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愚痴

 

 驚いた。

 何で白服がいるの?


 おいおい、とうとう島に侵入しおってからに。


 もう。

 この先を考えると、真っ暗だよ。

 ってゆーか、今、暗いよ。


 あれ?


 暗くね?ここ。


 見回したら、ぼっちマーケットじゃなかった。


 カコドの主さんのお屋敷の、移動時の倉庫だった。



 ……侵入したの、私のほう?


 マジか。

 ついに悩みながら、無意識に勝手にお邪魔しますまで来たか。

 そんな私の扱いは、客のままでいいのか?主さん。


 ってゆーか、私のことはどうでもよくても魔王はそれで済まないから、適当に対応してるんだろうな。

 つまりクレーマーに『はい、はい。申し訳ありません。』って、ただ言ってるのと同じようなもの。


 はい。

 毎度お騒がせしてます。

 厄介者の客です。




「いつからいたの?」


「お前が来てからすぐ。」


 白服は、無意識に来てウンウン唸っていたとは夢にも思わず、不思議そうな顔。

 うん。

 私自身も驚いたよ。


 何とか誤魔化そうと「うー」とか「あー」とか言ってるうちに、驚きから気が反れてしまったからか、白服に私の現状がバレてしまった。


 その、呆れたけど見下しもするみたいなイヤ~な目線、やめて。



 暇がないのか、待て、と言って白服は仕事に戻った。



 ……使ってないコタツ布団とか持ってきて、今度ここに敷こうかな。

 ジュータン代わりに。

 寝転がってスマホいじりたい。

 疲れた。

 でも今は、それより何より焼き鳥を手から離したい……。





 一度戻った白服に、今度こそはと忘れないように焼き鳥を袋を渡す。

 袋といても、きちんとビニール袋に入っていない。

 茶色い袋に、串10本が入っているのか見えるままのやつだ。

 串先が見えたまま。

 いや、手で持つ方は串の先って言わないのか?

 まあとにかく、串が見えたまま10本ずつ入っているの3袋。

 これを両手で持っているから、結構持ちづらいのだ。

 渡せば良かったと、待ってる時間のツライこと。

 お腹へったって自覚すると、それまで平気だったのに、スッゴクお腹へるみたいな感じ?



 ただでさえ歩いて疲れたというのに。

 いや、もうほとんど遭難半分ぐらいの気分だった。


 その上、袋を3つ同時に持っているので疲れた。


 そのためか、前は食事の時にお手拭きみたいなのがあるだけだったが、多分初めてこの屋敷に来た時と同じように、手を洗うタライが用意された。


 すごいなー。

 何で、手を洗いたいってわかったんだろ?


 焼き鳥の袋って、多分汚れてるというほどタレとかで手が汚れたりしていないんだけど、なんか洗いたくなる。


 ちなみにタレの方が多い。

 タレ2袋、10本。

 塩10本だ。

 なぜ4袋にしなかったからと言うと、手で持つのがこれ以上はきつかったからだ。

 半々にすべきだね。

 2袋にすればよかったよ。


 ところでこれ、何人前?

 土産として私は持ってきたんだが、自分でも何人分なのか意味不明だわ。


 どうやら白服が、ちゃんと時間を作ってご飯と戻ってきた。

 出してもらった料理の皿の上に、綺麗に盛り付けられて1人5本ずつあった。


 食事をしてるのは、相変わらず私と白服、2人だけだ。

 残りは皆さんで食べるんだろうか?


 こういうのって、主さんの分をいっぱい持ってきた方がいいんだろうか?

 お土産マナーがよくわからない。

 お土産マナーどころか、カコドのルールもよくわかんないけど。




「それで避難してきたのか?」


 グッチグチと、今日のことを食べながら愚痴る。


 夕方というほどの時間でもないから、白服はまた仕事に戻るだろう。

 今は多分、昼休憩みたいなもんだからね。


 何時だったか、全然、本当に時間見てなかったけど。

 でも外はそんな暗くない感じだ。

 だから就業時間は終わるまではいかないはず。

 休憩が長く取られて、もしかしたら終わるのが今日は遅くなるかもしれないけどね。

 ごめんよ。


「避難?」


 そーゆー考え方もあるのか。


 いや、避難なら私より先に、ゾウさんだよな。


 カーサフクダは安全なハズ。

 依存性の高いお薬を求めるように105号室が狙われたらわからないけど。

 ま、そこまで求めなくても土偶魔王とかなら自分で薬とか畑を……。


 おお。

 暗いほうにしかいかない。


 でもどうしても、カーサフクダが一番安全だと思ってしまうんだよな。

 白服にとってみたら、人が人から離れて生きられるとは思わないんだろうけど。

 砂漠で死にかけていたところをこの街に来て、ようやく生活と呼べるものができるようになったんだもんね。

 多分。


 白服の過去は、ほとんどよくわからない。

 ごくごく最近なことだけだったら、この屋敷の中で読み取ることができるけれど。

 白服自身は、私よりはるかに頭の中を閉じるのが上手くて。

 いや、閉じるって言うか私は頭の中に侵入することはできないけど。

 私みたいに自分で、頭の中身を発射したりしないし。


  まぁとにかくわかんないんだが、すごく幼い頃だったら土偶魔王があの子を通してみた白服の姿を知っているけれど。

 その中間をすっぽり知らない。

 要は白服が人と関わり合いながら生きてきた時間のことを。

 まるっきり知らないのだ。

 主さん大好きなことだけは見てればよくわかるが。



 コイツ避難してきたんじゃなかったら何してんだろう?という不思議な顔の白服。



 時間とってもらって、何してんだろう、私は。


 安全な(ハズの)カーサフクダと、人と会わずに文明の良いとこだけ享受する生活。


 もうね、愚痴りたい。

 それしかなかったんだ。


 こういう時にこそ、おしゃべりスマ子の出番なんだろうけど、ほんとにずーっと黙ってんだ。

 自発的に黙っている最長時間じゃないかな。


 ほんとに、どこ盗撮してんだろう?

 島かぎつけられるようなことすんのは、やめてよ?


 

すみません、仕事の時間が変わって書く時間が捻出しづらく、もっと遅くなります。多分。

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