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足掻く

 

 夜、たっぷりと1人時間を堪能した。

 スマ子にも声を出すなと言って、昼のストレスを解消した。

 ご飯の失敗は体調に響く。

 日本でまずいもの食べても、ここまでキツさはこない。

 でも、まずくて高いものだったら許せないけど。

 ま、高いのなんて、そうそう食べれないし。

 従業員の態度にイラッとした、とかそういう感じが多いから。

 真に、どうにもないほどまずい物って、そこまでないからな。



 日本ってやっぱり良かったな。


 向こうの世界に帰れないかな。

 でもそんなこと言ってたら、ご飯を奢ってもらう、どころじゃないもんな。

 人生でこんなに、飯を持てばもらってばっかりの時期ってそんなにない。

 一回り上のいとこのお姉ちゃんとかには、毎回奢ってもらってたけど。

 会うのが年に1回ぐらいだけど。


 すいませんね。


 どうしようかな。

 そして何も言っても進展しないしな。


 しかも私、恨みを買ってきただけかもしれないし。



 結局口考えて、翌日まあだいたい起きて10時になる前ぐらい、だったかな?出かける。

 土偶魔王のところに行った。


 ……しかし。


 うぜー。

 めっちゃうぜえ。

 ギャン泣きして、会話にならない。


 私が来たんだからいいじゃん!とか、そんなこと言えないし。

 もー。

 白服が来ないから。

 昨日の給食考えれば、それどころじゃないけど。

 ……給食は私のせいか。


 よくわかんないけど涙枯れ果てないのかしら?

  水位が増してたらどうしようかと思ったけど、別に水位は増してはいない。


 けど毎日毎日、どうも植生が変わってるように見えるんだけど。

 いや、昨日は来てないから、毎日ではないか。

 それにしてもね。

 違う花が咲いてたり、増えていたり。

 岩肌の見え具合が、毎日違っていたりすごいね。


 でもうざいから、とっとと、さようならする。


「ちょっとだけ、ちょっとだけだから」と、街角アンケートに無理矢理引き込むか、飲み屋のしつこい呼び込みみたいなことを言って、屋敷に避難。


 ちゃんと、昨日言われた部屋に来たか、謎。

 ただの窓もない、薄暗い四角い部屋だから。


 白服がだだだーっと来るかなと思ったら、来なかった。

 いつも走って歩いていられるほど暇じゃないよね。

 私が勝手に歩き回らないから別にいいのかな?

 でも、荒らすつもりがなくても、未だ屋敷には不案内。

 と思ったが、スマ子の方に反応があった。


 水が怖いからか、土偶のところで全然静かだったのに。

 どうしたと思ったら「あのやろうから連絡です」と、言う。


 あのヤロー、は白服?

 白服?


 魔力珊瑚だった。


 手に持つスマ子から、イライラした感情とともに、魔力珊瑚が思い浮かんでくる。

 野郎なの?

 あれ、野郎なの?


 どんだけ気が合わないの?


 人格あるの生き物じゃないけどさ。

 人格?

 人格?落ち着け、私。

 スマホだぞ。


 ってか魔力珊瑚も、珊瑚だけどもう生きて?ないし。

 性別?


 いや、落ち着け、私。



 早い話が魔力珊瑚を通してテレビとかも繋がったり出来るから、魔力珊瑚を通してスマホに繋がっているらしい。

 そういうことができるんだ。

 じゃ、スマホのかたち、いらない?

 魔力珊瑚だけでオッケー?



 なんか知らないけども、白服は持ち歩いているらしい。

 前は大丈夫だと思ってたのか、部屋に置いといてたけれども。

 大量解雇になるような、信用問題などがあったせいなのか?

 私が「お前これ大変貴重なものなんだぞ、めちゃめちゃ大変なんだぞ、大事なんだぞ。貴重なんだぞ」とか、ガチャガチャ騒いでいたせいかもしれない。

 誰かに聞かれていたから、もう持ち歩くしかなくなったのか。

 一応、自発的にまずいと思って持ち歩くようになったのか。


 まあ、私の部屋にあるような、置物型ほど大きくないからね。

 握っても持って歩けるんだろうけど。


 いいか、ポケットちゃんと繕いなさいよ。

 穴開けとくんじゃないよ。


 まあ『誰もそっちに行けないから、ここを通るな。』

 みたいな。

 なんて言うか、

『こっちをこうむしろ通ってこい』っていうような指示が来ているみたい。

 なんか、経路っていうかルート?だけ見えるんだって。

 スマ子に言わせると。


 示された通りに歩いているんだが、まあ確かに、前よりずっと屋敷の人気が少ない。

 昨日は結構男衆がいたと思ったけど、あれってもしかして、外で働いてる人たちがご飯だけを、こっちに食べに来てるのかしら。


 誰にも会わないまま、指示された通り歩く。

 結構、明るいところも通ったぞ。

 いいのか?と思いながら行くが、白服が普通に何かしらの作業をしていた。

 何やってんだか知らない。

 だって、ちっちゃいツボをあげたり下ろしたりしてるだけだもん。

 なにそれ、いる?

 その作業よくわかんないけど。

 中身もわかんねえけど。


  そしたら

(メシ)は昨日と同じように外から買ってくるだけだぞ」と言われた。

 

 あれ?

 私、完全に(メシ)たかりに来てると思われてんな。

 あ、メシってつられてしまった。

 ご飯ご飯。


「いや違うんだけど。お前をあの土偶魔王のとこに、差し出しに来たんだけど。」


 と言ったら「お前頭おかしいのか」って言われた。

 あ、はっきり言われた。ひどくね?

 しかも、どっか行った。

 ヒヨコみたいについて歩いていいのか?

 やだな。


 一回島に戻った。

 正確にはボッチマーケットを思い浮かべたのに、林の中だった。


 入って、焼き立てパンを選ぶ。

 一番どこの国でも、抵抗がないと思って。


 パックはカコドにないだろうから、紙袋に全部入れる。

 紙袋も正確には、普通の紙か知らんけど。

 目立たないだろう。


 屋敷に戻る。

 お、白服の居場所がクッキリした。

 向こうも気付いたな。

 白服を探して行ったら、主さんもいた。


 ちょうどいいな。

 主さんに、パンを差し出す。

 昨日はご馳走さまでした、と。

 ホントのホントは、給食スタイルの詫びだ。

 従業員さんに。


 しかし。


「美味しそうですね。」


 でしょう?でしょう?

 このうまそうな匂い。

 焼き立てパンなるぞ!


「どうぞ、お持ち帰りください。」


 笑顔で拒否られた。

 何故?

 コネンさん、残念そう。

 白服は、私の頭の中から何か漏れてるのか、何も表情にあらわれていない。


 給食スタイルに誘われたが、今日は移動が多かったから、とお断りした。



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