謎解き
島に帰ってきた、と言っても全く初めての場所。
変なものだ。
でもここは、私の帰る場所だ。
さて、どっちに行けばいいのか、全然わからない。
どっちに行っても、少しは把握の役に立つ。
どちらの方向に行こうか躊躇していたら、土偶魔王から声がかけられた。
どっかに行って帰ってきた〜?
呼ぶからこっちにおいでー。
今、大丈夫ー?
大丈夫です、お願いしまーす。
全然、場所がわからんから。
カーサフクダに帰りつけない可能性だってまだあるのよ。
あれってカーサフクダと呼んでいいものか?
もうとりあえず、私の205号室しか部屋が残ってないが。多分。
声をかけてもらってよかった。
安心しながら移動に身を任せる。
向こうから呼ばれた形だから、自分はそんなに何もしなくていい。
変に抵抗しなければいいのだ。
要はリラックスして、マッサージを受ける体制になればいい、みたいな感じ。
体に力が入ってると魔力がかかって、うまくいかないことがある。
島の植生とか、そんなに変わんなかった気がするな。
全っ然、見ても種類わかんないけど。
つらつら考えながら、せっかく移動成功して、これから色々話そうと思ったのに。
なぜか着いた途端。
本当に着いた途端、周りを見ます暇もなくゾウさんが怒ったようにパォーン!と声を上げて、私に突進してきた。
何なら相当、お怒り気味に見える。
ていうか、本当に突進して来るから危ない!
え?
何?
何?
私は全く理由がわからず混乱していたが、土偶魔王も同じように慌てているらしい。
ちょ、あの、後で説明するから!
と、はじき飛ばされるような感覚で、気がついたら、私はカーサフクダの中に。
自分の部屋の玄関にいた。
え?
何だったの?
私、なんかした?
ゾウさんに会うの、久々だけど。
……とりあえず、こーゆー時は貝王様とイカさん先生に相談だ!
相談しよう、そうしよう。
この流れは、考えるより相談すると決まっている。(サチ子の中で。早知子に怒られそう)
今日の一日が長すぎる。
今日はもう、絶対に頑張らない。
と、いうことで、居間です。
チビの貝王様とチビのイカさん先生が魔力珊瑚の前に並ぶ。
かわいい。
相変わらずのデフォルメ姿。
貝王様は、デフォルメか小さいだけか、わからないけど。
ところで。
かわいいが、サチ子はこっちなんだけど。
何故、並んでテレビ向いてるの?
つけませんよ。
物理的にリモコン触らなくても、つけることは可能そうだけど。
まさかの島の変態?が終わっても変わらず呼び出されるという……。
ごめんなさい。
そこのところは、コレでも申し訳なく思ってる。
私の命題は、本当はご飯のことだったんだけれどその時は頭になくて。
なんせゾウさんのことがまだちょっとパニックだったから。
ゾウさんのことをとりあえず相談したんだけれど、お二人から反応はなかった。
「それだけ言われても……」という感じだったので、そこから徐々にさかのぼって話していった。
今日あったことを逆再生するみたいな感じに。
気がついたらツレツレ話し続け、全部喋ってた、みたいな感じだな。
私が話したいのか、お二人が聞きたい内容なのか、全部謎だけど。
何が関係あるんだかわからないから。
ところでお屋敷から追い出されたくだりで、イカさん先生が両の端の足を口元に当てているのが気になる。
なぁに?
その、大爆笑耐えてるみたいな感じ。
イカって大爆笑するの?
イカさん先生ってイカでいいの?
いやいや。
そこ突っ込んじゃいけない。
永遠に謎だから。
イカの姿で元イカ、とか言われてもツッコミが耐えられない。
それで、どう思います?
なんかマズイことしたかな?
大丈夫なんじゃない?
軽い!
もうちょい!
もう一声!
まぁ様子をみてみましょう。
え~。
相談はあっさり終わってしまった。
むむむ。
このままでは帰さん。
ぼっちマーケット、及び私の食料事情についても相談。
貝王様としては『ある』とは断言出来ないものの、前の島と同じような気配を島の所々に感じるそうだ。
土偶魔王の弁とも一致する。
よかった。
期待できそう。
主さんのわちゃわちゃについては、私は楽しく話した。
特にコメントはなかったが、その話でソワソワしていた。
何故に?
結局、たいした進歩はないまま、二人共に帰ってしまった。
親身になって聞いてくれたというと無理があるが、上の空で全然聞いてなかった、というのも違うという、なんとも言い難い時間だった。
なんだか、そそくさと帰ったような。
ドラマの続きでも気になるのかな?
何で、さぁ帰ろうという時に、二人ともテレビの方を向いてたんだ?
あのお二人は、もう私より番組に詳しい。
しばらくすると、土偶魔王から声をかけられた。
放置が長いよ。
ゾウさんが魔力をたどって来ても、途中で止められる距離だからとりあえずは大丈夫、とのこと。
ほう。
じゃ、大丈夫…………じゃないから!
いつから私はゾウさんの敵になったの?!
それ、ヤる気じゃん!
完全にヤる気じゃん!
ン、ンー?
んー、じゃ、ないよ?パパ。
どーゆーことさ。
どうもゾウさんは、魔力にすっかり慣れてしまったそうだ。
そりゃね。
んで、せっかくの新天地でテンションマックスの時に、私がワタクシ魔王の魔力を帯びてやって来た。
魔王の新しい土地に、別の魔王の気配……。
侵略に来たと勘違いらしい。
……。
…………。
って、……それ、さ。
……私のこと、忘れたんじゃないの?
いや〜、大丈夫じゃない?
シドロモドロですな、パパ?
魔力、乱れてんぞ。




