかった。

 全く、甘いものは食べたくなくなった。


 そういうわけで、今日も朝から食事を探している。

 ……何してるんだろう。

 昨日解決したと思ったのに。


 ていうか昨日のうちに、安心したらその勢いでもっと調べておけばよかったのに。

 それもコレも後の祭り。

 お腹へってたし仕方ないか。

 

 いや、なんだかんだ言いながら結局、携帯をいじっていたな。

 食べた後。ダラダラと。

 なんだかんだ言いながら。

 やっぱりかなり安心したのかもしれない。

 食料を得るのは生存の危機から脱したわけだから、リラックスするのも仕方ない。

 しょうがないんだ。

 そういうことだ。

 今後もダラダラは大事にしよう。

 そうしよう。


 それが楽しいんだよ、というこの気持ち。



 昨日の私は、最近の中ではホントの意味でリラックスしていたんだろう。

 ダラダラだけならしょっちゅうだが。


 前と同じように携帯いじれてたからね。


 この世界の情報ではない、向こうの世界の方がもちろん馴染みがあるし、知ってるものも多いんだけどね。

 物理的だけではなく心因的にも、明るく楽しい情報は自分から遠いもののように感じてしまって楽しくもなかったのだ。

 ただ視界を色や文字でうめてただけ、というか。

  携帯だけでめちゃめちゃ楽しんでいたことがどのくらいあるのか、よくわかんないけど。

 いや、あったな。

 オタクだもん。

 二次創作サイトなきゃ生きていけない。

 最近の若者はサイト作らないけど。



 話しを戻すが、甘いものってさ。

 美味しくても飽きるんだね。


  そんなのスイーツビュッフェに行って、嫌というほど知ってたはずなのにね。

  なんで「イケる!コレこそが毎日でも食べられる味というものか!」とか思ったんだろう。


 びっくりするぐらい、甘いもの食べたくない。

 しょっぱいもの食べたい。

 とにかくしょっぱいのが食べたい。

 普段は嫌いな明太子を出されても構わない。

 ご飯に塩かけるだけでもいい。

 味噌をどっぷりつけるだけでもいい。


 しょっぱいの食いたい。


 しょっぱいの、って何?って。

 コレ方言なの?

 塩辛い、でしょ?

 え?

 違いますけど?

 辛いの無理ですけど?

 しょっぱいのはしょっぱいのですよ?

 つまり塩強めだよ。

 塩分強めをもってこい、だよ。

 今日はつけ麺じゃなくてラーメンじゃなきゃーダメだな。

 どのみち無いけど。


 甘いものを食べ飽きただけで、ここまで塩を欲しがるのは不自然に感じる。

 他にも、何か原因があるのかも。



 それにしても暑い。


 春でしょ?

 春のハズでしょ?

 なんでこんなに暑いの。

 レイワちゃんの猛暑贔屓は異世界まで影響を及ぼすの?


 ベランダで暑さを確認する。

 どうせ外に出るんだから止めとけばいいのに。

 無駄な暑さを貯めるだけなのに。


 そうしていたせいか、昨日とは反対側。

 お向かいさん側ではなく、ベランダ側の廊下を歩いてしまった。

 歩いて気付いた。

 ウソだ。

 ホントはすぐに気付いた。

 でも方向転換がめんどくさかった。

 めんどくさかったんだ。


 私疲れてるのかな。

 朝から?

 何もしてないのに?


 許可証は、確認したら消えていなかったので、外には出られると思う。

 でも昨日の店を見るなら逆なのに。

 まぁ今日こそは庭をつっきれるのか?

 それが出来るかもしれないんだな。

 そう、これは実験なんだ。

 断じて失敗ではない。


 無駄に動いてもっと腹減るだろうけどね。


 ところで私、チリとチリリじゃないけど。

 お金払ってないけど。

 昨日のお代はいかほど?

 いいの?

 こんなオネイサンがそんな『なんて絵本な体験』許されちゃって。

 後から請求されるんじゃないよね?

 そんなの困るよ。


 そうこうしてる間に着きました!

 ぱぱーん。

 行き止まりに。

 扉の前でいったん止まるが、ハチさんの羽音は聞こえない。

 よし。


 が、扉を開けたら聞こえた。

 あら。

 扉で隔てられただけか。

 この音だと階段の中にはいなそうかな?


 降りていくと、ホントに階段下にいた。


 どうでもいいけどこのハチさんを上から見たら、○ピュタのドーラ一味の乗り物に見えるのかな。

 タイ○ーモス号の方じゃないよ。

 ちなみにサチ子さんは、運動神経不自由だけど○ーヴェに乗ってみたい。



 これって『いらっしゃいませ、お客様。お待ちしておりました。』なのか?

 けっこう待ち構えてるけど。

 こっち見て待ってる風が多いけど。


 そして階段降りきると正面切ってぶつかるけど、私が止まればいいの?

 横に避けるの?


 避ける場合、私は多分、背中が壁にぶつかりながら動かなきゃいけないけど。

 そこまでいかなくて、自分の体の目測がもっとスリムでも絶対に壁に擦るんだが?

 しかもカニ歩きで階段降りるとか難易度高めな気がするが?


 え、皆さん余裕なの?

 そうなの?

 記憶が高校生のままで留まってない?

 ちょっとラジオ体操第一やってみてみ?

 息きれるから。

 絶対。

 絶対だから。

 ならない?

 お宅さまはアスリートですか?

 お部屋が22階なのに毎日階段で通勤してらっしゃいますので?


 しょうもない漫談風会話(ただし脳内で1人)が進行する間も、足は階段を降りていく。


 ビビリなのにちゃんと小さく止まるが出来ないサチ子さん。

 コツコツとか普段から意識する、が苦手です。

 やってみたら大丈夫だった、が多いが、別に何も考えてない。

 行動しなきゃわからないが、今はただ惰性なのか慣性なのか、降り続けてしまう。


 緊張し始めるくらいなら止まればいいのに。

 深度第三意識くらいからツッコミが入るが、人間とは行動を変えるのがめんどくさい生き物なのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ