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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

童話にインスパイヤされやした。

作者: bacu

ある国の公園に、それはそれは立派な像がありました。

その像は、若くして亡くなった王子をモチーフに作られていました。

それは、宝石で両目が作られ身体は金で覆われており、大層立派な像でありました。


 ある旅の人は「この国は豊かなんだね」と話し、また、多くの人を連れ、偉そうにしている人は「我が国の象徴だよ」と話します。


 王子は思いました。どうして彼らは笑っていられるのでしょう。

 夜になれば、煙の立たない家が多くあり、また、ある細道では通り過ぎる人に声をかけ花を売っている少女がいるのに・・・。


 王子は考えました。自分の身体は、黄金や宝石などで出来ているから、それを渡せば多くの人が助けられるではないかと・・・。


 初めに、町のことをよく知っている雀に話しかけます。

 「あの少女に僕の目を与えてもらえないだろうか」


 「いやだね。そんなことを言わずに君は立派な態度を示していたらいいのさ」

と雀は答えます。


 次にカラスにお願いします。


 「今のままでいいのさ。何もしないほうが笑ってられるさ」

とカラスは答えます。


町にいる鳥や猫、犬に話しかけても似たり寄ったり話をし、誰も王子の話を聞いてくれませんでした。



ある時、ツバメがやってきました。そこで王子は、ツバメにお願いをしました。


「僕も南方に移動しないといけないんだけど、できるだけ協力させてもらうよ」

とツバメが答えました。


 ツバメは、王子の頼みを聞き、花を売っていた少女や道端で物乞いをしていた人など多くの人々に宝石や黄金を配り、そのことを王子に伝えました。


 ある少女は、宝石を売り、病気の母親のために薬を購入したこと。

 ある浮浪者は、それで食べ物を購入したことなど。


 「ああ、これで多くの人々が笑って生きていける」

と王子は大層喜びました。


 時が立ち、ツバメは王子に言いました。

 「そろそろ、南方に行くよ。君に協力が出来て本当によかったよ」

と言います。


 「ありがとう、君のおかげで多くの人が助けられた。また、近くに寄ってきておくれ」

と王子は誇らしげに言いました。


ツバメは、剥げた王子の姿を確認するように周りを回った後、南方に旅立ちました。




それから暫くした後、兵士たちによって、王子の像の前に一人の少女が連れられてきます。


 「この王子の像より、この宝石を盗ったのは、お前だな」

と兵士は、質問します。


「私は盗ってはおりません」や「家の前に落ちていました」

など少女は弁明します。


「なんてひどいことをするんだ」「汚らしい」など周りの人々は囁き、誰一人少女の話を聞くことはありませんでした。


それから、毎日のように広場で裁判が行われ、遠くには柱が立っていきました。


柱や傍に寄る弱弱しい女性の姿を見て、王子は後悔しました。


(ああ、僕はなんてことをしたんだ・・・・)




それから時が立ち、王子が悩み苦しんでいると

「このままではいかん。また、輝ける王子の像を作ろうではないか」

と広場で偉そうにしている人が話し、周りの人々が賛同します。


そうして王子の想いとは裏腹に王子の身体は少しづつ黄金に変わっていきます。

そして、路上で横になる人が多くなっていきます。


ある時、兵舎から煙が立ち、次第に役場、商店などが次々と燃やされました。

そして、広場には武器を持った人々が集まり、王子の像に縄をかけ、像を倒してしまいました。

武器を持った人々は、「やったぞ」と口々に言い、笑顔で喜びを噛み締めました。











「あれ、ここら辺だったような」

ツバメは、王子の像との約束を思い出し、周辺を確認します。

「もう少し先だったかな」

と言い、飛び立っていきました。


だって、そこには焼野原しかありませんでしたから・・・。


~おしまい~



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