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プロローグ

 最初、この世界のGM(ゲームマスター)は創造神:豆柴・豪(まめしば・つよし)が担当していた。彼はこの世界の根幹を作り、イングランドとフランスが互いの身を喰らい合うように仕向けた。


 この世界に舞い降りたプレイヤーたちは互いの正義を信じ、戦場ゾーンで血を血で洗う戦いを連日連夜、繰り広げたのである。


 それから3年後……。GMマメシバはノブレスオブリージュ・オンラインの成功が認められ、エイコウ・テクニカル本社の社長へと就任する。それにより、彼はノブレスオブリージュ・オンラインの開発から手を引き、GMには後継神:ナベシマが居座ることとなる。


 彼は創造神:マメシバから多大なる援助(予算)を受け取り、ノブレスオブリージュ・オンラインに次々と新しい勢力を登場させる。


 神聖ローマ帝国を始めとし、スコットランド・北イタリア(法王庁)・ポルトガルという、英仏100年戦争に加担した勢力のほぼ全てをゲーム内の勢力として登場させたのであった。


 しかし、後継神:ナベシマの運が悪かったことと言えば、西暦2030年代は本格的VRMMO・RPGが世界中で乱立する時代であったことだろう。所詮、ノブレスオブリージュ・オンラインは仮想VRゲームであり、本格的VRゲームには到底かなわない事態に陥るのであった。


 その技術革新の余波をモロに喰らったノブレスオブリージュ・オンラインのプレイヤー人口が一気に目減りするのは致し方なかっとも言えよう。しかし、それでも結果は結果だ。後継神:ナベシマは予算を無駄に食いつぶしたという烙印を押され、腐女子向けゲームのGMへと転属となる……。



 次にノブレスオブリージュ・オンラインのGMになったのは中興の祖:ウエスギであった。彼はナベシマが食いつぶした予算の補填をするために、次々と課金ガチャを導入する。


 ノブレスオブリージュ・オンラインはこの時点で発売から8年が経ち、プレイヤー側もそれ相応の年齢となっていたために、課金ガチャに使う金はそこそこに持ち合わせていた。


 しかしながら、中興の祖:ウエスギはうなぎ昇りの収益に味をしめたのか、課金ガチャに『ペット』を導入する。しかもだ。新規ダンジョンにはその戦闘補助用のペットがいなければ、攻略が難しいほどの難易度に設定したのである。


 中興の祖:ウエスギの暴走は止まらない。1カ月に1度のこまめなアップデートを(おこな)い、次々と新規のボスを産み出すと同時に、新規ペットも続々と追加を(おこな)ったのである。


 いくら潤沢な資金を持つ、いい大人層のノブレスオブリージュ・オンラインのプレイヤーたちでも、財布は日々、軽くなっていく。さらには新規プレイヤーたちは重課金っぷりに辟易し、ゲームを始めて3カ月もすれば引退するという事態に陥る。


 だが、中興の祖:ウエスギは一見様お断りの態度を貫く。それもそうだろう。プレイヤー側から文句は出ても、何かしらの課金ガチャを追加導入すれば、必ず収益が上がるからだ。結果が全ての世の中において、中興の祖:ウエスギが取った戦略はあながち間違いではなかった。


 しかし、そんなGMウエスギに対して、プレイヤーたちの怒りが頂点に達するのは時間の問題でもあった。プレイヤーたちはSNS上でノブレスオブリージュ・オンラインに対する不平不満をぶちまける。それにより、上がっていく収益に反比例して、ノブレスオブリージュ・オンラインの評判は急降下したのである。


 この惨状を見かねた創造神:マメシバは、鉄槌を下そうとGMウエスギを本社に呼び出そうとする。しかし、GMウエスギはシーズン5.1のアップデートが(おこ)なわれる前日に忽然と姿を消すことになる……。


 彼がどこに消えたかは誰にもわからない。ただひとつ言えることは、ノブレスオブリージュ・オンラインのプレイヤーたちが蜂起する前に、その世界に新たなGMを君臨させることであった。


 そして選ばれたのは、GMウエスギの下で働いていたノブレスオブリージュ・オンライン開発陣No2の山道・聡(やまみち・さとる)、そのひとであった……。

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