表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

177/235

追及

 

 え?

 魔王、地面の模様?

 化石?


 土の色と入り混じって、白い模様がある。


 私が困惑して見ていると、魔王に催促された。





 ワタクシの美しい体をあらわにして言うことはないのか!?





 あらわ、とは?

 平面だが?

 とか、思っちゃいけないんだろう。


「ははー。申し訳ないでございます。」


 ツッコミが追いつかないので、無難に謝る。

 無難に?

 言っちまったもんは、しょうがねぇー。



「コチラがお体でございますか?」


 幽霊でも相手に商売してるみたいなセリフだな。


 いまいち言葉が上滑りばかりしている。

 私は状況が飲み込めてないんだろう、と頭のどこかで呆然と考える。

 何をどう、怒るんだろう。

 これ、どういう状況なんだろう。


 この御仁は、話を聞いていたんだろうか。

 なんか、帰れなさそうな感じがしてきたぞ。


「失礼いたしましたー!戻しておきます!」


 近くの、払った土をかける。

 あー、はいはい。

 こんな感じ?

 一度見つけてしまうと、ちゃんと土がかかっているか心配になるので念入りに。






 埋まっておる!





 埋まってたじゃん!

 だから埋めたんじゃん!

 もうキミが何を言っているのか、わからないよ。


「じゃあ、さっきと同じようにしていいんですね?」


 イッラァー。


 ああ言えばこう言う。


 自分で動けないの?

 土偶魔王と、似てないけど似てる。


 昔話とかで、なんかみすばらしい格好をした老婆とかに、親切にしなかったから天罰みたいなのが下る、みたいな話多いけどさ。

 なんか結構、理不尽じゃない?


 だいたいそういうのの主人公ってさ、貧しい人間が多いよね。

 貧しいけれども、心優しくしてるといいことがある、って言う話で終始してるんだったらいいけどさ。

 やってくれなかったから、とかつってさ、なんか呪いをかけたりするの、ホント最悪だよね。

 一体何なんだよ。

 どっちかって言うと、理不尽な話だよね。


 人の手を止めさせて、労力使わせてさ。

 やってくれてお礼がしたい、ならわかる。

 しかし逆ギレて呪いはダメだ。

 そんなん出来るなら、はじめから自分でやれよ。

 普段から絶対、そいつ人の邪魔ばっかりしてるんだぜ。

 だから嫌われて誰にも相手にされないから、通りすがりにまで嫌がらせはじめるんだよ、きっと。

 どこの魔女だか神だか権力者か知らんが。


 なんか、こいつ、そんな感じ、する。

 気のせいか?


 踏んでいる、と言われた時点から驚いて、薄く頭の中を閉じようと意識していたことが吹っ飛んでしまった。

 だから多分、私の考えていることはやっぱり発射されて、向こうにも気づかれているんだろう。

 いるんだろうけど。


 だって腹立つものは腹立つじゃん?

 こんなん、わざとそうやって仕向けてるとしか思わないじゃん?

 本人の望む通りにしてあげてるんじゃん?


 ほ?何ですか?

 まだ土、よけ足りないんですか?

 何なら周りを掘りましょうか?


 そんなにやりたくないけど。

 でもちょうど手頃な石が、平べったいやつが近くに落ちていた。


 おし。

 これだな。

 模様の周りを掘り始めた。


 あらわになるって言うんだったらアラワにしてやろうじゃねえか、この野郎。

 この女郎?

 疲れたらすぐ止めるけどな。

 すぐ疲れそうだけどな。

 スコップもないし。



 なんかキャワキャワと、講義の魔力が流れてくるが、そんなに強くはない。

 人間相手で、どれくらいの魔力をぶつけていいかわからずに、恐る恐るやっている感じだ。


 こいつ、結構人がいいかもしれない。



 貝王様はそういう調節がとても上手かったけれど。

 土偶魔王もうまかった。

 あれは人間大好きだから。

 細心の注意を払っているんだと思う。


  この御仁は、あんまり人間が来さそうな土地には見えないけれども。

  でも土偶魔王のところほど、生き物が少なそうな感じもしない。

  あれはあれでいるんだけど。

 もう最近は完全に水辺になっちゃってるけど。

 そのうち、鳥とかいっぱい飛んでくるようになるのかもしれない。

 砂漠の生き物だって水が必要だからね。


  結構頑張って、ちょっと掘ってみた。

 そうすると、ただの模様かと思っていたものが、どうも半透明の物質のようだ。


  何これ。

 石柱か何か?

 変に埋まりかけてたみたいな感じ。

 いや、ガッツリ埋まってるけど。


 しかし大きくはない。

 掘り出してみたら、私で抱えられそうな感じの大きさだ。

 天井?地面の模様は円になっていて、埋まってるのは円柱なのかもしれない。


 何ていうかこう、そう、えーと切ったのはなんかこう、あ、そう!維管束!

 あんな感じに見える。

 そこまでブツブツしていないんだけれども。


 何て言うか、円にもなりきれていない半透明の細長いのが何個かより合わさって、なんとなく円になってるみたいな感じの。

 ちょびっと掘り下げてみると。


 そんなちゃんと掘れてないけど。

 まだ1センチくらいなんだけど。


 側面も同じような半透明の色に見える。

 土がついてるから、ちょっと濁ってるだけかな。

 透明なのかな。


 魔王を無視してしばし無心で掘る。

 こんなの、久しぶりだな~。

 砂遊び?

 土遊びか?



 そろそろ手が疲れてきたなあ、と思った頃。

 魔王も、しばらく静かになっていた。


 割と掘れたかな。

 でもどうも、先ほど感じた通り、半透明の側面がまだ続く。

 まだ多分3cmぐらい。

 一番深いところでも。

 それぐらいしか掘れていない。

 そうだよね。

 だってこれ多分、径30cmくらいはあるもんね。

 いや、知らんけど。

 30cmってどのぐらいだったっけ?


 そう思っていたら、何か気のせいかと思ったけど、震えがきた。

 地震かと思ったが、違う。


 魔王だ。


 魔王が震えている。

 バイブだ。


 魔王がバイブしてる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ