日本語
日本語と、何か選択肢があった。
アルファベットは頭が拒絶して読めない病なので、迷う事なく日本語を選択する。
ハッハッハ。
中、高、専門で8年間も英語を学んだにも関わらずアイムファインセンキューアンデュー?までしか話せない私に何を聞くのだね?
ファインじゃない時の方が多いし。
……ファインってスペルなんだっけ?
あれ?どの文字が羅列しているかって、スペルという言葉で合ってたっけ。
大丈夫!
英語、関係ないし。
ここ私1人。
”きみこ“
何の声かな?
専門?訊かないで。
どうせオイラは無職漂流者さ……。
今ね、今。
陸にいた時はコレでもちゃんと働いてたから!
むしろ休むと生活出来ないから。
ちゃんと働いてたから(涙)
けーせらーせらぁ〜
“脳内の歌声も震えるんだな”
ね、携帯。お前は私の味方だよね。
私がいなきゃお前はただの板だもんね。
携帯は何も答えてくれない。
ポチッとな。
魔法の鏡のように意思のあるイエスマンになるんだよ。
日本語話すようになったから触ってあげよう。
”変態“
聞こえない、聞こえない。
マイ携帯なのに海に来てから私を裏切り続けた、あの携帯がまた戻ってきたんだよ。
優しく(タップ)してあげよう。
ところでさっきポチした設定はいつ表示されるのかな?
携帯が無職してた頃には消えてた設定マークが復活してたからタップしたのですがね?
って文字化けしとるやんけ!
確かに日本様式だな。
でも日本語ではない!
同じく無職時代の携帯は、アイコンが変化しただけではなく、その下に表示されてたアプリ名も消えていた。
日本語モードになればまた付くかと思われたが変化なし。
だから、わかんない、ってば。
どこで検索するのかも、日本語を選択した後もアイコンは『この世界の標準』とやらのまま。
つまり調べようもない。
全くもう。
曲がり並みにもバージョンアップしたんじゃないのか!
分かりづらかったら、その時点で退化なんだよ。
バージョンダウンなんだよ。
めんどくさくなって、適当にタップしてみた。
『スペックを確認しますか?』
日本語ーー!
待ってた!
君を待ってたんだよ、ずっと。
ずっとずっと前から! “いやここ来てから”
スペックってなぁに?
この世界の標準の携帯の機能?
ウンウン、お願いします。
教えてください。
今、私の心はオレンジ色が跳ね回るような温かさと安らぎが広がっている。
もう、語尾にハートマークがつきそうだ。(世間一般にオバチャンと呼ばれるカモ、しれないので自重する)
暖かいどころか体感はクソ暑いが。
あぁ~、良かった。ホントに。
人生、苦もありゃ楽もある。
止まない雨はない。
雨降って地固まる。
良いんだよ。
喜びが実を結ぶ素の、たくさんの種のうちのひとつにはきっと、苦みがあるのさ。
遠く感じるけど、気味子さんと一歩踏み込んだ関係になったのもこのためだったのかな。
気味子さんを通して(もしくは独自の妖怪的)雄大なエネルギーが通電し、
『通例の呪文を唱えてください。』
知らねーよ。
心は一瞬で2月の小樽にいた。
”小樽建物綺麗だった〜“
”海鮮料理もスイーツも美味しかった、凄く“
”あそこのピルスナー飲みたい、3本くらい“
“地方は観光地でさえやっぱりシャッター通りとかになっちゃうのかと思ったら、あの店の町中華がホンッットーに美味しかった!全部。高くないのに。コレ1番。”
“美術館とかも展示内容も良かったけど無期限共通チケットとか最高だった。全然時間足りなかったし”
”ガラス専門店とかオルゴール店とかいっぱい見たなー。また行きたい。うちらの稼ぎでもイケる店とか探したからだけど、でも良かった。“
おそらくは社会人としての、又は人としての最低限の理性の欠片と言われるもの。
サチコとサチオが大集合で一斉に、良きもの、素晴らしきもの、幸せの記憶を今の心情に結びつけて、心を救おうとする。
そう、小樽は寒かった。そして美味しかった。美しかった。
ちと浮上してきた。
うん。ワタシ寒イ慣レテル。
おし。祥子さん、東北出身ですの。
優勝旗が白河の関を超える事なく悔しんだり、ライブとか飛んで道に行っちゃったり、首都のいとこにテレビ番組の放送時間が都会と違って笑われたりして育ちました。
大丈夫、幸せなんてものは幻想だ。
ただの気の持ちようだ。
『大丈夫』とか自分で言い聞かせる時点で全然大丈夫じゃないけど、短気は損気なんだ。
こんな人類に触られなきゃただの板に操られるんじゃない。
イライラするのはきっとまだ冷房が効いてないからだ。
身体の快、不快も心に影響する。
そして1番は、
空腹。
私の場合。
もうエアコン効いてくる前に止めて朝ごはん食べる。




