変なのばっかりだから
もうイライラしてしまったので、どこまで聞いているのか、と聞いてみた。
口出し厳禁な話だと考えてたんだが。
私は溜め込んで瞬間沸騰するタイプで、まわりからしたら勝手に突然キレる感じだと思う。
プライドが高い、とか言われたりしたことあるが、自分ではそう思わない。
蔑ろにされるのが嫌いなだけだ。
人は誰でもそうだと思う。
つまり当たり前だ。
私に『プライドが高い』だの『頑固』だと言った人が、そもそも『馬鹿だな~』と考えていることと『見下す』ことの区別が出来ているように見えなかった。
そういう人は、自分個人の利益のために利用しようとするか、自分が上に立って好きなこと言って溜飲を下げたいだけだ。
仕事上は我慢するけど、それと別の領域にまで進もうとするなら、ただの個人の侮辱だ。
人を見下す人は、何故かそこがわかってない。
そうして自分が必死になってることにも気づいてない時もある。
無駄に学歴だけ立派な人に何故か多い。
勉強だけ出来ても頭が悪いってあるんだな、とか思う。
こっちが不愉快だと言っても、単にこいつはここまでしか出来ないんだな、と考えて反省しないんだろう。
だいたいどこの会社でも一人はいる。
仕事だから我慢してると、仕事にからめてくるので、こっちも爆発する。
短気は損気、って自分に言い聞かせるんだけどね。
そんなこんなで、一度キレると恨みがましく怒涛に怒りが流れる。
今回は、仕事で嫌な目にあったんじゃなく、私が一人で騒いでたことだけど。
でも、白服を砂漠に強制移住させたいくらいには怒ってる。
一人で。
別に、誰にも何もされてないのに。
魔力で覗き見てしまうのは、やっぱり危険だ。
相手が生きてても死んでても、感情が伝わって共感してしまう。
私本人には他人なのに。
私みたいに感情で動く人間には、特に要注意。
キレた怒りで仕事辞めたりするからね。
何かしでかしそうだな。
自分で言うのも何だが、こーゆーヤツが魔力持つもんじゃないね。
でーもーさー!
白服も何なの?
何から逃れたいの?
どっから目を背けてるの?
もう、とっとと行けよ、面倒くさ!
……と、いうのを、ぶちまけた。
人様の事情を、と心のどこかで思う。
でも、やっぱり白服の姉ちゃんのこととか勝手に言ったかもしれない。
一応は、かすかな理性があって避けて話したつもりだけど。
要はね、とにかくね。
元・保護者に会いに行け。
それだけなんだよ。
それだけ!
それを何なんだ。
泣いたのが恥ずかしいの?
お姉さん忘れてた罪悪感なの?
しかもあいつが来ないしいない、って、明らかに主さんが私と話をすること知ってるんだよね。
代わりに話してほしいの?
それくらいは言ってけよ!
私は今、人として一応は踏み越えちゃいけないラインの瀬戸際で、そっちに行きそうにつんのめってんだよ!
踏ん張って耐えてんの!
片足立ちもぐらつく私が!
ふくらはぎ、プルプルなの!
もう知らん!
喋っちゃうもんね。
スッキリついでに、魔王のところにやってきた。
放置してたらやばそうだったからね。
もう放置した後だったけどね。
あれ?
私、最後に来た時に「ちょっとだけだから」とか言ってきたんだっけ?
「連れてくるから」つったんだっけ?
あんま覚えてないや。
ごめんよ。
その時点で一応ごめんよ。
しかし、来た瞬間にもヒヤッとした。
みずみずしいな。相変わらず。
増えてんの?これ。
もしかして水で一帯埋めたいの?
そう思ったが、何やら岩?の内側に入ってきても遠い。
魔王、どこだ?
気配はする。
そりゃ魔王の領地(領地か?)なんだから、当たり前なんだけど。
……めんどくせ。
「いないんだったら~、帰りま~す~。」
いーるーー!
以前の会話のように、魔力が安定した返事があった。
方向は前と一緒だが、どうも岩壁の中腹ぐらいにいるようだ。
何してんの?
丸々ボディは、やや元のサボテンっぽさに近づいていた。
近づいているだけで、ちょっと不自然ではあるもんけど。
で、何でそんなほぼ垂直に切り立った崖にいるの?
もはや水から逃れてんの?
何してんの?
この水、もう散らしたらいいんじゃない?
水の魔力だったら、それこそ出来るじゃん。
何してんのさ。
……つーか、移動してんじゃん。
移動出来るんじゃん!
カコドまで自分から行ったら?
ウサギとカメのカメよりは遅いと思うけど。
ちーがーうー!此処だからー!
だろうね。
そもそも魔王が移動して良いのかは知らんけど。
でも、一番最初にスマ子に魔王の話を聞いた時は、大きな体で移動して歩く魔王の話もあったから、大丈夫なんだろう。
ところで……話しづらいし、帰っていい?
帰んないでー!
寂しがりンボめ。
「もう開き直ってカコドまで水のばしたらどうですか?」
そのうち街が広がるだろう。
カコドは壁に囲まれてるから、後の世だろうが。
ダメか、それじゃ。
この魔王は、人間なら誰でも良いわけじゃないみたいだし。
そのうち足場のような岩場が現れた。
なんだこれ?
そう思ったら頭の中でするする、浮いてくる。
どうも私が雨を降らせてここが水場になってしまってから、水の量が毎回変わっている。
そんな気はしてた。
増えてるようにしか見えなかったけどね。
どうもそれは、私が来た時間帯によってちょっと違うみたいだ。
水をぐんぐん吸い込む植物が生え始めてしまって、その植物が一斉に水を吸い込む時間帯になると水が減る。
海の潮の満ち引きみたいだね。
ところがそうしてくると、その植物はお互いに自分たちの水を取り合うために、高くなった方だけが生き残って他のが枯れてしまうんだそうだ。
何それ?
何じゃ、そりゃ?
その辺一帯で、生存競争みたいなものをその植物だけでやるらしい。
水を取り合うのって大変なんだな。
そのせいで、水が減ったり増えたりするみたいだ。
その植物が一斉に生え始めて、1本残して枯れて。
ところがなぜか知らないが、1本だけ残るとその植物は今度枯れてしまうんだって。
水はちゃんと残ってんのに。変だね。




