表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

214/235

 

 これは……うーん、うん。


 えーと、あれだね。


 これは……防御力、高そうだね?


 うん、外敵に煩わされそうではないね?

 こう、難攻不落、みたいな。


 そう、全然攻め落とせなさそうな……って、

 ちがぁーーーう!


 中世の要塞か!


 ここは山城か?!

 違うっつーの!


 何してんだーー!


 ()()()()落下しそうという危険度においては、ノーサンキュ~なレベルだよ!


 え?

 何?この島、私のことがキライなの?

 スマ子?

 スマ子と融合したの?


 断崖絶壁は嫌がらせじゃないの?

 思いやり?


 関係ない?

 島は生き物じゃないから?

 チェンジ、プリーズ?!


 なんでよりによって、この形状で終了したの?!聞いてよ!私に。

 唯一の島民だったでしょ!



 いやいやいや、落ち着け。


 人間、落ち着きが大事だよ。

 サカエお婆ちゃんが言ってた。

 私の婆さんじゃないけど。


 何、島の感情を問うているんだ?私。

 落ち着け。

 アイびりーぶ。


(不幸中の)幸い、出窓なんだから、ここに乗らなきゃいいじゃないの。

 大概の場合、窓の向こうに体重の重心いかないでしょ?多分。

 そんなすぐに落下しないよ(希望)。


 イカさん先生は、この窓(と、隣の窓)に来てくれてたんだけどな。

 遠くなっちゃうな。


 忌海子(きみこ)さんは……別にいいや。



 うん、底の見えない山の上よりはマシ。

 マシ、というレベルまでしか上がらないが。

 あれは山というより尖った岩の上だったもんね。

 あの時は1日で済んだけど。

 こんな尖るくらい脆い岩質なのかとビビって、トイレいくのもビクついてたもの。

 重心移動して、刺激になって欠けたらカーサフクダごと、まっ逆さまに落ちていくんじゃないかと。


 そんなディ〇ニーの悪役みたいな死に方嫌だ。

 絶対、無理。


 現時点では、ここも微妙に似てるけど。


 でもまあ、外敵に備えるのは大事よね。

 船がこの海域に入れないのに、意味あんのかと思わなくもないが。


 ニンゲンコワイという私のコミュニケーション機能不全と、ズボラが混じって作用してしまったのだろうか?

 もしそうだったら、海側から見たら拒否っぷり、凄そうだな。

 人間拒否を環境で現しました、ってか?


 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、サチ子です。

 私の意思でこうなっちゃったんじゃないけどね。




 まぁ、まずは確認してみよう。

 大丈夫だとわかれば、安心して暮らせるからね。


 いや、気をつけなきゃいけないけどね。

 ウッカリちゃっかりだから。

 さんざんビビっておいて、忘れた頃(多分6日後あたり)落ちそうになってワーキャーしそう。


 とりあえず窓を開けてみようか。

 新たなる1日の風だ。


 新生、名無し島の風やいかに。


 

 風……すごい。

 ビュボボボォ、と激しい音までしてるんだけど。


 あれ?と思ったらイカさん先生が、崖の下の海からちょこんと顔を出していた。

 ひょひょいっと、端の足を振っている。


 ……イカさん先生ですら、このサイズで見れるんだ。

 海の上に上がってこられるハズだけど、イカさん先生は下にいる。

 お肌がカピカピになっちゃうからだろう。


 わかる。

 ちょっと下向いてるだけなのに、めちゃくちゃ目が乾く。


  怖いな。

  本当に高いな。


 よく、水の上に落ちても安全、とか言うけども、あまり高いところから落ちると、水もコンクリートの硬さになるとか聞いたことがある。


 これ、どう?


 コンクリートになる?

 私、ウッカリ落ちると水面に叩きつけられて死んじゃう系?

 どうなの、これ。


 とりあえずイカさん先生に、手を振り返す。

 ってか、振り返すってもイカさん先生がふってるのは足だけどもね。

 ……もういいや。

 なんだか晴れの日に、サチ子の気力はすでに下がってきているぞ。

 こっちから声が届かないから、魔力会話にしてもいいかもしれないんだけど。

 1回頭を下げて、窓を閉めた。


 魔力会話が苦手なわけじゃないけど、なんかもう、今そこまで気を払っている余裕がない。


 窓を閉めて、さて。

 こっちが崖なら、向こうはどうなってんだろう?

 それで全て変わっている。

 ワテの島の便利度が。



 とりあえず、寝室を出て反対側の、つまり隣の部屋に行く。

 遮光カーテンを開けて見てみる。


 窓の外は緑だ。

 緑、なんだけども。


 あれ?緑?

 どういうこと?

 緑はいいんだけどファーストカーサフクダは?


 何と言うか、庭が広がっている。


 もともとこの下はアスファルトだったんだ。まぁちょっと、ボコボコなってたけどね。

 住人たちの通路みたいになっていて、奥には駐輪場があったのだ。

 そのさらに奥にブロック壁。

 お隣とはそこで敷地が分かれている。


 まあこの島になったから、ファーストカーサフクダだけになったけど。

 ブロック壁もないし駐輪場もなくなった。


 あと昔は、なんかの木が何本か生えていた。

 カーサフクダとファーストカーサフクダの間に。

 今思い出したんだけど。

 それもなくてファーストカーサフクダだけ、島が出来た時、現れたんだよな。

 下はその時はアスファルトのままだったけど。


 残ってたアスファルトもなくなっちゃってる。

 ていうか、ファーストカーサフクダがない。


 別にファーストカーサフクダを盾にしようと思ってたわけじゃないんだけど。

 でももし島に上陸されたとしても、あれがあったからまだ安心感があったんだよね。


 まあね、正直に言うとね。

「あー!誰かいる!」って1人で騒いだりしたよ?

 自分が向こうの窓に写っただけ、とかさ。

 実は1人でお化けなんていない歌を必死に歌ったりとかね。

 光が反射しただけだったのにね。


 まあビビったりしてはいた。


  あれがあると窓から見る景色が良くないのもホントだけどね。

 だって窓の外には、ファーストカーサフクダしか見えないから。

 でもなくなると、不安なもんだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ