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呪文

 


 いやはや、考えてみたら何も飲み食いしてないじゃないの。


 こいつぁいけねーや、食わなきゃな。


 よし、メシだ。




 フキの佃煮と冷奴6分の1くらい。インスタントみそ汁、乾燥野菜足し。


 ご飯は炊いてないからチンするやつ。 


 貴重なものがまた1つ、失われた。食べるけど。



 たまたま玉子と納豆買っといて良かったな。

 今年ホントに熱暑すぎて、料理は無理めだから最近買ってなかった。


 海上にはイートインスペースのあるコンビニも、牛丼チェーンも、普段高くてフード食べない喫茶店もない。


 冷蔵庫圧迫するだけで駄目にするかと思ったが、身を救われた。


 白玉粉1キロと、餅もな。

 まさか海をドンブラコするとは思わないもんね。

(いや、流れてんのか、全く動いてないのかもわからんが)

 暑いくせにお汁粉食べたくなって、暑いからやらなくて。

 これぞ正に、備え有れば憂い無し。


 この状況に備えたんじゃないけど。




 食べたつもりのものが、ひょっこりあったのも幸いだ。


 フルグラとか、きな粉もなくなってマチ付きの袋に生ゴミ詰めて捨てようと思ってたのに、きちんと見直したら残ってた。


 ありがたや〜、ありがたや〜。



 でももう、スーパー時代劇の舞台とか、2.5次元のミュージカルとか見に行けないんだよね。


 生で見るから迫力があるんだけどな。

 ライブとかフェスとか。



 コミケもう行かなくなってたけど。

 いや、諦めきれない。


 せっかくオリンピック来るなと願懸けまでしたのに。120円も賽銭して! 


 “東京オリンピック、とっくに終わった……“


 仕方ないの。


 コミケはまぁ、年2だけど。


 その他は行った回数が多くないから。

 ライブ、とか、フェスなんてリア充系のイベントは。


 年単位の話になっちゃうの。


 だってチケット取ることが難しいんだよ。

 どんだけ電子機器操る能力がいるの、アレ。

 私にそんな現代っぽい特殊スペックあると思う、か……。


 すぺっく……。






 私はよく、読んでいた小説家にナロウには異世界転生が流行っていた。

 何年も前から。


 仕事終わったら現実を忘れたいから、異世界転生を読む。流行ってるからいっぱい異世界転生が書かれている。いっぱい読みたいジャンルがあるんだから、そりゃあそればっかり読む。


 すると、元ネタを知らないのに実に半端な知識が薄っすらとつく。


 金髪碧眼の若い美女の耳が尖ってればエルフ、自然を愛する長命種です、みたいな。


 コカトリス美味しい、とか。 実はコカトリスが魔物としかわかってないんだけど。



 ファンタジー文学とか、何故か小学校辺りにはもう興味なかったんだよね。


 座敷わらしとかフキの下の人とか口裂け女なら、本気で信じてるわけじゃないけど、存在しそうな感はある。

 存在しそう、というより何処かに潜んでそう、の方が近いかな?



 でも西洋ファンタジーって遠すぎてピンとこない、というか。


 輝かしくて遠い?


 日本の風土には生息しなさそうに感じるのかな?



 信じてないけど幽霊怖いが、宇宙人と交信していると仰る方からはとにかく離れたい、みたいな。


 何か全然違う話になったな。



 えーと、異世界転生を読んでいるけど、どうもゲームやファンタジー文学からの出典らしき知識ベースで

「やっぱりロマンだよね」と、作中で語られても全然共感してない。

 ゲームもやった事ないし。


 ただ、そうなんだな、と読み続けるだけ。



 こんな私だが、異世界転生、または転移の後の登場人物の行動で、とても「わかる!」と体感した事があった。


 なろうアルアルのアレです。



「異世界、魔法アリといったらコレでしょう。


 ステータスオープン!


 あれれ?

 何も出なかった。


 恥ずかしー誰も見てなくて良かったー」


 コレです。


 経験済みなんですよ。

 “何て?”


 あれはまだ前居。

 携帯変えた時の事です。


 夜中?雨戸閉めてると時間わからなくて。

 時間見ようと携帯を手探りして、スカするばっかだったから、当時よくやってた方法に換えた。


「オッケー○ーグル、ルーモス光よ!」




 ……。

 …………。

 前のこは大丈夫だったのに。

 便利だったのに。


 真っ暗なだけに虚しく辛かった。

 あと恥ずかしかった。


 それで思った。


 これがあれか、と。


 暗闇で1人噛み締めた。

 1人で良かった。


 私は今日、悔しさをバネにする。



 そういうわけで、躊躇なくいきましょう。


 ご飯食べ終わり、さっきまでの場所に戻る。


 携帯は最後にみた姿のまま横たわっている。


 ここはおそらく(それも信じたくはないが、気味子さんが日本近海に出ても泣く)異世界。

 そしておそらく、魔法がある。


 今度は本家だ。


 いくぞ、携帯。つーかスマホ。 

 お前が欲しかったのはこの呪文なんだろ。


「オッケー、○ーグル ルー」

 あ、違う違う。


 しかも昼だし。


 このスマホそれ出来ないし。



 今度こそ。


 異世界で、本家の


「ステータスオープン!」


 フォン。


 なんかライトセーバーみたいな音がして、白っぽい半透明の板みたいのが宙に浮いて出た。

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