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完成

 


 ストレスが溜まりまくったある日の夜、具合が悪くなった。


 ひどく頭痛がして、そのせいか吐き気もする。



 突然だった。


 なんだ?


 夜になったから気温が下がって、疲れが出て突然具合が悪くなったのか?

 突然すぎないか?


 どういうことだ?


 最近カコドでご飯をもらってばっかりだったから、食品添加物フリーになって、()()()()というのが出たのか?

 これがめんけんというものか。


 めんけん?

 めんげん?


 どちらにせよ、そんな清らかな食生活をおくったことのなかった私には、判断がつかない。


 グリーンスムージーを飲み続けてたら突然具合が悪くなった、みたいな。

 そういうやつなのかな?

 体中の毒出しなの?

 この状態のほうが毒飲んだみたいだよ?


 どいうことだ。

 気持ち悪い。

 どうでもいいから助けて。



 健康になるためにこんなにのたうち回るなら、そんな南極大陸でしか生きたことのないような清純な雑菌知らずの生物になんて成れなくてかまわない。


 北極でもどっちでもいいけど。


 小さいおじさんよりも(けが)れてたって別にいいんだよ。

  そんなのはどうでもいい。


 どうでもいいから苦しい。

 助けて。

 やめて。


 もう、どうなってんの?


 助け求めた方がいい?

 貝王様に?誰に?

 土偶魔王?


 ……土偶魔王?


 ん?

 まさか……またアイツかぁーー!


 アイツはまた、なんかやってんのか!

 これ以上は改変するな!

 いや、困ってんだっけ?


 どうでもいいけど助けて。


  ちょっと。


 もうここで、ヒト1人が死にかけてから。


 ちょっと?ここ、私のための島じゃなかった?

 どうなってんのよ。



 この夜は本当に開けるんだろうか?


 本当に頭が痛いよ。

 苦しいよ。

 気持ち悪いよ。


 夜は考え事しちゃいけないって言うけど、苦しくて本当に楽になれる気がしない。


 気持ち悪くて眠気もこない。

 寝て起きたら楽になるのかな。

 とても寝れそうな気もしないけど。

  動くと、それだけでクラクラくる。


 電気消したんだっけ? どうしたんだっけ。

 私、今目が見えてないの?

 どうなってんの?

 すごく眩しいような、真っ暗なような。

 不思議な感じ。


 寒いのと暑いのとが入り混じってる。

 意味不明の状態。


 あーしんどい。


 ブルブルと震えがきて、やっぱり寒い気もする。

 どうなってんだろう?


 夜が明ければ何でも改善するわけじゃないけど、もし寝て起きても、まだ治んなかったらどうしよう?

  原因がわからないから、何の薬を飲んだらいいかもわからない。


  ぼっちマーケットには薬が置いてなかったから、部屋に置いてあった薬は減る一方だ。

 間違って飲んで、悪化させるようなことをして薬を消費したくない。

 いや、苦しすぎて、そんなのも考えられない。

 何を飲んだらいいかもわからないんだ。


 私はどうなるんだろう。

 それに加えて、島はどうなるんだろう?


 全部含めて、不安で怖くて泣きそうだ。


 一番泣きそうなのは、苦しいことだけれども。



 なんだかんだとこの島に、この海に慣れてからは、イカさん先生や貝王様、奇見子(きみこ)さんが毎日訪ねてくれてスマ子がうるさかったりして。

 暇つぶしに、いや、愚痴りにカコドに行ったりして。

 まあ要らないのに襲撃もあったりもしたけど。


 本当の本当に、1人になったりはしなかった。


 あー、騒がしかったなー。

 怖かったな。


 結構、いろいろあったな。 本当に。


 でも。

 私は本当に久々に、一人で泣いた。






 苦しんで疲れて体力が尽きたのか、どうも私は寝落ちしたようだ。


 もうすぐ目を覚ますんだな、というのがなんとなく感覚でわかる。


 はっきり起きたら、もしかしてまだ具合が悪いんだろうか。

 それは嫌だな、と妙に冷静に考えている。


 でも、もう少しで起きるかなという時。

 その感覚とはもっと遠いところで、寝ぼけたような遠さで、メッセージのようなものを感じた。


 終わりました。


 なんだかスマ子の声のように聞こえた。


 でも声として聞こえた、という感じではない。

 どっちにしろ、手に持っている時、スマ子の感情を感じたりしていたから、スマ子の声で間違いがないのかもしれない。


  終わりましたって何の報告なんだろう?

 そういえば更新中だったんだっけ?


 更新みたいなもの、って貝王様が言ってたな。

 多分、って。

 スマホの更新について貝王様に教えてもらうって、変なことだよね。


 変だな、と思いながら覚醒を始め。

 寝ぼけている意識では疑問のままなのに、体は『終わったんだな』と認識している。


 何が。

 何かが。


 もう終わり。

 もう変わらない。


 混ざりあって『終わったか』と納得して、目が覚めた。


 わりとスッキリ。


 昨日までの気持ち悪さはない。


 うん。

 私は今日も安全。


 起きてみると、寝ぼけてた時の意識より、あの苦しさが続かなかった喜びのほうが大きい。

 魔力の感覚ばかり追うより、体を重視のほうが健全かもな、と冷静に考える。

 他人事風でもある。

 とにかく落ち着いている。


 カーサフクダの外も、2週間ほど続いていた、魔力が暴風雨みたいな乱れはない。


 多分、島の改変が終わったのだろう。


 今までは海の魔王から生み出された陸だが、これからは土偶魔王の土地になるんだろう。


 砂漠にするのだけはやめてくれ、とだけ伝えてあった。

 一回は砂漠になりかけてるからね。

 しかも、白服が思い浮かべたのと土偶魔王がよく知る陸の砂漠は同じ場所。

 黙ってたら、砂漠になってしまう。

 あのヒトクイアリも勘弁だが、見渡す限りの砂砂漠もイヤ。

 断固拒否。



 変に期待もしていないし、なかなか今日の私は冷静だ。

 よし。


 どうなったかな?


 カーテンを開くと……あれ?


 海、だね?


 いつも通り海しか見えない。


 はて?


 しかし違和感があり、窓を開けたらなんと!


 カーサフクダは断崖絶壁の上だった。

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