暇
待てど暮らせど、白服はこない。
勝手に出ようかな?
前はどうしたっけ?
出迎えろ、ってゆーんじゃないが。
この部屋は、他の人に移動が見られないようにするため、だったよね?
主さんは、そんな感じで言ってたよな。
白服が『ここから動くな』と言ったのと、混じってる?私。
ま。いっか。
どっちにしろ、白服(の体)が開いてくんなきゃ意味がないし。
だって途中経過だし。
全然何も決まってないし。
愚痴りに行くだけだし。
いや、もう来た。
そう、愚痴りに来た。
相談してアドバイスを求めたら、あいつに借りを作ることになる。
暇になったら教えてくれ~と思った。
私は、ゆったり過ごしてお待ちします。
この間の部屋と違うからな~。
カーペットがあったから、……あれ?
あれって絨毯?カーペット?
どう違う?
ま、そこに寝っ転がったりして、待てたんだけど。
そこそこの明るさもあって。
あれ?そういえばあの部屋、何で明るかったんだっけ?
窓あったっけ?
なんか覚えてないな。
もう続きを読みたくてね。
あらあら。
あの時みたいに、寝転がって暇つぶしができない。
どうしようかな~。
狭い部屋をウロウロして、迷ってちょっと埃がかぶっている、なんか何これ?ツボ?
蓋されてんのかな?
どうなんだろう?
座っていいの?どうなの。
迷いに迷ったが、めんどくさくなってそれに座った。
スマホをいじって時間を潰す。
スマホはちゃんとスマ子でありながら、前のスマホとしての使い方ができるようになったんだが。
なんというかめちゃくちゃ携帯いじりまくると思ってたのに、元の世界のことがあまりにも遠い出来事 ように感じて楽しめなくなってしまった。
たまに(自分に)大ヒットして、だらだら読んだりするんだけど。
なんか動画とか、テレビのバラエティとか、私すごく、テレビっ子みたいにずっと見るようになるのかな~と思ったら、そうでもなかったな。
「私の地位向上に貢献してくれるんだったら、ブラウザの奥でちゃんと音楽流してあげますよ?」
なんかそれ、有料なんでしょう?
よくわかんない、やり方。
「いや、めんどくさい。外の音が聞こえないかもしれないし。」
「ひどい。何て優雅さが足りない主人なんだ!」
「うるさいよ。
つーか、そのね、今普通に主人つったじゃん。
あのマスターとか言うのやめてよ。」
「静かにしてください。隠れてる意味ないですよ。」
え、私は隠れてんのかな?
まあ、いいか。
なんか、いちいち喋るのを手で持ってるって、嫌な感じなんだよね。
とりあえずスマ子が黙ったので、それ以上何も言わないでスマホをそのままポチポチいじっていた。
「まだいたのか。」
何だと、この野郎。
お前がここにいろって……言ってないか。
まあ、ここから入るとは言ったけども、外出てていいかわかんなくて、勝手に待ってた、とも言う。
んだっけ?
私、前は部屋の外に出たんだっけ?
どうしてたっけ?
ま、いっか。
「いますよ。すいません、結構待ちましたけど?」
言ったけど、実は全然時間見てない私。
何時に来たんだっけ?
あ、疲れた。
なんか、すっごい方々が……え?痛!
え、ちょっと今、腰が痛い。
やばいやばいやばい。
立ち上がろうとしたら、なんか突然ビクっと肩と腰が痛くなって、壁にすがるように捕まりながら立ち上がった。
恐る恐ると。
どうしよう。
ぎっくり腰って、若くてもなるんでしょう?
怖い。
めっちゃ怖い。
ぎっくり腰、怖い。
高校の時、同じクラスにヘルニアになったっていう人がいた。
一生続く、って言ってた。
怖い、怖い。
絶対やだ!
こっちにマッサージとか整骨院とかなさそうだもん。
整体とか整骨院とか行ったことないけど。
医者。
医者だったら何とかしてくれるのか?
逆に薬もらえるのか?
薬で治るのか? それ。
自分の状態がわからず私がビクビク動いていると、それをじーっと黙っていた白服が言った。
「それで用は?」
答えるのも、体がびくつく。
実際にギックリになったことないから、判断がつかない。
無駄にビビって、悪くしそう。
「え、ああ。で、何?時間空いたの?」
「開いたというか、特別暇でもないな。」
なんだよ、このヤロー。
なんか、休憩の時間とかあんだろう?
ないのかも。
主さんとか白服とか、あそこにいそうな感じしないな。
と、休憩室を思い浮かべる。
どうしてんだろう?
すると頭の中が見えているようで(そういえば 何も閉じてない。そんな余裕なかった)白服が言った。
「 上から何人かは、別の部屋で休憩する。総代は特に休憩室を持たないが。」
そりゃ、そうか。
主であれば、特に休憩室などはないか。
そっか。
どこで休憩しようとか、主が決められてるっていうのも変だよね。
決めないと、休憩自体なさそうだけど。
それで、時間あるの?ないの?
どっち?
「いいからとっとと話せ。」
なんだよ~。
忙しなく喋ったら、もっと通じないからな~。
私は本当に愚痴りに来ただけだけど。
特に解決、というのができるとは思っていない。
白服にはあまり関係なさそうだし。
ただな~。
白服もそれでいいのかな?
どうなんだろう。
昨日は眠かったから、何も考えようがなかったんだろうし。
話を聞いただけ偉いか。
私だったらもっと怒りそう。
こいつ、イライラしたり私のことも頭の中で『バーカバーカ』と思っていて、割と私を嫌いなのに、あんまりひどいことは言わない。
いや、ちょいちょい酷いこと言ってくるけどな。
一応、主さんの客人だからか。
主さんにはお邪魔しました、っていう感じはあるんだけど。
最近、白服にばっかり話に来てるな。
でもまあ、どっちにしろ、主さんに話を通す必要があるんだろう。
だって白服は仕事中のはずだもん。
結局つらつら愚痴っていたら、白服は「そうした方がいいんじゃないか」と言い出した。
えー、何?格下下下の人類が、魔王に向かって物言うの?
そう思うんだが、
「少しずつでも話しておく方が道理が通るだろう」と言う。
道理なんだ。
そうですか。
はい。
えー、行った方がいいの?
よくわかんないけど、私のわがままなわけ?




