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六話 押し倒して見よう

 フィーリルア王国、北西部の密林地帯。

 《邪の森》


 そこには、千年前に悪逆の限りを尽くした《邪神》が祠に封印されている。

 その祠が......今。千年のという時間によって朽ち果てようとしていた。


 ざわざわざわざわざわざわざわざわ......


 ドクンっ!


 空気が揺れ、森の木々が震え、凶暴な魔獣達が逃げ出していく。

 その時。祠が崩壊し邪の神が千年の時を経て復活した。


 復活した邪神は、逃げ遅れていた魔獣を、

 巨大な触手で絡めとり、一瞬でたいらげてから言った。


 「......腹が減った」


 その日。《邪の森》から邪神以外の生物は居なくなった。


 ◆◇◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆


 「あ~~~~~~っ。今日も平和だなぁ~」

 

 気持ちの良い暖かい昼時に、縁側で一人でのんびり、

 背伸びをしながら、退屈で平和な時間を満喫する。


 今は、可愛いい弟子のハクアも修業に行かせているから、

 本当にゆったりとしてられる。

 ......ハクアがいると、べったり甘えて来から落ち着かないんだよなぁ~


 パタパタパタパタ。


 ん? 足音? まさか!?


 「お師匠様っ! お師匠様っ! お師匠様っ! お師匠様ぁぁぁぁ~っ!!」

 「ハクア!? 修業は!?」

 

 どーん。


 元気いっぱいに飛びついて来るハクアを受け止める。今日も可愛いなぁ~って!


 ......おかしい。早過ぎる! 


 ハクアに課した修業は、毎日大勢やってくる内弟子希望者達との千人組み手。

 ハクアに戦闘経験を積ませるのにちょうど良いと思って、

 オリハルコンを壊す入門試験代わりにやらせている(入門試験が本命)。

 

 因みに負けたら破門すると伝えてある。


 この数週間、朝から夜まで(厄介者払い)筋肉ムキムキの男達と汗を流してきた。

 しかし、今日はどうだろう?

 まだ昼過ぎだと言うのに、戻ってきてしまっている。


 しかも、あんまり汚れてない。

 まさか! サボった!?


 そう思って聞くと、


 「全員、追い払って来ましたっ!」


 全員!? 千人だよね!? 五千人近く居たけど......

 

 ケロッと言ってから、むぐむぐとほお擦りをして甘えはじめる。

 更に、スルリと服の中にひんやりしている手を忍ばせて腹筋の筋を撫で、

 喉元に熱っぽく息を吹きかけてくる。......なんかエロい。


 「お師匠。今日はまだ夜まで時間があるのでしませんか?」

 

 何をだよ!?


 「良いですよね? ご褒美貰っても(恍惚)」

 「ご褒美って? 内容によるけど......」

 「もちろん、えっちな事ですよー(≧∇≦)」


 だと思った......


 にまにま、ご機嫌に微笑みながら、腹筋を触っていた手をヘソ下へと持っていき、舐めるようにさする。めっちゃエロい。

 

 「お師匠様は楽にしていてくれれば、私が勝手にご奉仕しますので......」

 「ハクア!」

 「ひぃ~! ごめんなさい! ごめなさい! 破門は嫌ですぅ~~!!」


 デリケートゾーンにハクアの細い手が侵入しようとした、タイミングで腕を掴み止めると。

 ハクアが土下座を始める。


 ......いや、まだなにも言ってないけど。


 ハクアがハニー攻撃をしかけてくる度に、相手をするのが怠くて、破門。破門。

 と、耳タコで言ってたせいで、トラウマになってるのかも知れない。


 ......だったら毎回襲ってくるなよな。


 「なんでもしますぅ~!! えっちな事でも、酷い事でも、辛いことでも、なんでします~~!! だからどうか、破門だけはぁあ!! ご容赦を! ご容赦を!」

 「ハクア!」

 「......はい?」


 酷く勘違いしているハクアの名前をもう一度呼んで、顔を上げさせてから......


 バサリッ!!


 「ひゃあっ!」


 押し倒してみた。

 

 覆いかぶさるように上になり、さっきやられた事をし返してみる


 すべすべ、ぷにぷにのお腹を摩り、おヘソをなでる。撫で回す。


 「ひゃあんっ......! お師匠様......!?」

 「......」

 「お師匠様......」


 ハクアは突然の逆襲に驚いているが、俺は前々からこうしようかなと思っていた。

 正直。朝から晩まで誘惑されるのはもううんざりだった。

 

 今日はハクアの言う通り、課した修業も速く終わらせてきたので時間はあるし......

 こうやって少し試して見ることにした。


 ちょっと汗で湿っている、生肌を弄びながら様子を観察する。


 怯えたらやめる。それが良いお灸になるだろう。

 可愛い弟子の更正の為と......俺の平和な日常の安念の為に、

 可哀相だが少し、痛い目を見てもらう。


 ハクアをちょっと乱暴に抱きながら~顎を指で挟んで無言で顎下をくすぐる。


 「お師匠様......お師匠様......!?」


 まだかな?


 怯えというより動揺している色が強いので、もう少し踏み込んでみる。

 肩を掴んで動けないように固定して、胴着に手をかける。


 「ハクア。俺を舐めるなよ? 手を出さないとかって思ったか?」

 「ッ!」

 「御奉仕? ハッ。俺の趣味じゃないね。するなら、隷属プレイしかありえない」


 ......なに言ってんだろ? 俺は。


 「奉仕の自由なんて一秒もねぇよ。お前はただ、俺の欲望のままに犯される。人間オナホールになるんだよ!」

 「ッ! ......ぅっ。お師匠様......」


 ......震え始めた。

 これぐらいかな?


 そう思って、どこうとしたら......


 「ステキ(恍惚)」

 「は?」


 目をハートにし始めた。


 「優しいお師匠様も、クズいお師匠様もっ! 全てお師匠様ですッ! 私はお師匠様の全てが好きです」

 「......」


 そんなこと、決め顔で言われても......


 「お師匠様が私を求めてくれるなら、お師匠様のおもちゃになります!」

 「......」

 「お師匠様の逞しいお身体で......私のカラダにナニをしても動きません。自由にお使いください」

 

 ハクアが身体の力を抜いて待っている。なにこれ?

 今。引き下がったら、今までよりも付け上がって平穏を奪われる気がする。


 こうなったら、もう......男を見せるしかない!


 「よし! ハクア! 覚悟しろよ!」

 「はいっ! お師匠様ッ!」

 

 よくわからない、流れに身を任せてハクアを襲うとした時。


 「そこまでです。ムドウ」

 「え? イリス女王!?」


 何故かフィーリルア王国女王が沢山の兵士を連れて真後ろにいた。

 

 「なんで!? いや! 何時から!?」

 「そのいたいけな少女に『ハクア! 覚悟しろよ!』と言って襲おうとしたところからです。欲求不満なんですか?」


 うるせーよ。

 

 イリス女王は、ニコリと笑ってから、隣に居るイリス女王の夫にして、

 フィーリルア王国騎士団団長のダリウスの身体にしな垂れかかる。......余所でやれよ!


 「あなた? ちょうど良かったですね? 拘束する理由が出来ましたよ?」

 「......」

 「フィーリルア王国の法では、少女強姦は重罪です。知ってますよね?」


 ......知ってる。だから今までハクアに手を出さなかった。


 ニコニコ微笑んで尋ねている相手は、俺とダリウスの二人。

 

 「現行犯です。捕まえてください」

 「......イリス。彼は僕が説得......」

 「捕まえてください」

 「......」

 「捕まえなさい」

 「イリス......僕は......」 

 「早くなさい!」

 「は、はい!」

 

 魔王討伐戦の折りに幾度と無く、共に死地を乗り越えたダリウスが擁護しようとするのを、

 イリス女王が一括!


 ダリウスは死んだ魚の目で騎士達に命令し、

 俺を縛り上げた。


 ......ダリウスの奴、未だに尻に敷かれてやがる!

 

 イリス女王はどうでも良いが、ダリウスは戦友な上に凄腕の剣士。

 よく見ると、連れている騎士達も、魔王討伐戦で活躍した歴戦の戦士達。

 ここで暴れるのはちょっと分が悪い......


 「って? 何々なんなの? まさか、最初から俺を縛り上げるつもりで来訪してるの?」

 「......違います。話は向かいながらしましょう」

 「へ? どこに?」


 そう聞いたその時。

 ハクアが、女王に殴り掛かった!


 「お師匠様を離してぇーーっ!!」


 もちろん、騎士達に阻まれ組倒されるが、

 地面をはいずり回りながら、女王を睨みつけて言う。


 「お師匠様を連れて行かないでっ! おばさん!」

 「おばっ! ......ふふふっ。ムドウ。あの子は、噂のムドウの幼妻弟子ですか?」

 「......事実と虚実が混ざってるから、その噂」


 幼妻弟子ってなんだよ。始めて聞いたよそんな言葉。


 イリス女王は、ハクアの顔をしばらく見つめてから、


 「良いいでしょう。時間も惜しいですし、貴女も連れていきます。罪状は......不敬罪ですかね。騎士達。その子は離してムドウの膝にでも載せておきなさい。その方が静かになりそうです」

 「はっ!」

 

 ハクアも連行した。


 ......おばさんって言われたのがショックだったんだろうなぁ。


 ◆◇◇◆◇◇◇◆◆◇◇◆◇◆


 「何!? 《邪神》が復活した!? しかも今向かってるって!? ......帰るぞ! ハクア」


 馬車に乗せられた後、女王から聞かされた予想外の言葉に大声で叫んでいた。

 手足を縛れた俺の膝上に乗って自由に寛いでたハクアが、五月蝿そうに眉をひそめる。

 

 「お師匠様。耳元で叫ばないでください」

 「......じゃあ、降りろよ」

 「嫌です。ここにいていいと、世界で一番偉い人から許可を貰っているんですっ!」


 一番偉いのはその隣のダリウスだよ。


 

 身体を丸めてぎゅっと抱き着いて、徹底抗戦の構えを見せたハクアは、

 可愛いので一旦無視し、話を元に戻す。


 「王国は何やってたの? 魔神が復活するな数年単位で前兆があった筈だ」


 それさえ気をつけていれば、祠が崩壊することを防ぐ方法はいくつかある。

 祠の管理は全て王国が一任していた。

 それで千年もの間、魔神を封じ続けてきた。


 だから、本来なら絶対に有り得ないその原因を、女王は答えてくれた。


 「忘れていました」

 「は?」

 「邪神の存在をうっかり忘れていたのです!」

 「......ハクア。俺達もうっかり門を閉めてくるの忘れてたから帰ろうか」


 流石に言葉もない。

 呆れて本気で帰ろうと思い、拘束具を力ずくでちぎり馬車の扉を開ける。


 「しっかりつかまってろよ? 走って帰るからな」

 「はい~っ。お師匠様と居られるなら、なんでも構わないですっ」

 

 言いながら、ハクアを抱いて飛び降りようとしたが、イリス女王に押し倒される。


 「待ってください。ムドウ!! 魔王襲来のせいで、私にも余裕が無かったんですよ!!」

 「知るか! クソババああ!! 旦那の目の前で男を押し倒すな!!」

 

 イリス女王! 超必死!


 縋り付き、くらいつき、噛み付いてくる。

 そんな、イリス女王の顔をガシガシ蹴飛ばしてやる! ダリウスは見て見ぬ振りをしてる。


 「魔神復活の余波を受けて、世界各地で魔神のしもべ達が人間を襲っています。その勢いは凄まじく一週間で国が二つ滅びました」

 「知るか! それこれも、全部! 復活を阻止出来なかった女王のせいだろ! なんで俺が尻拭いしないといけないんだ!」

 「このままでは我がく......世界が滅ぶでしょう。世界を救って英雄になってください!」


 我が国って言おうとしてたよ!

 世界が滅びそうなのに、心配なのは自分の国だけらしい......


 それに、世界を救った経験があるけど扱いは超雑だった。

 戦争中は、それなりに高待遇をされるけど戦争が終わり、世界が平和になった途端。


 今度は魔王をも凌駕する英雄の持つ力の強大さに国は怯え、報奨金さえ貰えずに山奥に左遷される事になる。

 ......これでも善処てくれたらしいけどね。


 「とにかく、ムドウ。少女暴姦罪を免除するかわりに協力してください」

 「......いや。暴姦してないからね? ハクア。説明してあげて」

 

 さあ! 俺の潔白を証明するだ!


 「私はお師匠様の人間オナーホールです。そうあれとお師匠様に言われました」

 「......」


 身からでた錆。

 ハクアに悪気はないんだろうけど。

 

 ダリウスとイリス女王それに騎士達が凍てついた眼差しを向けてくる。寒い。

 でも汗がだらだら止まらない。


 「ムドウ。《死刑》と《魔神との戦い》どちらを望みますか?」

 「ロリコン」←ダリウス。

 「おい! ダリウス! お前がイリス女王と結婚したのはイリス女王がまだ、十四歳の時だろ!」

 「それは......イリスが勝手に......」←ダリウス

 「あなた、勝手に......。なんですか?」←イリス

 「ヒィ......ロリコン!」←ダリウス

 「ロリコン」「ロリコン」「ロリコン」「ロリコン」「ロリコン」「クズ」

 「うるせぇええええええええい!」


 突如起こるロリコンコールには流石に頭を抱えるしか無かった。

 クズって! 言ったの誰だよ!


 そこで、イリス女王に肩を優しい叩かれる。


 「ロ......ムドウ。罪の免除はともかく、協力していただければ、今回はきちんと報酬を用意できています」

 

 今! ロリコンって呼ぼうとしただろ!

 ......でもまあ良い。

 

 「報酬があるなら......先言ってくださいよ~。イリス女王様」

 「はぁん。変わり身の早いクズいお師匠さまっステキですぅ」


 ......ハクアかよ。


 

 

 

 

 

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