海からくるモノ
ごきげんよう。
絶海の孤島から陸に日参するサチコ、頑張ってます。
今日は晴れです。
今日は、ってゆーか、今日も晴れです。
空の大部分が青く、水平線の彼方にわずかに雲が見えます。
島ができると、青にももう飽きてたよな、と実感してました。
でもまた、海も空も青くてキレイだな〜と思ってます。
多分、今日の体調とメンタルが安定して良いのでしょう。
疲れ貯める、ダメ。
ところで、上記の通り、陸に日参してます。
今日もします。
私、人がいいから〜。
あの魔王の話し相手を確保しないと。
私?
私はホラ、島の人間だから。
陸の人に、行ってもらわないと。
お年寄り?の話し相手のアルバイト?で、貴金属貰えますよ(多分)、ってね。
魔力持ち限定だけどね。
一人しかいないね。
いやー、他に人類の魔力持ちは知らないんだな〜。
残念だな〜。
頑張れ?白服。
そういう訳なので、お屋敷に行きます。
主さん、邪魔ばっかしてゴメンよ。
カコドの訪問ルールとかを知らないので、午前九時半頃にした。
十時頃にしようと思ってたけど、前に役所的なところに行った時は、早ければ早いほど良い、みたいな感じだった。
それはもう手遅れなので、行って「あー、いいです、勝手に待ちますー。空いてたらでいいんで」みたいな感じでいこう。
どうせあの屋敷、部屋余ってそうだし。
ちゃんと、ぼっちマーケットからペットボトルのお茶も持ってきたし、スマ子の充電も満タンだ。
最悪、トイレはウチに都度戻ればいい。
お屋敷の人手はかけさせないよ。
私はね。
土偶魔王は別。
こんちは〜。
庭にお邪魔する。
勝手に入るの慣れちゃったなァ〜。
しかし、今日はいつもと様子が違った。
だ〜れも、いない。
はて?
と思ってたが、白服が凄い勢いで近寄ってくる。
必然的に寄ってくる係。
こっちか〜。
もう着くな。
よー、おつかれ、
と、声をかけようとした。
したが、角から現れた白服の目は血走っていた。
え、怖っ!
一瞬、後退りかけたが、私がはっきりそうする前に、白服に手で口を塞がれ羽交い締め?というのか?
腕でガシッと体を拘束され、後ろに引きずられる。
え?
これは誘拐スタイル?
何故に。
特に他に人はおらず、どこかに閉じ込められた。
わざわざ部屋の奥まで来ても手を離さず「いいか、絶対に声をあげるなよ」と脅してから手を離す。
本格的に誘拐犯ですやん。
何よ、屋敷はこんなに静かなのに襲撃でもされてんの?
絶対に顔にも出ていたハズだが、白服はまた声を出さないように念押しして、どっか行った。
……メンタルは弱いが「忙しいから帰っていいゾ」の方が嬉しいナ。
まぁ、ああ言われたから、ゆっくりしますか。
さっそく座り、続きを読む。
ナロウの、面白そうだけど更新停止している作品に、とうとう手を出してしまったのだ。
手じゃなく目を通してるだけだけど。
時間が溶けるのよ〜。
もちろん小声でスマ子に、奇声をあげないように、と釘を刺してから。
スマ子は不満そうだが、危険は怖いようで黙った。
危険なら逃げた方がいいと思うが、そうは言わない、ということは大丈夫なんだろう。
座ったり寝転がったり。
客用の部屋ほどではないが、床には絨毯があって、少し固い、という程度だ。
絨毯とカーペットの違い、ってなんだろう?
「まだ居たのか」
なんだと、このやろー。
白服の声に、顔をあげる。
お前が連れてきたんだろー?
ん?何か暗い。
こんな暗かったっけ?
庭から来たから?
いや、今何時?
6時31分。
まさかの夕方。
「え?!」
いや、嘘でしょ?!
あ、声出しちゃった!
「いや、声はもういい。」
いいんかーい。
ってゆーか、もう夜?マジ?
あ、体痛い。
肩めっちゃ痛い。
すっごいコった。
首まわそうとしたら、首がまわらない。
借金みたい。
あ、腰も痛い。
え、ツライ。
「リトー」
りとー?
離島から来たけどさ。
「何だ、陸の街。お屋敷に何があった。」
場所で呼んでるのかと思い、カコドと一瞬迷ったが、うちの島は『島の名前はまだない』なので、合わせて固有名詞はやめた。
白服はおかしなことを聞いたように肩眉をあげる。
「今更だが、街の人間に見られたぞ」
何が?
「お前が。」
はぁ?
時間が経つのは気づかなかったけど、扉が開いたらさすがに気づくよ?
「総代の来客中に庭園にお前が現れたんだ。」
ん?
あれぇ?!
じゃ、庭に突然ピカーと現れたのを……。
「おそらく」
マジかーー。
「来る前に言ってよ!」
「知るか!」
デスヨネー。
「総代は誤魔化したが、実際目で見たものは鵜呑みにはしないだろう。そうそう身近で、大きな魔力が使われているのも信じがたいだろうが。
だが事実だ。
街中にも出現したし、魔力持ちとして認知してもおかしくはない。
警戒しておいたほうがいい。」
貝王様とイカさん先生に報告する以外、どうするのかわからん。
警戒ってどうやるの?
つーか。
「それ、この屋敷に迷惑?」
もうズバッと聞いてしまえ。
「割りと」
白服はあっさり答えた。
私に遠慮しないだろうし、他に人がいないので本音だろうと思うが、あまりたいした事じゃない、という態度だ。
何で?
お前、主さんに迷惑かけたら怒るんじゃね?
「総代は既に『海からくるモノ』側だと、上役たちにされている。」
半分、ボヤいているような、説明する気のなさそうな言葉だった。
しょっちゅう止まったり遅れたり、すみません。




