冒険初日
「いらっしゃいませー。」
俺は生産者ギルドの売店に鎌を買いに来ていた。
(へぇー、売店っていうからコンビニみたいのだと思っていたんだが、しっかりした店じゃないか。)
床は木のタイルが敷き詰められ、レンガの壁に薬草や鉱石、マジックアイテム等が飾られている。
ファンタジーな光景だ。
近くにある木でできた棚を見ると、『鍛冶師用』と看板がついていた。
・・・・・
「えーっと、鎌、鎌・・・おお、ここが錬金術師用のコーナーか。」
ビーカーやフラスコ、天秤や薬研(生薬をすりつぶすローラーのようなもの)等があった。
ほとんどが1000G以上するため、今買えるような物はほとんどない。
「・・・お」
上の段を見ていると、『初級錬金術師の為のレシピ集』という本が500Gで売っていた。
買えそうな金額だ。手に取る。
(よし、これは買って行こう。)
その後もしばらく錬金術師の棚を調べてみたが、ここに鎌は無いようだ。
(違うところにあるのかなぁ。)
とりあえずレシピ集を買うため店員の所へ向かう。
すると、途中で採取用と書かれた場所にツルハシや釣り竿、鉈等が置いてある。
よく見ると鎌もった。
「おお、在った。」
草刈り鎌値段は300Gの為購入可能だ。
「ありがとうございましたー。」
商品を購入し店を出た後、すぐにレシピ集を読む。
『初級マジックポーション、爆薬、解毒薬のレシピを手に入れた』
♪~
気分を良くし、俺は北の門から外へ出ようと向かおうとする。
「っと、外に出る前にクエスト受けていった方がいいか。」
また冒険者ギルドに入り、今度は掲示板を確認する。
(んー、良さそうな依頼は・・・)
【ランクG いやし草の採取10本 報酬100G】
というものがあった。
『このクエストを受けますか?』
と表示が出たので『はい』を選ぶ。
今度こそ北の門を抜け、外へと出る。
(おおー。)
緑色の草原の向こうに鬱蒼とした森が見える。
草原では緑色のスライムや、チュートリアルで戦った兎と戦うプレイヤーが沢山いた。
(戦っているプレイヤーも多いけど・・・)
門近くの草原では座り込んでいるプレイヤーもかなりいた。
色とりどりのウィンドウが並んでいる。
見てみると、『パーティー募集中』や『雑談中』等書いてある。
(今回はもう時間もないし、一人でやってみよう。)
モンスターと戦いに行こうとするが、自分がまだ錬金術師の格好であることに気付く。
(おっと、危ない危ない)
魔術師の格好に着替える。
しばらく草原を歩いていると、緑色のスライムが出てきた。
「キュ!」
デフォルメされた顔がついていて、何だか愛らしいモンスターだ。
飛び跳ねながら近づいてくる。
『ファイアーボール』
魔法を唱えると、真っ直ぐスライムに当たり、一撃でポリゴンへと変わる。
(一撃かー。これなら魔法使わなくてもいいかもしれないな。)
またしばらく歩くとグリーンスライムが現れる。
「キュッ!」
スライムの体当たりを受けたが、HPは1しか減っていない。このまま近接戦で行けそうだ。
ブン!ブン!ブン!
杖で3回叩くとスライムはポリゴンとなって消えた。
『♪スキル杖術がLV1になりました。』
(近接戦も面白いかもしれない。)
そう思い先に進もうとしたが、
ピピピ♪
と音がした。
時間を見ると後10分でログアウト時間だ。
(やばい。)
俺は急いで北の門から町へと戻りログアウトする。
次回、掲示板回です。