表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

第2話 魔物は素材が……採れません!

 ——遡ること数時間前。

 王都ゼランから商業都市プラナを結ぶノクタリア街道およびノクタリア草原。


「うぉりゃぁぁぁぁああああ!」


 イヴァンが振るう大剣が、獣型魔物(モンスター)を無惨にも切り裂いた。

 縦横に振るわれる剣筋は魔物を散り散りにし、草木生い茂る草原を真緑色の血で染める。


「雑魚どもめ、蹴散らしてくれる」


 ウルスラが放つ魔法が小型妖獣(モンスター)をまとめて葬った。天才魔法使いが放つ初級魔法は、無詠唱にもかかわらず、まるで上級魔法のような威力を持っている。

 飛び散る体液の中に割れた魔核(コア)が沈み、やがて大地に染み込んで消えていった。


「邪魔だ、群がるな!」


 普段は温厚であるアレクは、まるで人が変わったかのような猛々しさで魔法を纏わせた剣を振るう。


 三日前。勇者の洗礼を受けたアレクの目は、闘志と興奮とで銀色に淡く輝いていた。


 元の目の色は黒色だったらしいが、洗礼を受けた後のアレクにしか会ったことのないオーリー()は、どのような色合いの黒だったのかまでは、わからない。


 オーリー()の視線の先で、アレクが黒く短い髪を汗で濡らしながら、勇者の行手を阻まんと群がっていた飛龍型魔獣(モンスター)をたったひと()ぎで消滅させて、活路を開いていた。


 さすが選ばれし勇者一行である。


 しかし、しかしである。


 オーリー()は勇者一行(パーティ)の無慈悲な戦闘行為を目の当たりにして、樹上で頭を抱えていた。


(強すぎる……強すぎて魔物から素材を剥ぎ取れない……! いや、剥ぐなんてレベルを超えている……!)


 オーリー()は勇者一行(パーティ)管理支援官(マネージャー)である。


 オーリー()の仕事は主に道中の金策と金銭管理。


 一般常識(お金の計算)があやふやな彼らの旅を影で支える事務官だ。

 事務官なので、戦闘スキルは一切持たない。


 そんなオーリー()が勇者一行の同行を許されたのは、熟練度(レベル)がカンストしている気配遮断スキルと隠密スキルのおかげ。


 勇者たちの戦闘を邪魔しないよう、ほどよく遠いところから彼らを観察し、出番があるとすれば戦闘終了後。

 オーリー()は傷の手当てや街や都市への案内、宿や食事の手配などの雑用で力を発揮する。


 だから文字通り、こうして高みの見物をしている訳だけれど。


(あ、ああ……もの凄い勢いで魔物が群がり……それをもの凄い勢いで殲滅してゆく……)


 スキルを駆使して安全を確保したオーリー()が、勇者に群がる魔物の群れに憐れみの視線を向ける。


(あ、ああ……倒す魔物がズタボロすぎて、換金対象にすらならない……)


 冒険者にとって魔物は旅費を稼ぐ恰好の獲物だ。売れば金になる素材の宝庫だ。


 皮や牙、爪は武器や武具の素材になるし、魔核(コア)は魔道具の材料になる。飛龍型の魔物の心臓は魔法薬にだってなる。


 換金すれば銀貨はもちろんのこと、金貨だってザックザク。そのはずだった。


(なんてこと……このままでは一銅貨も稼げない……?)


 魔物殲滅特化型決戦兵器と化したアレクたちは、貴重な財源(モンスター)をことごとく斬り裂き、粉砕し、消滅させてゆく。

 現在進行形で素材(金のなる木)を台無しにしているのである。


 その強大な力ゆえに。

 勇者とその仲間たちとしての実力を持つがために。


 加減ができない訳じゃない。加減をしてもまるで意味がないのだ。


(ああああああああ……彼らの力がここまでとは……これでは……このままでは……道中の路銀を稼げず飢えて、魔王城まで辿り着けない……!)


 そう、主に金銭面的な理由で、勇者一行は工程三日目にして究極のピンチを迎えていたのであった。









続きが気になる!面白いかも!などありましたら、ぜひ、ブックマーク、評価、いいね!などしていただけると嬉しいです。

どうぞ、よろしくお願いいたします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ