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十二話 来訪者の相手をしよう

 アリスの家事スキルを一日、拝見して解ったことは一つ。

 ……もう手放せない!!


 料理はうまい!

 洗濯や掃除も嫌な顔せずに進んでしてくれる。

 要領も良い。


 何かを指示しなくても、自分でやることを見つけてくれる。

 更に、構ってちゃんな、ハクアと違い、引くところはちゃんと引く。


 例えば、どんなに甘えていても、ハクアと組み手をする時間になったら、スッと離れてくれる。

 案外これが一番ありがたい。


 組み手が終れば、すぐに濡れタオルで汗を拭いてくれるし……

 至れり尽くせりで、『痒いところに手が届く』という言葉はアリスの為にある気もする。


 そして、何より、流石は国一の美女、女王が生んだ娘。

 可愛さにブッチ切れているハクアとは違うベクトルで、美しさにブッチ切れている。


 あの歳で、大人の色気を醸し出してるから末恐ろしい。


 コンコン。


 「ティンポ様……入っても良いですか?」

 「良いよ」


 そんなことを考えていた夜遅くにアリスが、襖をノックして入ってくる。

 ……帰りたいとかかな?


 「どうしたの?」

 「ハクア様は……? いないんですか?」

 「ハクア? ああ、ハクアは……」


 魔獣の森で一晩過ごす修業させているから居ない。

 そういえば、アリスに伝えるのを忘れてた。


 「うん。居ないよ」

 「では……ふふっ。独り占めです! ティンポ様♪ 夜の御奉仕の時間ですよ♪」

 

 マジで……来るとは。

 しかも、もう服を脱いで、下着になってるし……

 エロい!!


 なんてエロい下着をきているんだ!!


 「御奉仕です♪ 御奉仕です♪ ティンポ様に命を救われたあの時から、この時を待ちくたびれちゃいました」


 ……やっぱり、くたびれちゃうんだね。


 「失礼します♪」


 何の戸惑いもなく布団に入ってくるアリス。

 

 「……そこは遠慮しないんだね?」

 「えっ? 最初にティンポ様に入っていいか聞きましたよ?」


 そういう意味で言ってたんだ……


 ピタリとアリスの動きが止まって、身体が小刻みに震えはじめる。

 ああ! ダメ! 震えるのは流石に……!

 アレが刺激される。


 「うっ……うっ……。ティンポ様……もしかして、アリスは売られちゃいますか?」

 「えっ……?」


 家事が壊滅的なハクアに対し、家事が得意なアリス。

 この一日だけで、ハクアの今までよりも、アリスの方が俺に貢献してくれている。


 しかも、普通は超高額な泊まり込みのメイド仕事なのに、アリスの場合は奴隷身分だから、食費と生活費だけでいいという、超優良物件。


 実利的にもアリスは、一億で売るより手元に残しておいた方が、断然良い。

 一億なら、すぐにハクアが稼いでくれると思うけど、アリスを手放せば一生手に入れることが出来なくなる。


 色々とごたくを並べたけど、俺はアリスが欲しいっ!

 それだけ。


 きっとイリス女王の策略通りなんだろうけど……


 「いや。そんな気は無くなった。アリスは俺の奴隷にするよ」

 

 実はもう血印を押していた羊皮紙をアリスに見せながら言うと……


 「わぁああ♪ やったぁ♪ ティンポ様~大好きです!」


 ぎゅ~っ。


 「ティンポじゃなくて、テンプね」

 

 とても喜んでくれた。

 でもね、奴隷にされるのは、普通は嫌なことなんだよ?

 一般的に奴隷の人権は無いに等しいから。


 本人がそれで幸せなら、俺が口を挟む事は無いけれど……ね。


 「じゃあ、夜の御奉仕を始めます♪」

 「待って! 待って! ちょっと待って!」


 サラっと話を戻して、スボンを掴まれた。


 焦る!


 女王ぉおお!

 マジでどんな教育しやがった!!


 「?」

 「御奉仕はしないでいいよ。子供出来たら面倒だし」

 「まだ、出来ませんよ?」

 

 マジか……

 そうか……

 

 「なら良いか? ……って、ならないよ!」


 良くないよ!


 「俺、主従の立場を使って性的なことさせるのは嫌なんだ」


 コレは、本音。

 胸糞が悪くなる。

 こういうことをするから、女王の事が嫌いなんだよな。


 「じゃあ、奴隷やめます」

 「えっ?」


 バチィッン!


 羊皮紙が消し飛んだ。

 ……正規の解呪手段ってそういうこと?

 面白いって言っていた邪神ちゃん……知ってたな。


 「ティンポ様♪ コレで従属じゃなくなりました。アリスの意思です。御奉仕したいです♪ ……後はなにがダメですか? 不快な所があるのなら、アリスはすぐに直します」

 「え~っと……」

 「ティンポ様。アリスは! アリスの純潔は、ティンポ様に捧げると決めています」

 「……」


 ……特にない。

 ……特にない!?


 「解ったよ……。でも、内緒だよ?」

 「はい♪ 心得ています♪」

 「それとハクアが居ない夜だけだよ?」

 「なんでですか?」

 

 ばれたら、どうなるか解らないから。

 ……何より、


 「約束したからね、大会で優勝したら考えるって。ハクアが強くなるのを辞めちゃったら、俺が稼がないといけなくなる。それはめんどくさい。ハクアにはキッチリ稼げるようになるまで、止まらせないし、よそ見させない」

 「ふふっ。アリスは良いんですか?」


 楽しそうに耳を傾けてくれるアリスは身体を、いつの間にか寄せている。

 ぎゅ~と抱き着かれると気持ちいし。

 コレはハマる人が居るのも頷ける。


 「今日みたいにちゃんと、メイドのお仕事をしてる限りはね……」


 あれ?

 奴隷じゃないなら、ただの王女じゃね?

 お手付したら殺されるんじゃね?

 

 まあいいか。

 俺の方が強いし、何より、アリスが望んでる。そして、俺もアリスとならしたい。

 コレを不貞と言う奴の方が不貞だ。


 「ティンポ様ぁ……大きいです」

 「うん……それ、ティンポじゃなくて……」


 アリスとの甘美な夜は、結構ハードだった……

 ビックリだね。


 ……と思ったけど、やっぱり不貞な気がしたからキスだけにしておいた。


 朝。


 軽い倦怠感を感じながら起きると、隣にぐっすりと熟睡しながら俺の腕を気持ち良さそうに、両腕で抱いて寝ているアリスが居た。


 ……ああ。そうか。


 「アリス。アリス。朝だよ?」

 「ふむ~~っ? ティンポ様ぁっ……♪ ふふ」


 眠たそうに目を擦りながら、起きるアリスに色気を感じて……

 そっと抱き寄せ朝一番の唇を貰う。


 昨日散々したけどね。

 またしたい。


 「ふにゃ……♪ ティンポ様……」

 

 すると、すぐにアリスの意識が覚醒して、上手く息を合わせてしてくれる。

 そういえば昨日も初めてなのに、俺に合わせてくれて居た。

 ……愛おしい。


 口の中に豆乳のような甘い味が広がる。

 とろとろと、絡ませあって……


 「ティンポ様。朝の御奉仕ですか?」

 「御奉仕って……」


 そういうんじゃないでしょ?


 「俺は何時だって、したいことをするだけだよ。アリスはしたくないの?」

 「ふふっ、アリスはティンポ様の心の奴隷です」

 「つまり?」

 「とっ~ても嬉しいです♪」


 知ってる。

 

 「これが色欲か……最高じゃねぇーか!」

 「ふふ、昨晩は十回でした。朝は何回です♪」

 「それは……」


 言いながら柔らかいアリスの肉を抱き寄せて……喰らった。


 ……十二回でした。



 《修練寺 表門前》


 そこには毎朝早くから、数千人の弟子入り希望者が殺到する。

 集まるのは、一癖も二癖もある者ばかり。


 そんな弟子希望者達が弟子になるための条件はただ一つ。

 門番を倒すこと。

 それだけ。


 「よし! 今日こそは! あのお嬢ちゃんを倒して、童貞の弟子にしてもらう!」

 「ああ、そうだな。ロリコンで童貞の弟子になろう!!」

 「ぐふふふ……童貞食べたい」


 しかし、ムドウ流が会派して一ヶ月半。挑戦した弟子希望者の総数は十万人近い。

 それでもなお、門番を突破できた者は一人も居なかった。


 今日の弟子希望者達も顔見知りばかり。

 何度挑戦しても、届かない。

 だからこそ、届かせてみたいと思うのは、武道家の性だった。


 だからもう、希望者達の目的はムドウの弟子になるところにはない。

 それは方便となり果てている。


 その真の目的は……史上最強の門番を倒すこと。

 それだけ。


 そんな弟子希望者達の前に、最強の門番。少女が降臨する。

 怪しく光る紅い瞳。紫色の長い髪。どろどろでボロボロのワンピース。

 腰からはにょろにょろと細い触手を囃している。


 弟子希望者達は少女の降臨に一斉に(こうべ)をたれてひざまづく。


 「「「「邪神ちゃん! 今日もよろしくお願いします!!」」」」」

 

 そう邪神ちゃんである!!


 ハクアの練度が上がり、千人組み手から別の修業に入ったことで、変わりに邪神ちゃんが門番に着いた。

 最初こそ恐れ戦く弟子希望者達であったが、ムドウとの約束で邪神ちゃんは人を殺さない。

 

 だから、弟子希望者達は段々と邪神ちゃんとの戦いで、心を通わせて……


 「今日の貢ぎ物は《ビック・マウス》の塩焼きです!! どうぞ」

 「我のしもべに達の分は?」

 「もちろんあります」

 「良かろう。では、心行くまで地獄を見せようぞ! 我に傷一つでもつけられれば、我のしもべにしてやろう。シュルシュル」

 「「「「うおおおおおおおお」」」」」


 今では必死に邪神ちゃんのしもべになろうとしているのであった……

 時代は蛇の弟子である。


 今日も今日とて、邪神ちゃんが死々累々の山を作り上げた夕暮れ時。

 泥遊びをしていた邪神ちゃんの前に、新たな挑戦者が現れた。


 「すまぬが今日は終わりだ。また明日、出直して来るのじゃな」


 邪神ちゃんは、しもべの蛇達に泥をかけてあげながら、挑戦者にそういった。

 しかし、挑戦者の足は止まらず、表門を開こうと手を伸ばす。


 びゅるん!!


 その手を遮るように、邪神ちゃんの触手が伸びる。

 

 「主様から誰も通すなと言われているのだ。礼を弁えぬ輩なら、喰ろうてしまうぞ?」


 邪神ちゃんは、弟子希望者達には牙を向くことはない。

 でも、ムドウに牙向く者には相応の態度を取る。


 スパンッ!


 「なっ!」


 邪神ちゃんの触手が鋭い何かに切り裂かれた。

 そこで、初めて挑戦者が口を開く。


 「蛇ごとき劣化種が、偉そうに私の道を阻まないでくれないかしら?」

 「そなた、何者じゃ!? 我が主の居城に何用でまいったのだ?」

 「ふんっ。劣化種に教える義理は無いわ。でも、そうね。隠す必要も無いのよね。私は復讐者。だからね、テンプを……殺しに来たのよ!!」

 「笑止!! 死ぬがよい!! 《蛇神触手(ゴッド・スネーク・テンタクル)》」


 主の殺害を宣言されたことで、邪神ちゃんは本気になり、挑戦者……改め復讐者を殺す攻撃を放った。

 最強最悪と言われた邪神ちゃんの攻撃は……!!


 

 

 

 

  

 


 

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