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過去<いままで>:7


 私は、この何か月かを通い詰めたスーパーに来ていた。

 電気が止まったスーパーは、照明も、音楽も、自動ドアもなかった。

 その行為に、意味があったわけではない。価値があったわけではない。ただの自己満足だという自覚があった。

 自由気ままな恰好で崩れ落ちたジャーキーさんたちを、人間らしい姿で、店の床の上に横たえただけだった。これでも、お礼のつもりだった。その割には、私はゴム手袋をしていたのだけれど、許してほしい。


 ここ何か月かで見慣れたはずのジャーキーさんたちも、こうして横たえてみると、ひとりひとりに個性があった。私はずっと、彼らから視線を反らし続けていた。真正面から見ないようにと、意識していた。正直に語るなら、人間として見ていなかった。

 みんな、みんな、人間だった。


 電気が止まり、照明も音楽も消えた24時間営業の店のなか、ジャーキーさんたちは静かに眠っていた。

 私は、みんなを起こしてしまいそうな勢いで言った。


「ありがとうございました」


 もちろん、返事は無かった。

 なにしろ私は、お客様ではなくて、ただの窃盗犯なのだ。



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