二十一話 後日談 夢の生活をしてみよう
《修練寺 テンプの私室 早朝》
アマチュア格闘大会から半年。
柔らかいベッドの上で、心地好い眠りから、目覚めると……
「あっ。ティポさまぁ~♪ お早うございます~♪」
俺の腕枕で横になっていたアリスの甘い声が胸元から聴こえた。
アリスが、ラフな白いローブ一枚しか着ていないのはそういうこと。
いますぐ爆発して死んでも良い。
「ティポさまぁ~♪」
むちゅ~~♪♪
寝起きの挨拶を済ませると、すぐに腕が伸びてきて、そのまま熱いベーゼ。
思わず蕩ける舌使いなのは、毎日してきた成果なんだろう。
キスをしながら、頭を冴えさせて、上半身を起こすとアリスの全身を膝に載せて抱擁する。
超爽快!!
「ふふっ♪ ティポさまのティポさま、ガチガチで辛そうです。朝のご奉仕をしても良いですか?」
「おっ? そうだね。お願いするよ」
「は~い♪」
アリスが、嬉しそうに手早く、慣れた手つきでローブを脱いで、産まれたままの姿になる。
そのまま、ゆっくり丁寧にご奉仕してくれた。
……三回もしてくれた。
その後も、アリスとの団欒を楽しんで居ると。
「ティポさま。そろそろ朝食を御用意しますね?」
と言い、エプロンを羽織って台所に立ち、コトコトお料理を始めてしまう。
……裸エプロンで!!
そんなの……
「ふー♪ ふふ♪ ふふふ♪ ふ~♪ ……」
我慢できるかぁぁーッッ!!
「アリスっ!」
「っ!」
アリスの背中に抱き着いて、抱きしめる。
……スポンジみたいに柔らかくて良い香。
「わぁっ♪ ティポさま~っ。台所は危ないですよ~?」
「アリス……」
良い?
「……駄目です。御飯の準備するのは、メイドとしての義務ですから……終わってからにしてください」
「アリス……」
「……ダメです。もう少し……」
「アリスっ!」
「ティポさま……」
ジー(凝視)
赤くなるアリス。
そして、
「もーっ。今日だけですからね!」
もう、何度目かわからないこの台詞を引き出した。
ホント愛おしい。
「ありがとう。アリス。大好きだよ?」
「アリスもティポさまが大好きですっ」
「ご奉仕じゃない奴だよ?」
「はーい♪」
包丁を置いたアリスが抱擁してきて、俺たちはその場で愛し合った。
……めちゃくちゃした。
朝食後……
「ティポさま。では、また夜に伺って良いですか?」
「良いよ~。今日は他にも居ると思うけど」
って言うか、聞かなくてもアリスなら何時でも大歓迎。
都合が悪いときは俺から言う。
「はーい♪」
そういい残して、メイドとして働きに行くアリスを見送る。
今日は修練寺三層目を掃除すると言っていた。
かなり荒れ果ててるから、怪我だけには気をつけてもらいたい。
アリスなら大丈夫か……
俺も、少し出掛けるか。
胴着を纏って、第一層に向かう。
はい、到着。
そこには……
「「「「「っ! ロリ王!! 最高師範!!」」」」」
「誰が! ロリ王だ!!」
不名誉な事を言いながら、敬礼をして来る百人の下級門下生達。
コレでも一応、俺の懐を温めてくれる可愛い弟子達である。
「でも、最高師範はロリを四人も妻にしたよな!」
「しかも、毎晩、毎晩、連戦して眠らないって聞いてるぞ!」
「ジュルリ……やりチン。食べたい」
誰だよ!
そんなこと言ってる奴はッ!!
「おっ? 主様ではないか? 一層に下りて来るとは珍しいな? 我の下部達に何か用でもあるのか?」
「邪神ちゃんに会いに来たんだよ……!」
シュルシュル。
「なんじゃ! そうならそうと早く言うのじゃ!
最近ご無沙汰だったから、下部達が、捨てられたと五月蝿くてのう。
主様とのめくるめく夜を語って穏めていたんじゃぞ?」
邪神ちゃんが犯人かよ!
だと、思ってたけどね。
「それは悪かった。なら、今から暫く時間ある?」
「む? そうじゃな……」
邪神ちゃんが、下部……じゃなくて、門下生達をチラリと見る。
「俺達なら平気だよな? いつも通りやってるさ。……健気なメイド長ちゃん推しだけどな」
「ああ、たまにはロリ王に可愛がって貰うんだぞ。……俺は、エロい姉弟子ちゃん推しだぞ」
「ジュルリ。俺も最近ご無沙汰だから、食べたい。……男勝りな第二婦人ちゃん食べたいっ」
一致団結……?
で、邪神ちゃんの背中を押す門下生達。
「そうか? なら、そうさせて貰おう」
何処か誇らしげに、邪神ちゃんが腕に絡み付いて来る。
……けど、そいつら誰も邪神ちゃんのこと、応援してないぞ。
そんなこんなで、下級門下生達が暮らす第一層の、邪神ちゃんの部屋に入り寛ぎ始める。
邪神ちゃんは、そんな俺にお茶を出してから、触手を手入れしはじめる。
「シュルシュル……しかしな。主様。冗談じゃなく、淋しかったのじゃぞ?
メイドは毎日床に呼ぶのに不公平じゃ!」
と、言われても。
「邪神ちゃんを呼びに使いを出しても、だいたいこの部屋にいないんだけど……」
「主様がいないときは、森のしもべ達と寝食を共にしてるのじゃ」
昼は門下生の稽古。
夜は蛇達との饗宴。
「それで、どうやって邪神ちゃんを誘えば良いんだよ!」
隙がなさ過ぎる。
「そうじゃな……さて、どうしたものか……」
解決策ないんだね。
……なら、
「もういいよ」
「しゅるるっ!?」
邪神ちゃんの肩を抱き寄せた。
そして、キスをしながら、触手を触る。
「ひゃっ。主様っ。まだ、準備がッ」
「時間が惜しい。始めよう。寂しかったんだろ?」
「……うむ」
観念した邪神が、そろりそろりと手入れしていた触手を手足に絡ませて来る。
つるりと冷たい感触に、刺激的な快楽感。
それは、邪神ちゃんの触手の効果。
俺も負けじと邪神ちゃんの触手を弄る。
「そういえば、体調はどう?」
「もう平気じゃ。主様からコアを返してもらえばッ……完全だが……」
言って、顔を逸らす邪神ちゃん。
その顎をくいっと掴んで、視線を会わせる。
恥ずかしそうな邪神の顔は割と好き。
「ずっと一緒にいてくれるんでしょ?」
「……主様がそれで良いと我を求めてくれたのじゃからな」
そう、俺は、邪神ちゃんの気持ちを受け取った。
「そろそろ……良いよ。俺も蛇に慣れてきたから……」
「そうか?」
「うん。邪神ちゃんとならね」
「解った……主様」
何処か穏やかに笑った邪神ちゃんの口から、とてつもなく長い舌が伸びてきて俺の口の中に入る。
さらに、大量の触手が俺と邪神ちゃんの身体を包む。
ウネウネと全身が触手に触られる。
これ、最初やられたとき悲鳴をあげちゃって……
邪神ちゃんが落ち込んじゃったけど、今はただただ、邪神ちゃんの暖かさが伝わって心地好い。
ヌメヌメと暖かい触手の中で、邪神を抱いて唇を何度もまぐわらせる。
何度も何度も……邪神ちゃんと。
お昼時……
あれからぶっ続けで、邪神としていると……
「むぅ……そろそろ、もどらなんだ……」
邪神ちゃんがそういった。
そりゃ、門下生達には、お金を払わせているのだから一日中無視はできない。
半日時間を作れたのは、理解のある門下生達のおかげ……
「そうだね。じゃあ、戻るまで一緒に抱っこして行くよ」
「悪いのう……満たせなくて。主様の肉欲は……我と同化しているせいなのに」
そんなこと気にしなくて良い。
「俺はしたい事しかしない。邪神ちゃんが必要だから、ここに置いてるんだ。それを忘れないでくれ」
「シュルシュル」
「邪神ちゃんも、何かあるなら自分から言ってよ? いつも俺が一方的だと誘いずらいんだから」
「シュルシュル。ならば、今晩……」
今晩?
マジで!!
もっと邪神ちゃんを堪能したかったから超嬉しい!!
「待ってる!」
「シュルシュル♪」
そんな約束をしながら、門下生達の元に戻ると……
何やら騒がしかった。
その中心に……
「ふふふっ。ムドウ。会いに来ましたよ?」
「女王!! ……一昨日来たばかりだろう」
イリス女王がいた。
女王は、門下生達をメロメロに魅了しながら、忍び寄ってきて自然に抱き着いてきた。
「はい。一昨日振りですね」
「久しぶりみたいなノリで言うな」
その豊満な肉体が密着すれば、男なら反応しないわけがない。
「あはっ。ムドウ……良いですよ?」
「いいわけっ……いや。そうだな……」
チラリと、俺と女王の様子を見ている門下生達をみて……
キメた。
女王の唇を犯してやった。
乱暴に腰を抱いて、汚く淫美に口づけを見せ付ける。
ここで、ロリ王とか言うあだ名消してやる!
「はぁ……はぁ……激しいですね」
「おい淫乱。ダリウスとは?」
「形だけです。何も……」
「……」
「本当です! 一緒に来てくれればわかりますよ!!」
王国に?
いかねぇーよ。
「まあ、いいよ。それより、しゃがんで口を開けろ」
「え……っ? ここでですか?」
チラリと見なくても、門下生達がガン見してる。
「は? お前はなんだ? 嫌なら別に良いんだぞ? 荷物まとめて王都に帰れ。そうすればダリウスが慰めてくれるんじゃないか?」
そうしたら、もう二度と女王は抱かないけど。
「いえ! いえいえいえ!! わたくしはムドウのモノです。何時いかなる時でも、ご自由にお使いくださいまし」
「ほーう」
しゃがんで口を開けた女王の口に……□□□を取り出して。
ジョロジョロジョロジョロジョロ
黄色い液体を放出した。
「ッ!!」
「零すなよ? 嬉しいだろ? 全部飲め」
「……ぅ……ぅぅっ……」
女王はびちゃびちゃになりながらも、門下生達の前で全部飲み干した。
そんな女王の頭をなでなで……
「ほら、最後は綺麗にしろ」
「はい……」
涙目になりながらもキチンと綺麗にしてくれる。
ちょっとやりすぎたか?
でもコレで、俺のあだ名は改善してウハウハに、
女王は改悪して、俺だけのモノに……
「うわぁ……女王様。おいたわしや。アレが鬼畜王だな」
「女王様はあの鬼畜王に弱みを握られてるらしいぞ? 聖女だ」
「……鬼畜。食べたい」
あれ?
おかしいな?
何で俺が非難されてんだ?
「もういい。女王。立て!」
「……はい」
塩らしくすんなよ!!
女王が望んだ事だろ!
これ以上は墓穴を掘るだけか。
「女王……行くぞ」
「……はい」
邪神ちゃんに短く挨拶してから、女王の腰を抱いて、強引にその場を立ち去った。
向かった場所は……
お風呂場。
そこで、女王の身体を洗っていく。
特に口は丹念に洗っておくていた
ところで、
「女王……何時まで黙ってるの? まさか本気で……」
怒った?
「ムドウは……何時まで名前を呼んでくれないんですか?」
「はぁ?」
何を言って……
「いつもいつも! 女王。女王とばかり。酷いです。わたくしはムドウのモノなのに……」
「さっきの事怒ってるんじゃないの?」
「さっき? 別に怒ってませんが……なにか怒る必要がありましたか?」
あったと思う。
気にしてないなら良いけれど……
「女王……」
「ほらっ! またもやっ!」
唇を尖らせる女王。
「イリス!」
「……ッ!!」
その唇を奪って押し倒した。
「これで、満足か?」
「はい。とってもぉ」
そうか……なら。
「折角。来たんだ、良いんだよな?」
聞くと、女王……イリスは、自分から腕を回して、
「飽きるまで」
微笑んだ。
「じゃあ。遠慮なく」
言葉通りに貪った。
青い果実と違って実った赤い果実は……
飽きる事などないと思う。
四時間後……
休憩がてらに、イリスを抱きながら……キスをしていると。
「ムドウは……何歳までは……使ってくれますか?」
「あ?」
「私は、若くありませんから……ムドウは龍と邪神の交じりで、歳老いませんし」
確かにね。
その不安はわかるけど、イリスはまだ、二十二でしょ?
早すぎるだろ。
まあ……
「イリスが人間から外れても良いなら、それなりに老いなくできるよ?」
「本当ですかっ!」
本当です。
「それなりにだよ? 不老不死とかは無理だけど千歳とか……かな?」
そんなに生きてないからしらんけど。
「どうやれば! できる限り、ムドウの愛人でいたいです」
「おいおい……人間を辞める覚悟はあるのかよ?」
「それぐらいっ!」
鋭い視線はきっと今更、隠しても無駄だろう。
イリスは絶対にたどり着く。
それが出来ると確信する。
「房中術……」
「はぁ……?」
そこ、うさん臭そうに見ない。
「詳しい説明は省くけど、正しい手順、正しい時間。正しい食事。それに正しい運動。それら全てを完璧に管理すれば、人は仙人に昇華する」
そこまで行けば、寿命は何千倍も伸びると言われている。
その分、人間性が欠如していくけど。
「ハクアにはやらせてるけど……イリスもする? くそ、長期的に見ないといけないし、イロイロと楽ではないけど」
「やりますッ!!」
真剣……
「解った。じゃ、もう、そんなに悲しそうにするな」
「っ! ムドウは……ふふふっ。そうですね」
笑顔になった女王の唇を奪って……貪った。
それから夕暮れ時。
イリスがぎゅーッと抱き着いて、
「そろそろ、王都に戻りますね……」
「なら、離れろよ! そういえば、俺を殺そうって話は?」
「また暫く会えないと言うのに酷い方ですね……」
って言ってもすぐ来るんだろ。
お湯に浸かりながら、夕日を見るイリスは……俺の胸に寄り掛かって、
「王都騒乱……半年前の格闘大会、クロナさんの暴走ですね。
あれにより、主要な王貴族が大量に戦死しました。
何故かムドウ排除派ばかりでしたね」
お前がそうなるようにしたんだろ!
「そのため、現在フィーリルア王国では深刻な兵不足です。
貴重な戦力たるムドウを排除しようとする動きはなくなりました」
「貴重な戦力ね」
「今まで通り有事の際は、私の為に戦っていただければ」
まあ……
「そうだなぁ」
「ふふっ」
短く笑ったイリスは立ち上がって、
「では、私は……。ムドウは?」
子犬みたいな目で、俺を見るな!
「見送るよ。でも、その前に……」
「もう一回、ですか?」
「嫌なら良いんだぜ?」
「ふふっ。まさか」
そうして、水泡が立つ中、惜しむようにイリスを抱きしめた。