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マナ

 


 ゾウさんの内部に、魔力はやはり感じない。


 あれ?どういうこと。


 今の魔力で聞こえた、と白服に振り向こうとすると、もう1回言われた。





 おみずくだしゃい




 なんとなく幼い女の子のような感じ。

 かわいい。


 その時思い浮かんだ。

 魔力で、さっき起きたことを脳裏に再現している。

 ゾウさんが、私に水をブシャーッとかけている。


 どういうこと?

 水をかけられたのではないよね?


 自分の手のひらに触れる衣服を、握りしめてみるが、やはり湿ってはいない。


 風が強すぎて、すぐさま乾いたってこと?

 それだったら、この吹き付ける砂でザリザリのなっていそうだけど。

 いや、砂の感触はする。

 するが、握るとすぐにパラッと落ちた。



 そして、水をぶっかけて「水をください」ってどういうこと?


 保有できる水が、一人につきバケツ1杯分ずつ、みたいなルールでもあるの?



 私が混乱していると、背後から白服の声がした。


「違う。あれは水じゃない。

 水のマナを浴びたんだ。」


 なるほど!

 マナ!


 私、マナは感じたことがないな。

 わかってないだけだけど。

  多分。

 スマ子が、マナも魔力も溜め込んだりする無機物だからな。

 マナだと知らずに感じたのか。

 へー。


 ところでさ。

 私、マナはマナっていう一種類だけだと思ってたんだけど。

 水のマナって何?


 あんまり覚える種類を増やされても無理よ。


 将棋とか、一度はまったら金かからず長く遊べそう、とか思ったことあるけど、コマの名前と役割がそもそも覚えられんで断念したからね。

 麻雀もやってみたかったけど、なんかやっぱりコマの名前とか覚えられないから断念したし。

 カードゲームとかもルール覚えられんし。

 折り紙もあや取りも覚えれなかったけど。


 マナ。

 魔力。

 星。

 そこで怪しかったのに、加護とかまで出てきてもうすでに無理ゲーよ。

 ゲームも出来ないな、そういえば。


 脱線したのを察知したのか、白服がため息を吐きながら解説する。

 ため息やめなさい。


「マナはマナだ。

 水のマナとよぶのは一度水に宿り、水の性質を帯びたマナだ。」


 なんだ、あだ名か。

 ややこしいな。


 ため息吐いてるけど、そんなまぎらわしい言い方したのお前だよ?

 んで、どうすりゃいいの?


「お前がやれ」


 説明!


「魔力で水、出したことないけど?」


 サボってたんじゃないぞ!

 忌深子(きみこ)さんはいつ出没するかわからんから、当ててケンカ売ったと思われても困るから、練習出来なかっただけなんだ!

 口には出さん。

 でも伝われ。


「いいから、やれ」


 なんだ、こんちくしょー。

 私はお前の部下じゃないぞ。


 私が、やろうと思って見上げると、ゾウさんは嬉しそう。

 しかし、どうするのかわからず、とりあえずゾウさんに両手のひらを向けると、下がっていってしまった。

 イヤイヤされている。


 えー!

 ノシンノシンという足音に、スニーカーの下で砂がヌウンと動くのを感じる。


 そんな。

 好き好き言うからその気になったのにフラれた、みたいな。

 そんな……。


ご主人(マスター)違いますよ。ゾウさんは魔力じゃなくて水のマナが欲しいんです。」


 ドヤるな、スマ子。

 私は人類、動物だ。

 マナは貯まらん。

 っつか貯まるのはお前だ。

 私でもお前でも、水のマナにはならないと思うが。


「気質を帯びるんだ」

 と、白服が話し始めた。

 今度はちゃんと、考え考え言葉にしている様子。


 水に宿ったマナが、水の性質を持つように、水ばかりの環境の生き物も、水の魔力持ちが多い。

 そうだな。

 海の中は火がすごく少ないもんな。

 そりゃそうか。


 んで?


 私がダウンしたのも、水のマナが少ない場所だから体にすぐに影響が出るのでは?

 と、言う。


 そうなの?

 陸も動けるけど、すぐに海に入りたい、そんなウミガメみたいなの?私。

 ウミガメほど泳げないが。

 ウミガメほど、どころかカナヅチだが。


 水の性質の魔力がある、っていっても人間なのに?


 白服は言葉を濁して、海にいるから海の生き物の性質に似るのでは?と言う。


 なんとな~く、把握。


 この世界に来て、ずっと海。

 海で初めてこの世界のマナを浴び、この世界に初めて出現したのも海。

 星も海の上で与えられた。


 海性生物ではないが、海の生き物。

 強いて言うなら、私は海上生物のカテゴリーか。

 私以外、居るのか?それ。


 白服が言葉を濁すのも、異世界人なのはわかっているが、何をどうなってこの世界にいるのかを、はっきり詳細には理解出来てないからなんだろう。


 そう考えると頭の中に、陸上と海とで全く違う流れがあることを理解した。


 うまく説明出来ないが、魔力で色々な情報を引き寄せられるのに、貝王様は陸はわからない、とはっきり言っていた。

 つまり、海から陸は全く別の世界のようなもので、違う流れがあり、魔王でさえどうにも出来ない。

 陸から海も同じ。

 全く流れが異なり、同じように魔力は使えない。

 空気中のマナはただのマナのはずが、海を航る風は海のマナを含んでいる。

 水もマナを宿すから、海はそれだけで別物なのだ。


 へえ~。


 んでさ。

 海上生物の私は、海のマナで魔力を使ってきたんだろうけど、水出したらそれ、海水になるの?ならないの?

 ってか水、おみずくだしゃいなのに拒否られたよ?

 私、海上動物だからマナ持ってないよ?


ご主人(マスター)は水の魔力があります。そっからマナに戻しながら放出してください。」


 初心者に出来んのか?それ。

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