新生カーサフクダ?
ここは畑でも何でもなく庭ー!という感じの庭だ。
花が咲いているのが見える。
ていうか、畑はどこ行ったんだ?
今までなんていうか、下の部屋が畑になっていたり。
頼んでないのに外がダンダン畑があったりと、何かと畑よりだったのに。
緑の中を歩きたいなーっていうのも、私が想像してたのは公園とかだったから、都会の雑木林が出現したと思ってたのに。
この先の季節に見られる花々は一体何かな~?
……って言うか、これ季節はどうなってんの?
春?
春なの?
暑い寒いが海の上の基本。
両極端だったから、季節はよくわかんなかったんだ。
それも海にいるからだから、島になったらもうちょっとマイルドになるかな、と思ったんだけどね。
島ができてからも、そんなに変化は感じなかった気がする。
比べたら実はかなり違うのかも、だけど。
ていうか海の上に来た時が真夏だったからね。
島ができた時には、もう季節が変わってたんだろう。
灼熱のハズが妙に郷愁をくすぐる風が吹いてきたもんな。
と、まぁ色々込みで、さすがに陸はマイルドだぜ!と思ってたけどさ。
ていうか……春なの?
そんなことある?
他に比較する陸がないけど。
陸に行くのがカコドだけなので、ほとんどあんまり気温の差が分からない。
あの街、いつでも暑い。
……まあ、もうどうしようもないが。
とにかく下に見えているのは、花が咲き乱れる明るい春の庭。
という感じなのだ。
そんなに気温は高い気もしない。
でも、ちょっと空気が緩んだか?
歩きやすそうね。
敷石ならぬ敷き板、というのか。そんなものがあるのかわからないが。
なんか木材みたいのが、レールみたいに埋められているのが草の影に見える。
レールみたいに?
いや、枕木みたいに?
前にサンギって書いてる本を見た気がするが、あの木の部分をいっているのかわからない。
それにサンギって北海道の唐揚げじゃなかった?
なんて言えばいいの?
教えて?ガーデニング詳しい人。
とにかく、この上を歩いて移動しなはれ~、みたいなの。
そういう木材の小道みたいな。
なんて言うか、私にはゴージャスねえ。
ありがたいけどね。
赤もピンクも青もオレンジも様々に咲き乱れている。
気分が明るくなるわ~。
さっきの風の強さを忘れるね。
あれ?
ここ、そんなに風が吹いてないな?
と思って つい見回した。
すると庭を取り囲んでいるのは、白い壁だった。
え?
何?この秘密の花園みたいなの。
白い壁っていうか、これ、なんとなくカーサフクダに似ている。
……いや、ていうか……。
似ているんじゃないんじゃない?
これ、ファーストカーサフクダが変形して囲んでるんじゃない?
この庭自体がどっから来たのかわかんないけど。
うーん。
あの壁も気になるけど、せっかくだから庭に降りてみようかな。
まあね。
ぼっちマーケット、外にあったからさ。
また、ぼっちマーケットが復活してくれないと、私のご飯が……。
ご飯が食べられないんじゃ(泣)。
ちょっとでも空腹を、ね?
水を飲んで胃が刺激されちゃうとさ?
こう、空腹の呼び水になるでしょう?
とりあえず、こう……庭を見て『私、朝から素敵に庭の散歩してるの~ 』
みたいな感じにね?
自分(の心持ち)を持っていって、自分(の体)をごまかそう。
まずはそれからだ。
そんで外を確認してメシを目指す!
靴を履いて、玄関の外に出る。
うん。
ファーストカーサフクダはどうなったんだかわかんないけど、カーサフクダはいつも通りだな。
と、無機質なお向かいさんの扉や階段を見て思う。
とりあえず階段を降りていく。
降りながら徐々に見えていく外の景色にも、やはり庭。
あまり高い木はないようで、光は階段には直接さしてこんでこないけれども、そこそこ明るい。
うんうん。
くるりと背を向けて、また下へ。
降りて、またくるりと背を向けて、と外に降り立って。
さあ、新生島のこれが地面だ!という時。
ボーと音がした。
うん、なんだい?
ちょっと足元を見ていたけれど。
ええ。
サチ子さん、運動神経があれだからね。
ちゃんと足元を見て、降りないとね。
まあ特に今日は、どうなってるかもわかんないしね?
足元はなくなってたら困るからね。
庭とカーサフクダとの間に、海が広がってたら困るからね。
まあそういうわけで、足元見て降りてて変な音がして、前を見たんだ。
……ハチです。
ビッグサイズな蜂がいる。
いや蜂か?これ。
私の顔より大きいんじゃない?
え? サチ子さんの顔ですか?
普通ですけど?
別に全然、小顔ですけど?
そんな尾花沢スイカみたいなデカさ、してませんけど?
これは蜂のホバリングって言うんだろうか? なんだかんだビビっても、蜂にそんなに遭遇した経験は最近ないからわからない。
蜂って本当にこんなゴリアテみたいな音する?
ゴリアテって言っても私は聖書とか読んだことないから。そっちじゃないよ。
ラピ〇タの方だからね。
あのゴォボゥァーっていうような、こう重低音みたいな。
あそこまで低くてデカい音じゃないんだけど。
なんか似てるよ。
何これ?
お出迎え?
なんか迎えられたくないんだけど。
怖いね。
静止してるが、どうして宙に浮いてるの?
どうして私を見つめるの?
何これ?
こっから先立ち入り禁止!みたいな感じ?
どういうこと?
……サチ子さんは安全を愛する平和の民なので、階段を上っていきます。
うん。
とりあえずいったん、お家に帰ろう。
ガチャン。
お家に帰ってきました。
短い旅でした。
ていうか、地面を踏みしめることはできませんでした。
なんかあの蜂、若干カーサフクダの中に入ってない?
いや、ほぼ外なんだけど。
外なんだけども……ポストよりこっち側にまでは入ってきてないか。
じゃあ、外でいいのか?
いや、……いいのか?
というか、何しにいるの?あれ。
門番?
門ないけど。
庭番?
私はこのまま庭に降りられないの?
ええと。
アレです。
今日は、別の探検にしましょう。




