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ご飯

 

 グンニャリした空気を感じ取ったのか、扉の外から声をかけられた。

 どうやらご飯らしい。


 そういえば、そう言われて連れてこられたな。



 入り口の扉の方が開いて、ご飯らしきお盆を持った人たちが列で入ってくる。


 それから少し経って、窓の外の方から雨戸が順に開けられる。

 徐々に明るくなっていく。


 とっさにトーテムポールの方を見たが、どうやらライト(?)の光は、自動的に弱くなっていくようだ。多分。

 そう見えてしまう、っていうだけじゃないみたい。


 へ~。

 不思議だな。

 自動調節するんだ?

 ハイテクメカ。

 でもトーテムポールはかわいくない。



 料理を持ってきた人たちの中には、あの親子もいる。

 薄暗い?室内の空気を払拭するためなのか、みんなピカピカの笑顔だ。

 扉の前で機会を伺っていたのだろうか。


 スラム君だっけ?

 あの子も、料理を一生懸命高く掲げて、楽しそうに持ってきたりする。

 いい子やな。


 こうして見ると、どこが人減ったの?って感じ。


 それが金持ちということか。

『これでも少ない方ですぅ』という有り余る財力。

 すげえな。



 そう思ってたら、お盆を置いたスラム君がこちらを向いた。


「ご馳走さまでした!」


 おや。

 よかった。

 喜んでくれたようだ。

 それを微笑ましく笑顔で見ている他の人たちも、声を揃えて「ごちそうさまでした。」と言った。


 あのクッキーは、もう一斉に食べてしまったようだ。


「どういたしまして。美味しかったですか?」


「はい。すごく美味しかったです。」


 スラム君が、ほとんど代表のように答えている。

 いい笑顔だ。


「皆さんも甘いもの好きですか?」


 そう言ってみたら「とても美味しかったですよ。」とか「はい。」と方々から声が聞こえる。


 スラム君も「大好きです!」と言ったり。

 ほうほう。

 なごやかでよろしい。


「イトー様が作ったんですか?」


 そこははっきりとノーと言っておこう。


「いえ、頂き物なんです。」

 島からの。


 ちょっと違うな。


「誰か別の方が作ったはずですよ。」

 と言っておく。


 メーカーという共同体の中の人が。


 あんまり余計なことは言わないでおこう。



 何人かで運んできた、たくさんの料理はどうも小皿ばかり。

 一人分の種類が多いみたいだ。


 えー、なんと!


 何度かお食事させてもらったことがあるけど、だいたいその都度、いろんな形式だな。

 何でもありなのかな。


 定食みたいになんていうか、4つぐらいの器がどんどんどんどーん、みたいな時もあるし。

 こうやっていっぱいの小皿で、懐石料理みたいな時もあるし。

 あるしってゆうか、これは初めてだけど。


 器は、なんかちょっと懐石と違うから、空気感は違うな。

 料亭とか、ほとんど行ったことないけど。


 でも何て言うか、小綺麗に盛り付けられているからすごく見栄えがする。

 美味しそうだし。

 色んな匂いがするんだが、スパイシーなんだろうか?



 持ってきた人たちは笑顔で退室してしまったので、残った4人での食事となる。


 料理の小皿が多く1人分の範囲が広いので、でかいと思っていたテーブルが、みちみち。

 4人の距離が近くなってしまった感じがする。


 微妙。


 こういうのも、取引の現場で大事なんだろうか。

 よくわからない。


 ところでこれ、食べ方とかあるの?

 外側から食べるとか内側から食べるとか、ある?

 よくわからんわ。

 なんせ、自分を軸に三方に広がる小皿。



 とりあえず勝手に食べてていいのかもわからないので、黙って主さんの方を見ていたら「どうぞ」と言われた。

 客(というのも図々しいが)から食べてよいらしい。


「いただきます。」


 一応、ちゃんと手を合わせてから食べた。


 よくわかんない、一番近い黄色っぽいカレーみたいなの。

 もうどれが、どれの香りしてんだかよくわかんないな。


 いろんな香りがあるが、いろんな色もある。

 だいたい小皿みたいなのが多いんだけど、こういうのって主食っぽいパンとかだったら目立って分かりやすいと思ったんだけど。

 どれがなんだか全然わかんない。

 中くらいの大きさの椀はあるけど、汁入り。


 とりあえずスプーンの種類は2種類ぐらいしかないから、それで食べよう。

 ってゆうか、スプーンしかない。


 ほうほう。

 混ぜて食べるとかは出来ないみたい。

 うーん。

 口に合わなかったらどうしよう?

 めっちゃ対面ご飯じゃん。

 お残し気まづいなぁ~。


 ん?


「うっま!」


 なかなか強い香りだったのに、爽やか!

 え~!マジか~!

 美味しいー!


 パクチーとかレモングラスとか苦手だったのに。

 新しい扉開いちゃったよ。

 え~!

 老いと食欲止まらないのに~。

 い~え~い。美味しいもの、増えた。

 うま!


 他のも。


「うま!」


 さっきからウマウマしか言ってない。

 仕方ない。

 心からの声だ。


 いや~前々からここのご飯は美味しいと思ってたんだよ。


「美味しいですか?」


 ニコニコ笑顔でコネンさんが聞く。


「最高です!」


 こんなにたくさんあるのに、まだ初手でこんなこと言ってて大丈夫かな。

  後から口に合わなかったらどうしよう。

  とりあえず、まずいと思ったやつと混ぜちゃえばなんとかなるんだろうか。

 今食べたものはこんなに美味しい。

 スパイス効いてるなら、混ぜておけばそのうちカレーになるはずだ。多分。


 美味しいと叫びたい気持ちもあるが、冷めてしまうと大体の料理は美味しさがとんでもなく半減するので、急いで食べなくてはならない。

  そうそう。

  時は金なり。


  喜んでいろんな料理に手を出して食べた。


  いやー。どれも美味しいからね。

 ついつい手をつけたのばっかりを、そのまま食べ続けたくなっちゃうんだよね。

 1丁食いしたらもったいないね。


  全然違う香りや味がして美味しい!

 すごいね!

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