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リモコン

 


 彼も来たようです。

 そろそろ良いですか?お客様。





 と貝王様から話しかけられた。


 あらあらあら?

 私、魔力向こうにもう流してた?

 ご機嫌伺いも出してなかったと思うんだけど。


 すると魔力珊瑚に、白い波が光った。





 すみません。お客様はやはり魔力が漏れているようなので、こちらを触って移動し始めた時から、少し繋がってはいたのです。





 マジか。





 考え事の最中のようだったので、こちらから声をかけようか迷ったのですが。





 考え事ってゆーか……。

 貝王様は控えめに話すが、頭の中で検索すると貝王様から、たった昨日練習して、ついさっきイメトレしていた先触れの合図が三、四回きていた。

 マジか。


 なんで今は脳内でちゃんと検索できるのに、さっきまで気づかなかったの?

 これが集中していると気づかないというやつか?

 これで練習に集中していたんだったらともかく、頭の中で突っ込んだり、考えが脱線していて気づかないわけね、私。

 悲しい。


 あ、待たせてしまった。


「すいません、テレビを――」


 見ませんか、と聞こうとしたが、さっき何か……。


 ガラッ。


 ひとりでに背後の窓が開く音かして、驚いて振り返った。

 おとなしく振り返るだけならよかったが、ビビって飛び上がりかけ、こたつテーブルに何故か片足が乗るような形でずっこけた。

 腰が痛い。

 何故こんな事に。

 ビビりだから、としか言いようがない。


 開けたのはイカさん先生で、ビックリ、という顔をしている。




 何してるの?





 何してんだろ?


 動きとしては、運動音痴なのに斜め後ろに飛び上がりながら半回転した、という。

 決して好きでやったのではないが。


 痛い。

 こないだまで、暑いとばかり思ってたのに、今日は朝から日が昇っても寒いし、踏んだり蹴ったりだ。

 寒いと肩こりもつらい。


「貝王様、何でも治るような万能薬とかってありませんかね?人間に教えちゃいけないんだったら、私は喋るつもりはないんですけども。

 自分1人にさえ効けばいいので。」


 そう欲深いことを聞いてみたが、あっさり貝王様は答えた。




 大丈夫ですよ。

 人間じゃなくてもそんなものがあったら、血で血を洗う取り合いになりますから。





 ですよねー。


 要はない、ってことだね。

 あっても教えないってことだよね。

 怖い。

 それはそれで怖い。

 聞いちゃいけなかった。


 ナイナイ。

 そんな物はない。



 気を取り直して。

 というか痛みを意識しないように、テレビとか集中して見たい。


 お二人にドラマを勧める。

 刑事物だ。

 解説を求められるのも困るが、結構役に立つかもしれない、と思う。お二人には。

 海の治安を守るのも大変らしいから。



 待ってました!とイカさん先生。

 興奮のあまりすぐに窓を開けちゃったようだ。

 ずーっと気になってたんだって。


 好きそうだね。

 スライディング土下座させに人間のとこに行くぐらいだもんね。


 さぁ、気を取り直して!と録画リストを出そうとするが、それより先に、リモコンで止められた。

 何それ? 何すんの? と。


 ……リモコンの説明って難しいな。

 機能をこうやってこう、変えるんです、と話したり。

 使う時に魔力を流すみたいにするんだ、と。

 へぇーとイカさん先生が触りまくったり。

 貝王様も気にしたりしている。

 ……私の説明、なんか違う気がする。



 リモコンってそんなに有用性が?

 いやまあデンキ(照明)とかだったらね。

 いちいちね、昔みたいに紐長~くしたりしないから、リモコンないとつけられないけどね。


 エアコンとかもそうか。

 手が届かないところに設置するもんね。

 いや~、35度の猛暑でエアコンのリモコンが壊れた時には、本っ当に地獄だったわ~。

 リモコン、大事。


 いっつも、頭の中ぐちゃぐちゃの私にしてみたら、魔力で重要な事とそうじゃない事が分けられて、何か考えたりしたら勝手に出てくるとか、緊急じゃない案件も気がつくようになっているとか。

 全~部、頭の中一つで把握できるんだったら、そっちの方が便利じゃないのかと思う。


 私にはわかんない感覚だけどね。

 私なんてアカウントのIDとパスワード、どこにメモったかも忘れるからね。


 貝王様が、頭の中で振り分けてくれて、魔力が自動に出してくれるやつしか私出来ないから。

 私が出来る、とは言わないな。

 頭の中に、私の魔力に反応してくれる取り扱い説明書を作ってもらった感じ。


 あの時にもらった情報以外は、その時々で魔力で引き寄せたりするものだけだから。

 でもまあそれも、貝王様やイカさん先生が近くにいると、その近くの知識から引っ張り出されたりするので、そこまで真剣に困ることはない。

 一緒にいる時は、結局教えてもらえるんだけどね。

 それはそれで、わからなくなったらすぐ検索していたスマホと似ている気がする。

 おかげで手で書けなくなったけど。

 いや、スマホのせいにしちゃいけないけど。

 小学校の時に習ったはずの漢字が、自分で書けない時に、ちょっと愕然としちゃったよ。



 

 でも頭の中の方が、集中している時には気づかないようになってたり、それが終わった後には自動で気づくようになってたり、そっちの方が便利じゃん?

 全部頭の中で解決するじゃん。


 それの初歩が、私さっき出来なかったんだけどね。

 何言ってんだ、私は?



 しかし先生たち曰く、自分たちで魔力が使えなかったり、振り分けるのに便利なんだそうだ。


 あまりあることではないけれども、魔力を使う、例えばこの魔力珊瑚のような物を、他の海の生き物に預けている時に、結局使う時、起動するための魔力が必要になる。けれど、魔力というのはそうそう貯められるものではないから、どこかに預けてもおけない。

 この魔力珊瑚を別として。

 でも魔力珊瑚も、起動に結局魔力を使うしね。


 だから例えば、魔力を入れて温存しておいて、使う時にだけ起動する、というのが便利なんだって。


 待機電力みたいなやつか。

 家電てどうなってたっけ?

 コンセントにつなぎっぱなしだからわかんないな。

 オンオフ出来るスイッチ付きの、延長コードみたいな使い方かな?

 魔力なら、そういう使い方ができるんだろう。


 それに一応、人間の前には出さなかったけれども、人間が昔、海から落としてったり沈没して こっちに流れ着いたりした人間が作った魔法具もちゃんとあるんだって。


 え?あるんだ。


 そういったものを見て、結構昔に海の生き物も魔力珊瑚使うようになったんだって。

 へー、魔法具は人間が先なんだ。

 いや、どっちが先かは、実はあんまり判然としないんだけれども。

 人間の文明を取り入れようとする、っていう考えが出てきたのは、魔法具が理由なんだって。

 昨日と今日の分いきます。

何故かちゃんとやったと思ってた( ノД`)…

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