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妥協

 


『なんか変なのがあるよ』


 って言われたら、ぼっちマーケット残ってそうだなー。


 って期待するよね。




 ベランダだとハチが直接来そうだったので、204の扉を開けて廊下(多分)の窓から、ぼっちマーケットがないか目視で探す。


 さっきはそれが目的で見てたりしなかったからね。

 一応。

 木に隠れて見えないのかもしれないし。

 そんな高い木もないし、花の茂みとかなんとかで、緑に埋もれているのかもしれない。


 希望的観測だけど。


 でもお腹へったから、これでも真剣なのだ。


 カコドに行けば、心の中でどう思ってようとニコニコと温かいお料理がもらえることはわかってはいるが。


 しかし、貸しがたまり過ぎで。

 積もり積もっていて。


 すっっごくストレス。

 もらってる側だけど。


 だから安定して陸があるなら行きたくないんだ。

 行き過ぎたもんよ、最近。



 よく見えないな。

 緑しか見えん。

 いや、花いっぱいで色はたくさんなんだけど。

 植物しか、の緑しか、という意味で。


 ここ崖の上だけど、(たいら)なのかな?

 2階しか歩いてないから、自分が歩いた分は平だけど。

 地形は謎。



 窓ガラスにおでこくっつけて見ていても埒が明かないので、窓を開けてつま先立ちで外を見回す。


 ナイなー。


 見当たらない。



 庭は、無駄に(今のところ気分的に)長い建物と同じ遠さまでなのか、遠くの緑はこんもり中々の高さに見える。

 行き止まりの廊下で外を窺った時には気づかなかった。

 窓を開けてなかったから角度で見えなかったのかも。



 慣れてきたのかよくわからない音が聞こえてきて、そういえば崖の上だから風が強かったことを思い出す。


 あれ?

 庭では風弱まったのに。

 あれはあの時だけだったのかな?


 海のほうで何かあったかな?


 そっちを確認しようかと、向きを変える。

 つま先立ちがツラい。

 そのまま足をつけてしまうと、あごが窓のカギにぶつかるので、まず窓枠と壁をつかもうと右手を動かす。

 しかし支えにならない変なものにぶつかった。


 何だ?


 ここ、壁と屋根と窓と床しかないのに。


 なんとか振り向くと、20センチくらいの近さで虫がいた。

 虫ってゆーか、どデカいハチがいた。



 ぎゃあぁ!


 と、自分で叫んだのかどうなのか。


 必死に急いで自分の部屋に戻る。

 安息の地、205。


 ハチって攻撃しなきゃ、自分からは攻撃してこないんだっけ?

 日本ミツバチと西洋ミツバチで性質は違うんだっけ?

 ていうか、この島で日本も西洋も関係ないよね?

 あれは西洋ミツバチのデカい版なのかな?

 日本ミツバチより西洋ミツバチの方がでかいんだよね。

 っていうかあのデカさだと、やっぱりそんなの何も関係ないよね。


 やっぱり、サチ子追尾機能がついてるのかな?


 いつからいたのかな?

 音がしたあたりからか。

 そりゃそうか。




 …………。

 疲れた。


 私は朝イチから何してんだ?

 ってかもう昼だ。


 ワタシャもう疲れたよ。





「タノモウ!」


 意外と元気な声が出た。


 等価交換になるかならないか謎だが、100均のものらしき鏡を持って主さんのお屋敷に来た。

 部屋に転がってたやつ。

 誰のだろ。

 私か姉ちゃんのだよな。

 半分の確率なのに謎過ぎる。

 買ったっけ?



 疲れると、何か行動するためにどうすればいいのか、頭ではわかってるつもりでも何故か難題な気がして途方にくれる。

 そんでボーっとして、30分くらい経つ。 


 私ってその間、瞬きとかしてるのかな?


 光陰矢の如しとは言うけれど、時間が一瞬の矢のように過ぎる。

 ちなみに言っとくけど矢のように、って言っても近くで矢の早さを確認したいなんて、考えちゃいけないよ。

 矢を回収する係やったことある人とかに聞いてご覧?冗談じゃなく危機一髪とかあるから。

 でも今は本題じゃないから後でね。



 そんなわけで時間が経ち、さらにそれからノソノソ鏡を探してやってきた。


 つまり、なおさらハラヘッタ。



「隠れて来る意味あるのか?」


 最高に呆れ顔の白服が扉を開けた。

 来るのはわかってたが。

 お前が一番先か。


 誰であろうと言うことは決まっている。

 決めてきた。


「ご飯恵んでください。」


 コレあげるから、と、手鏡を差し出したが、一秒も経たずに鏡に向けた視線を戻し「いらない」と言われる。


 白服が忙しくても他の人にも放置プレイされないように声をあげる作戦は破綻し、対価は拒否された。


 わざわざ探してきた鏡が……。


 探してる途中で、主さんの屋敷に鏡あったようななかったような、とも思ったが。

 それ以上、思考するにはエネルギーが足りない。


 別にお屋敷のお偉いさんクラスに来てもらわなくても、ご飯が貰えれば良かったのだが、そうもいかないようだ。


 ごめんなさい。

 土偶魔王に文句言ってください。

 土偶魔王が望んだことでもないけど。




 しっかし、土偶魔王がダメならワタクシ魔王を移動されようかとか考えてたけど、もう試す余裕はゼロよ。

 あんな天変地異は何度も起こすもんじゃない。


 これで土偶魔王が大陸(かどうかわからないが陸)に戻ったら、うちの島は枯れ始めるんだろうか?

 枯れる?涸れる?

 まぁ、これからわかるか。

 考えてもしょうがない。



「ご飯ください。」


「聞こえている!今用意してる。」


 イラッとした様子の白服に怒られた。


 なんでぃ、お前さんカルシウムが足りてないんじゃぁないのかい?


 口に出すほどではないが、妙に私は会話に元気を貰った。


 何故だろう?

 スマ子と会話がなくなったから?


 なんか、ストーカー慣れしたみたいでイヤだな。


 今もスマ子、というかスマホは持ってきているが、話しかけてない。

 画面もあまり見ていない。


 ちょっと白服よ、イライラすんの止めてよね。

 私が構われたくて来たみたいじゃないの。


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