表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

205/235

変化

 

 ゾウさんが魔力持ちなっちゃった、かもしれない翌日。



 私は状況を聞こうと思って魔力珊瑚の前に立った。

 昨日、白服にも食べさせても大丈夫かな~って思って提案したことなどの報告も含めて。

 白服本人にすでに拒否られたけど。


 あと、どのくらい土偶魔王に近寄っていいのかなって。

 わからなかったから。

『その話をしてはいけない』みたいな、都市伝説みたいなことになってたら困るしね。


 そもそも物理的に近寄れないかもしれないし。

 あそこを通らないと、島の魔王が出来て安全になっても、向こうに行けないんだが。

 結局どうなったんだろう。

 様子を見るしかない、と言っていたけれども。


 っていうか、そこに貝王様を巻き込んでいいものなのだろうか。

 もう巻き込んでるけど。


 忌海子(きみこ)さんのやらかしも入っているけれど。



 グチグチ考えていたら、目の前に立っていたせいか貝王様の方が先に反応した。





 おはようございます。





「おはようございます。」


 だいたいこれで始まるようになったな。

 合わせてもらっている。

 ありがたいことじゃ。



 今もそうだけど、反射的に頼ってしまう。

 貝王様は、仕事が増えていくだけだな。

 ごめんね。


 多分、手を離そうと思って土偶魔王を呼んできたのに。

 セレクトミスか。

 土偶魔王の方も、愚痴っちゃっただけでこんなことになると思ってなかっただろうけれど。



 どう聞き出したらいいかわからないから、私は『昨日はあんなことこんなことしました』という風に報告してみた。

 報告っていうか、ただの世間話だな。


 訊いただけだし、食べさせたわけじゃないし。

 でも、勝手に食べさせてたら問題だったろうな。

 そうはならなかったけど。

 白服が食いついて来なくて良かった。


 そういう話になって一応欲しいかと聞いてみたけども、本人にいらないと言われた、という話をした。

 


 それに対し貝王様は、ちょっと元気がない時などに食べるといいと思う、というのを教えてくれた。

 なんとなくのイメージ的には、栄養ドリンクやビタミン剤みたいな感じだろうか。

 いつも元気満タンに食べているといらないんだけれども、魔力持ちがお疲れなどの時に食べるといいらしい。

 多分。

 魔力持ちになるわけではないけれども、似たような食材になる生き物だったら、海の中にはあるみたい。

 少なくともそういうものは、海の中ではそういう使い方をしている、とかなんとか。

 元気になるには、これを食べろ、みたいな?

 栄養失調とかにはだめだけど。


 前に『魔力が自動で体の補完を始めるから、弱ったらダメ』みたいなこと、言われたな。



 そうこう話してるうちに、イカさん先生も来た。


 窓を開けようと思ったが、まだ話し中だから失礼かとまごついてたら、貝王様が魔力でピッと開けてくれた。

 それに慣れてる風に、ヤッホー!と笑顔のイカさん先生。


 こちらの会話の進行がわかっているかのように、ちゃっちゃと用件を話し始めた。





 こ~んな感じだったよ~。




 こちらからは、窓枠で白く四角くトリミングされて見えるイカさん先生のお顔。

 そこから室内に、先生が足先を差し入れる。

 白い足先だけを、くりんくりんと回し、円を作る。


 催眠術かなんか、かけられてるみたい。

 だってその足先にみんな集中しちゃうからね。

 催眠術ではないけれども、その先生の足先の円が(ほの)かに光り始める。

 勘違いじゃない。

 そのうちに、どんどん光が強くなっていって、それが魔力を映し出す映像になった。


 先生が足を止めてもその丸い映像は、少しずつ大きくなりながら先生の足先から離れて、部屋の中央よりにやってくる。

 そして移動が止まると、大きくなるのも止まった。


 不思議だね。

 私はその円を横から見ているはずなんだけれど、ちゃんとこちらからも映像は見える。

 というか、なんというか理解できる。


 じゃあ球体なんじゃない?って思うけど球体には見えないんだよな。

 映像として目で見てるって言うよりは、そこに魔力で映し出してるから頭の中で先に理解できるようになってるのかもしれない。

 私も見えてる気がしてるだけかも。

 あんまり状況を解説出来ない。


 ふふ、理解出来ないと、それ以上考えたり理解しようとするのを辞めちゃうよね。


 便利~。

 すご~い。


 もう、それでいいや。



 それで見せてもらったのが、ど~んな感じなのか。


「ん?海?」


 いやいや、違う。

 湖?

 んなバカな。


 あ、あれ?

 あの、いかにも2時間ミステリーの撮影に使われてそうな海岸線の崖に見える風景は、土偶魔王の岩場?

 え?

 海に昨日から今日で浸食されたの?


「え?水?」



 どうやらイカさん先生は、昨日大騒ぎしてたので、今日も様子を見に行ったようだった。

 が、どうも土偶魔王は、一生懸命あの土地を作り替えているようだ。

 私は混乱したまま見ているせいでわからなかったけど、貝王様が『あれはただの水だ』と教えてくれる。


 水?

 水辺また作り出したの?

 島の中に?

 わざわざ?

 海に囲まれてんのに?


 あ、ゾウさんの水飲み場所も必要だからいいのか


 ……いいのか?!

 ゾウさん、結局飲み食い必要なくなったの?!

 どうなの?!

 それによって、意味が全然違わない?!

 これもしかして、領地作って力蓄えようとしてない?

 それは人間の領主や地主か。

 魔王には……関係あるの?もしかして。




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ