表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

180/235

魔王の距離

 

 どうも土偶魔王からつるつる話を聞いていると、ワタクシ魔王様はポツポツとした不満をもらしていた、いう感じで、深い理由はないらしい、ということだった。

 でもとにかく、土偶魔王に対する不満の話をしていたみたい。

 私じゃないんだ。

 そして理由なく不満なんだ。


 土偶魔王本人は、特にかかわり合いがなかったのに嫌われていた、と主張。


 ほう。


 つまり、とにかく嫌い。

 近いと不満、と。


 近い近いと言われると、貝王様と鬼深子(きみこ)さんと同じレアパターンかと思っちゃう。


 しかし、即座に『怖いこと考えないで!』と思い浮かんですぐさま否定される。

 どうしたの?

 おっとりさん。

 もしかして……。





 違うから!






 はーい。

 一応、別地域らしい。

 でもゾウさんは、向こうの土地までたまに歩いてくとか。


 別魔王の土地のマナが混じりあったりするのかな?

 土にも砂にも風にもマナが宿るんだから、そんな線引きは意味ないか。


 マナって元素?

 元素ってなんだっけ?

 つぇーでーいーでーボクのふね、って何だったっけ?

 なんか理科で覚えた気がする。

 ……。


 ま、いっか。

 こっちで元素記号なんて覚えてても意味ないし。

 魔法の練習してる時に、えいちつーおー、H2Oって思い浮かんできただけだしね。

 それが水なことはわかる。

 それ以外が何も思い出せない。


 あとR2B2。

 水と同じくらいスッと頭に浮かんできたくらいだから、よほど日常に馴染んだものだと思う。

 でも何かわからない。

 気になって嫌々スマ子で検索したのに、なぜかシリーズ物のSF映画の記事とか出てきた。

 何故だ。

 家電の通販ページとか。

 何故だ。


 何でもネットでわかる時代、って言うけど正確に検索出来なきゃ意味ないよね。

 タグ付けなのか何なのか、通販サイトの中でも探してる物が関係ないものに埋もれて全然探せない時がある。

 目につかせて買わせようとしてるんだろうけど、探してる邪魔されると忌々(いまいま)しくて絶対買わねー!ってなるだけだから。やめて。


 とりあえず全然判明しなかったので、放置した。



「んじゃ話は進まなかったんですね。

 でも、ケガしたから賠償とかってこじれたらどうしようかと思ってたから、ちょっと安心しました。」


 正直に言うと、土偶魔王は『は?』って感じだった。


 疑問、ワケわからない、何だそれ?という魔力に一帯に広がって体が包まれる。

 変な感じだ。

 身の置き所がない気分。


 安定してコミュニケーションがとれるのは、魔王の努力の上だ。


 まさかケガの概念がない?

 でもゾウさんのもともとの群れとかもこの場所にいたりもしたんだし。

 群れは季節ごとに場所移してたみたいだが。


「あの、向こうの魔王様の体にさわろうとしたら、指がブスっと入って……。」


 あれ?

 私、やらかしました、しか言ってないから伝わってなかった?!

 まずい?


 ややあって、土偶魔王からようやく反応がもらえた。






 あぁ、なんだ!ケガかぁ~。

 魔王に、って言うから何かと思ったよー。






 ええー?

 ほかに何って言ったらいいの?

 ブスっといったよ?





 そんなんでダメージ負ったりしないよ~。

 傷なんかつかないって。





 体、違うんかい?

 貝王様なら、ただの映像だったりするけど。


 でも、土偶魔王がみる手助けをしてくれているのか漏れているのか、それに関わる魔力を引っ張ってみてみると、あの巨大化(というほどでもないが大型化した)の体は、ほぼハリボテのようだ。

 本体は変わらないし、なんなら間に壁を挟んでハリボテを周囲にはり巡らせている。

 イカさん先生の『へーんしん!』に近いのかな?

 あの辺が私もよく、わかってないんだ。

 とにかく、ノーダメージ、と。


 あの『ギャー!』はなんだったんだ?


 いまいち腑に落ちない。


 まあ、いいって言うならいいんだけど。



 話が一旦途切れたので、家に帰る。


 貝王様にも謝らねばならない。

 貝王様の指示で行きはしたんだけども。


 だいたい貝王様がやってくれてることは、私のためである。

 海の中のことに、私はノータッチだもんね。

 忙しいのにすいませんね。


 そういうわけで家に帰る。


「すみませ~ん。戻ってきました。

 ご迷惑おかけしてすみません。」


 そう。

 怒られるような、出張(デバ)ってもらうような想定はあったけれども。

 今日のは完全に、私がやらかしただけだから。


 いや、怪我じゃなくてよかったんだけどさ。


『おかえりなさい。』

 と(魔力珊瑚に)来た貝王様にも、一応聞いてみる。


 あれって怪我させたんじゃないですよね?という感じに。

 大丈夫とはもう言われてたけどさ。土偶魔王に。



 やはりアレは、ノーダメージだから大丈夫、とのことだった。


 なんだったんだ『ギャー』?

 私は痴漢にあたるのか?

 それも嫌だ。



 イカさん先生もすぐに来て、土偶魔王はこういう風に言ってました、という風に報告する。

 貝王様も間に入ったということだから、もしかしたら向こうの会話を貝王様もよく知ってるかもしれないけど。

 なんとなくついていけない、ともらしていたと報告してみた。






 そうかもしれませんね。






 と、貝王様。


 貝王様には、うまくいかない理由がわかるようだ。





 両者ともあの環境で少ない水の者ですから、思うところがあるのでしょう。





 へー。

 ワタクシ魔王様は水なんだ。

 全然、気づかなかった。

 あんなに吹きっさらしの風の中で、近くに水の魔王が2人も生まれるものなんだな。


 あの2人、距離近いんですか?






 近く感じましたね。

 こちら……海よりは近かったです。

 陸も人がいなければ、魔王の数も多いのかもしれません。






 ああ、陸のうち、人がいないところに生まれるからだろうね。


 陸、魔王同士の仲悪そうだな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ