第8話 白雪
次の日、コーディーはホワイトチョコレートを作った。それにはタロイとジロイも協力した。3人で献上するチョコレートを作り上げた。それは昨日のものより輝いているように見えた。
コーディーたちはそれを持って、リーマーと老人のいる部屋に来た。
「ようやく出来上がりました。お試しください。」
リーマーと老人はそのホワイトチョコレートを口に入れた。
「うむ。よい。よくぞここまでのものを作り上げた。儂の作った物をはるかに凌駕している。」
リーマーは満足して嬉しそうだった。老人も笑顔で大きくうなずいた。
「確かにそうじゃ。3人で協力して作ったこのチョコレートは昨日の出来を上回っておる。」
コーディーは老人に言った。
「これもあなた様のおかげです。」
「いや、すべてあなた方の力じゃ。そういえばこのホワイトチョコレートに名をつけましたかな?」
老人が尋ねた。それを聞いてコーディーは、はっと思った。
「いえ、それはまだ・・・どんな名がよいでしょうか?」
「ふーむ・・・。白雪というのはどうじゃ。」
「それはいい。」
老人の提案にタロイとジロイは大きくうなずいた。その白いチョコレートは確かに雪のように白く、口の中でさっと溶けるくちどけの良さがあった。
「確かによろしゅうございます。」
コーディーも賛成した。そこで老人は言った。
「それでは儂に箱書きをさせてはくれませぬか?」
「それは是非に。お願いします。」
コーディーはそう言ってペンを用意した。老人はペンを受け取ると慣れた手つきで箱に文字を書いた。
「これで王様は喜ばれよう。では私はこれで失礼します。」
「もう行かれるのですか?」
コーディーが名残惜しそうに尋ねた。
「ああ、おいしいチョコレートをごちそうになったし、お父様も元気になられた。それにご兄弟も戻られたのでもう心配もなかろう。長くお世話になりましたが、また旅を続けたく思います。」
「それは残念です。王様に献上した様子をお話ししたかったのに。」
コーディーは残念そうだった。老人は笑顔でこう言った。
「いやいや聞かずともわかります。これからは兄弟仲良く、この工房を盛んにして下されよ。」