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お礼の品

 

 なぜか白服が、妙に「本当に死なないのか」と 食い下がったが、納得してもらう。

 文化が違うというのは、かなりストレスなのだ、と間に入ってもらって。


 途中からは、キリがないと貝王様は判断したのか、私がこっちでぼやいていたのは向こうで 聞こえていたみたいで、最後は口論みたいになった。


 船の中もなんかもう、こいつら一緒にしとかない方がいいかもしれない、みたいな感じになって。

 主さんは締めくくって船は出て行った。



 ……長かった。

 何だったんだ、一体。

 心配されてたの? 結局。

 喧嘩しに来たの?


 野良の魔力持ちはいない、というぐらいだから、同じ魔力持ちとして心配してるんだろうか。


 なんか最終的に、イカさん先生に、これあげるから帰りなさいとばかり、なんか渡されていた。

 不承不承ソレを受け取って、黙ったような感じだった。

 忌見子(きみこ)さんものっかって、汚髪をニュルニュル伸ばしていたが、それは全員に避けられた。

 そうだよね、キモいよね。

 世界間の感性すら統一させてしまうキモさ、さすが気味(きみ)(悪)()さん。



 イカさん先生は、島から少し離れたところまで船に並び、最後は足をふって見送った。


 鬼海子(きみこ)さんは砂浜にいて、波に打ち上げられたのかわざとなのか、さっきまでの船員のマネをしてるのか、体がほぼ露出していた。

 少~しだけ、体に当たりにくる波も良い、らしい。

 そうですか。


 散々つついていた船が、かなり遠くに行ってから何やら慌てて追いかけ始めた。

 やっぱりお気に入りだったらしい。


 ちなみに打ち上げられた状態って、どうやって動くんだろう?と思ってたら、ウゴウゴしてるのはなんか、ひっくり返ってる虫みたいだった。

 しかしそこから汚髪を立て、体全体を持ち上げ起き上がったので、ロボコンかなんかを見てるみたいだった。

 多種多様な気持ち悪さがある。

 気味子(きみこ)さんはさすがだ。


 なかなかの速度で必死に追いかけているようだったが、心なしか船は速度を上げたような気がする。

 イカさん先生は横目で見てはいるようだったが、全く我関せず足をゆったりふって、毅視子(きみこ)さんが通り過ぎるのもスルーだった。


 元々離れてたので、追いつけなさそう。

 がんばれ。



 もういいかな。

「貝王様、ありがとうございます。」




 いいえ、この辺りは滅多に船は通らないので、これほど早く来るとは考えていませんでした。

 人間には海は危険でしょう?

 お客様の心配をしているのはわかりましたが。




 うん、確かに。





 お客様はこの陸地を人間を欲しがっているのでは、と考えているようでしたが、もっと広い陸で暮らしている人間が、わざわざ危険な海を越えてやってくる意味があるのでしょうか?




 と、貝王様。

 確かにね。

 そう言うと確かにそうなんだけどな。


「船で海を渡るのも危険な行為ではあるんですが、陸地を渡るよりも早い場合もあるのです。

 大きな荷物を持ったりとか人間は難しいので、それらを運んでくれる道具や動物が必要だったり。

 どちらも危険を伴います。

 船の方がいい場合もあるんです、多分ですが。

 もちろん海は危険ですので、途中で休んだり、水や食料確保できる島がある方がいいんです。

 それに、船で行き来できる距離と言うんでしたら、海賊なんかが住み着いて自分たちの住む陸地を襲われても困りますから。

 それだったら最初に自分たちの土地としておいた方が安全なんでしょう。」

 多分。


 海賊って船を襲って荷物奪っていくイメージだけど、街とかも襲いに行くよね?多分。

 ネズミーランドのアトラクションは、そんな感じだったし。


 カコドの航海技術が高いのか、この島が実はそこまで陸と離れてないのか。

 大海原~にしか見えないのなー。


 コンコン、と来たので窓を開けた。

 イカさん先生だ。




 ヤッホー、行ってきたよ。




 先生はなかなかご機嫌だ。


「ありがとうございます、先生。」


 土下座させに行ったのだとしても。


 毅深子(きみこ)さんは諦めないで追ってるのか?追いついちゃうかもな……。

 がんばれカコドメンズ。


 あ、お礼にしよう。


「ちょっと待ってください。」


 イカさん先生と貝王様に言う。


 室内は、気づいたらたくさんの映像は消えていた。

 スパイアニメの秘密基地みたいだったが、すでに散らかった私の部屋でしかなくなっていた。

 ちょっと残念。

 散らかった寝室から、散らかった東側の部屋へ移り、ガサゴソ探し物をする。

 あれ?この辺に……あ、あった。


 色々持って寝室に戻る。

 なんとなく、あげるなら海の物の方がいいかなと思った。

 向こうの海の物です、って。

 本物の真珠かは分からないけれども、真珠のネックレスを持っていく。

 貝王様とイカさん先生に、どっちにどっちをあげたらいいんだろう?

 白い方が真珠っぽいけど。

 でもそれって向こうの世界の真珠のイメージ?

 百貨店で買ったのが1つ。

 それ以外で買った、田舎のデパートで買ったやつが1つ。

 でもなー、真珠ってデパートのジュエリー売り場のところに行ったって

「どっちが本物かどっちが偽物かわかんないんです」

 って言っても「わからない」って言われるもんな。

 なんとなく、触った感じとか重さとかで「こっちの方がプラスチックっぽいけど……」って言われたりとか。

 重さ調節してたらわかんない、って言われるし。

 ただの偽物を渡したら、ただのプラスチックだしな。

 向こうの海の生き物から出た物だから面白いだろうってだけだから。

 正直に言って渡すか。

 百貨店だろうと、本当に色をわざわざつけたんじゃなくて、天然の色なのかわかんないし。

 宝石の調色とかって難しい問題だね。

 私もわかんないのに、私から説明されたらもっとわかんないよね。

 まあしどろもどろだけど、説明して渡す。

 どっちがどっちがいいかわからないから。

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