表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

179/235

理解

 

 壁も割としっかり壁だな、とか触ってみたり。

 広さ的にはちゃんと横になれるんだな、と寝転がったりして(無駄に)住めるか試してみる。

 ここには住まないけど。


 前より、この中の湿気がない気がする。


 高いところなので怖いから、恐る恐る穴の近くに寄っていく。

 いい感じに植物の葉が茂っている部分で、外からは丸見えにならないように覆い隠されているような感じだ。


 こっちからはちゃんと、植物で覆われていてもどこまでが岩かははっきり見えているから、危険は少なそうな。


 うっかり落ちそうになったら、せめて植物を掴んで落下を防げたらいいんだけども。

 そこまでたくましそうな植物ではないよな。

 草に近いのかな。

 蔦とかみたいな?

 なんか細いツル植物。


 ツルっていうと、どうしても鶴のほうを想像するんだよな。鶴の恩返しのほう。

 私が落ちそうになったら、水をあげた恩返しでツル植物が助けてくれないかな?

 雨のあとすぐ生えた植物の中にいなかったと思うけど。



 覗き込んで外を見ると、やっぱり下は水辺になっている。

 しかし、岩の簡易階段のような壁のゴツゴツはない。

 もし落下した場合の危険性は低いかも。



 土偶魔王 方を意識すると、かすかにワタクシ魔王の魔力も感じるので、魔王同士の魔力会話ってこんな感じになったな、と思う。

 向こうの魔力もこっちに飛んできてるんだろうか。

 電波じゃないけど、どうなってんだろう。

 電波の方もあんまわかってないけど。


 すいませんね。

 手伝いに来てんのか何なのか。

 知らないけど、お手元を取らせまして。


 大丈夫なのかな。

 あの辺一帯のマナが崩れたりとかしないのかな。

 私、怪我させたことになるの?

 あれって怪我なのかな。

 びっくりしてギャーって言っただけだったらいいな。


 でも、魔王をそんな簡単に傷つけられたら大変だよね?

 だよね!多分大丈夫だよね?


 希望的観測過ぎるかな?

 いやいや。

 もう私がどうこうできるんじゃないから、今は余計に悪い方に考えても仕方がない。


 とりあえず結果待ち。


 悪気はなかったんです。

 よく悪気なくやったって、いいことと悪いことがあんだろうって思うけど。

 私って大怪我させたのかな。


 いやいや、考えるな、考えるな。


 なんか別のことしよう。

 スマ子がうるさいと嫌なんだよな。

 一気になんかこう、気持ちを削がれていくからさ~。

 うーん、携帯で暇つぶしをするか否か。



 考え込んでいたところで『終わったよ~』と、土偶魔王から教えてもらう。


「はい、すいません。

 どうなりました?」


 すると、とりあえずもご機嫌斜めを今日のところは何とかなだめてもらった、ということだった。


 なんだかニュアンス的に、おさめてもらった、じゃなくてなだめてもらった、みたいな感じだった。

 どういうことかって言うと、貝王様だ。

 あの貝王様からの小貝は、土偶魔王へのメッセージだったんだけれども、一応土偶魔王当てに使用して、そっから土偶魔王の魔力を込めて私に渡して、向こうに、という役目をはじめから想定されていた。らしい。

 とりあえずなんかあった時のために、ということで。

 連絡用にああやって置いてきてもらう、とか使う予定だったんだって。

 早い話が土偶魔王だけだと揉めるから、貝王様も間に入ったということだった。


 すごいな。

 もうなんか、2人がかりで説得なんだ。


 そして当然のように、私が知ってる魔王はあと1人。

 1人っていうのか知らないけど、いるんだがこのメンツに入っていない。

 忌海子(きみこ)さんだもの。


 それで何がどう好転したのか知らないけど、貝王様が関わったと知って広がる(私の中に)安心感。


「んじゃ、安心ですね。」


 貝王様は、どっちの魔王にも馴染みもない方だが。





 うーん、そうだね~。







「ホントは何かありました?」


 なんとなく、煮え切らない。






 そうじゃないんけど、ボクあんまりついてけてないんだよね~。






「え?状況に?会話に?」


 ちょっとあきれてしまったが、私も人のこと言えない。

 その時は会話にハテナ浮かんでても、その人と離れて歩き出してから『ああ、〇〇って言ってたのか!なんか変だと思った!』っていうのがある。

 話が通じてないんだから、そこからうまれる状況にもついていけない。





 あの御仁は、ボクより前に生まれてるからボクのが下なんだけど、距離が近いからか嫌われてたんだよね。

 でもなんか、さっきぶちまけてた不満には最近のことしか言わなくて。

 花園がどうとか。

 花なんて咲いてるの、最近なのに。






 時期によっては咲くらしいが、かなり少なく、こちらが咲いているなら向こうはもっと咲いてるのが普通なんだとか。

 じゃ、この水辺が気にくわないんじゃないでしょうか?

 もっとも、ここで最近最初に咲いた花って、私が持ち込んだスーパーのやつだけど。






 でしょ?

 あれ、この環境じゃ、すぐさま枯れちゃうじゃん。

 今は水で維持してるけど。





 維持っつーか、水の底だが?

 しかし魔王は『一緒じゃん』的な感覚らしい。


 そんなわけある?

 しかし水底に沈もうが、水が一気になくなろうが、もはや別物でも、咲くことは咲いている。

 私よりおおざっぱを見つけたが、魔王という性質上枯らさないらしい。

 なんか不条理。


 もしかして、私は今、あの面倒なワタクシ様と同じ感情なんだろうか。

 ヤダな。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ