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抗争

 

 あとね~、これー。





 イカさん先生は楽しそうに、映像の視点をぐるりと回す。

 多分180度ぐらい、ぐるりと回って、また水。

 多分。


 噴水のように水が白くしばたいている。

 え?何事?

 滝?


 ん?

 変だな、と思ったら、ぐぐっと寄った。

 寄っても白いしぶきをあげる水。


 どうなってんの?海?


 私はそっちにばっかり集中してしまうので、あまり魔力で見ないようにしている。

 魔力を感知する前から、ウッカリさんだからね。

 私がやると、歩きスマホより危険なのだ。

 多分。


 しかし見える景色が変わらないので、徐々に魔力を込めて見る。


 何かいる。

 ここ(映像の中)は海。

 それは間違いない


 何?

 陸から魔王なんて大物を呼んだから、道が出来やすくなって、おかしな魔力持ちでも呼んでしまったのだろうか。


 本当に危険なものだったらイカさん先生だって、こんなに楽しそうにはしていないだろう。

 陸上のことだから関係ない、と思うとしても、これは海なのは間違いないから。


 でも、よく知ってる気がする?

 そんなに危険性を感じないというか。

 でもなんか底が知れない、怖いもの。


 なんか……あれ?やっぱり知ってるような気がすんなぁ。



 徐々に徐々に見えた、……気味(きみ)(悪)()さん。



 …………アンタかよ……。


 自分の海で、何してんの?



 忌海子(きみこ)さんは、何故か汚黒髪をフルに使って水柱を立てたりそれを海に叩きつけたりしている。

 そのせいで、常に水しぶきで海が白い。

 一部、汚黒髪だけでは間に合わなくて、魔力を使っている。

 つまり、ホントにただの海水噴水だ。


 ホントに何してんの?






 これは、ドグウ魔王に対抗していますね。





「え?!そうなんですか?」


 魔王同士の抗争?!


 そんな!…………平和?

 けっこう、平和?


 いや!

 私は困る。

 地面も海も荒れられたら困る。

 生活が。


 ってゆーか、これですでに威嚇合戦なの?






 これは両者、魔力の足しにアレを食べるかもしれませんね。





 面白くなってきたねー!





 え?ちょっと!


 真っ白コンビが、なにやら暇をもて余しすぎた趣味人みたいな事を言い出した。


 何も面白くないよ!


 しかし、人外四人中三人まで魔王という、この状況下。

 私の心の叫びなど、豆粒ほどの価値しかない。

 どのみち止める力もない。


 ゾウさんが今日、どこにいるのかわからないが、無事であることを祈るしかない。


 こんな時こそジャンケンでしょー!とか思うが、貝パールは壊さず(もてあそ)べても、毅身子(きみこ)さんにそんな小手先技が使えるとは思えないのも事実。






 どうせ試してみたんでしょう。






 昨日試しに食べてみましたが、少し足しになります。





 スゴい会話してんな!


 貝王様の好奇心が凄すぎるよ!


 私と白服の『誰がそんな危ない真似すんだバーカ』という昨日の会話が、とてつもなく()()()()で健全な気がするよ。


 っていうか、食べれんのかい。

 食べたの?ホントに?


 貝ってけっこう何でも食べるのか。

 メダカ飼ってた時に、水草についてた貝が勝手に大繁殖してしまったが、すごい雑食だったよな。

 駆除してもしきれないから、放置して増えてただけだもの。

 うっかり水が汚れてメダカが死んだらさ、跡形もなくその体を食べ尽くしたからね。

 私、メダカの数が足りないから、飛び跳ねて干上がって死んだのかと思って、水槽の周りをかなり探したもん。


 貝の食欲ってすごいね。

 いや違うか。

 そういう問題じゃないか。


 あれは餌をあげなかったからか。

 逆に言うと省エネで生きていけるから、あんなに繁殖したのか。

 駆除しようとしても全然水槽から排除出来なかったもんな。


 怖いわー。

 貝こわいわぁ。


 そして、ワタクシ魔王に絡まれてめんどくさい、から魔王同士の抗争(深刻度は謎)に発展してんじゃん。

 何だ、これ。


 全て、斜め上に事態が発達しちゃってるじゃん。



「あの~。これ、平和に治まりますか?」


 それ大事よ。


 純白コンビは息の合った答えをくれた。





 わからない。

 わかりません。





 そうですか。

 陸のこと(?)だと考えてるのか、このライトさ。

 他人事っちゃあ他人事だが。


「えー、と。何かすることありますかね?」


 こう聞く私も他力本願もいいとこだが。


 しかし、お二人の回答も変わりなかった。


 ないんじゃない?と。




 んー。

 わかった。

 私は気にしない。


 そう考えると、イカさん先生がついでのように教えてくれた。






 あの子は元気よ。





 砂の小島かい?

 というほどの、水に囲まれた少ない陸スペースにいるゾウさん。

 ゾウさんの体じゃあ、身動き取れないんじゃない?


 避難なのか、何なのかわからんが。

 土偶魔王も、もうちょっと考えてあげても。

 私にはそう見えるが、当のゾウさんは一本だけある木に鼻を伸ばして楽しそう。



 この、水しぶきと真水広がってく戦い、どれくらい続くの?

 え?

 帰りたい。

 家だけど。


 気をまぎらわせるのにスマホをいじろうとしたが、絶対充電終わってるはずなのに、スマホの画面にはデカデカと『充電中』とある。

 もちろん、スマ子がサボってるだけだ。

 こんな画面いっぱいには通常、表記出ない。


 スマ子は前にもこの画面出して、スト起こしたけど。


 昨日からスマ子は話さない。

 そこまでそれに気まづさを感じなくなってきて、私コイツと一緒に暮らしてるみたいだな、と思う。


 どんな慣れ?コレ。


 何だろう、この灰色の気持ち、とまではいかないけど、インクルージョンいっぱいで不透明ですね、みたいな心情。

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