エピローグ
「まったく……。急に宿屋から居なくなったと思ったら、こんなところにおったのかえ? 随分と探してしまったではないか」
「ははっ。本当ならもっと早く戻ってくる予定だったのですが、お待たせしてしまいました?」
「ほんにヤリ捨てされたのかと、あの日は涙で枕を濡らしたものじゃったわい。しかし、わらわは信じておったぞ。ヤマミチがわらわのもとへ帰ってくるその日をじゃ」
「すいません……。どうしても片付けなければならない用事がありましてですね……。ところで、今日は何月何日で、世の中はどうなっているんです?」
「ああ……。今日は西暦1429年の7月7日じゃな。オレルアンの争奪戦から始まった一連の戦いがついに終わる気配を見せているのじゃ。ジャンヌ=ダルクはそれはそれはすごい活躍をしているみたいじゃな……」
「なるほど……。傭兵は無事に雇えたみたいでホッとします。しかし、7月7日とはまた神のイタズラなのか、計らいなのか、判断に困ってしまいます……」
「なんじゃ? 7月7日は何か特別な日なのかえ?」
「いえ。僕の生まれ故郷には織姫と彦星という伝説がありましてね? ルナさんと僕はそういう関係だと、神様がそう告げているんだろうって思ったまでですよ」
「よくはわからんが、わらわが姫のようだと褒められているのはわかるのじゃ」
「というわけで、再会を祝して、さっそく織姫と彦星たちのように仕事をさぼって、今夜はしっぽりがっつりずっ魂ばっ魂といきましょうかっ!」
「ちょっと待てっ! 何でわらわをお姫様抱っこしておるのじゃっ! わらわをどうする気じゃーーー!!」




