春のポーションまつり1
ゴリゴリ・・・ゴリゴリ・・・
3日ぶりにログインできた俺は、ひたすらいやし草をすり潰していた。
おかしい、こんなはずじゃなかったんだが・・・
――ここ2日間、大学の入学式とバイトでSEOにログインできなかった俺は、久しぶりのログインに心を躍らせていた。新しいフィールドに探検に行こうと思って、とりあえずクエストを探しに行ったんだ。
そしたら、初級ポーションの作成が再びクエストで復活しているのを見つけた。
どうやら、時間がたつとクエストは復活するようだ。
今は金欠だ。少しでも増やしたい。迷わずクエストを受諾した。
――コンコンコン♪
「はーい。」
アルクさんが出てくる。今日はポニーテールだ。かわいい。
髪型を変えただけかな? と思ったが、よく見ると首筋に鱗がある。
「お久しぶりです。設備を借りに来ました。」
3日間会ってないだけなのに、ずいぶん久しぶりに感じる。
アルクさんは「どうぞー。」と言うと、眼鏡を付けて机に置いてあった本を読みだした。
トムソンから職人の腕輪を貰ったのを思い出した。
装備すると、DEXが5も上がった。
錬金術師の初期装備品3つで+3なのに、アクセサリー1つで+5だ。
トムソンは気軽にくれたけど、後でちゃんとお礼言わないといけない。
初級ポーションを作成しよう。
調合の比率について攻略情報を確かめたが、まだ載っていなかった。
錬金器具を揃えるだけで1万Gする。
まだ器具を揃えられている人が少ないのかもしれない。
だが、作っていく内に大体の傾向は見えた。
実験No.20
中温 水×0.7 いやし草の粉×1.1
『初級ポーション(ランクA)を作成しました。』
今までで最高の品質だ!
これが最高品質なのか?いや、良品となっている。まだ上がありそうだ。
・・・・・
実験No.24
中温 水×0.8 いやし草の粉×1.2
釜から七色の光が溢れる!
『初級ポーション(ランクS)を作成しました。』
やった!これが正解だったに違いない!
俺はジャンプして喜ぶ。スキップもしてみた。
パチパチパチ!
アルクさんが拍手してくれた。
見られていたようだ。少し照れる。
いや、調べるの大変だったんだよ。ホント。
少しテンションがおかしくなるのは仕方がないことだ。うん。
鑑定すると『高品質 HP22回復する』と出てきた。
最初に作ったポーションの倍以上の回復量だ。
あと5個、同じものを作ろうとした時にチャットが現れた。
ユージからだ。
『今、どこにいる?』
「グンマーサーバーの錬金術師の小屋だよ。」
『分かった。今から行く。』
5分位経ってから、ユージが来た。テルもいる。
「よう、調子はどうだ?」
「どうだって、初級ポーションは高品質まで作れるようになったけど・・・」
「ジンク、すごいじゃん!」
テルが褒めてくれる。
「物は相談なんだがな、ジンク。お前のポーション評判良くてな。もう30個ばかり作ってくれないか?」
「あはは・・・僕もなんだよね。フレンドからもっと欲しいって言われて。20個でいいから欲しいな。」
合計50個だ。作れない数ではないが、少し時間がかかる。
「ユージ、テル。実は・・・」
俺は錬金器具を使った錬金術の説明を2人にした。
実際に器具を使って作成してみる。
中温 水×0.8 いやし草の粉×1.2 ハチミツ×1
で作成した。
『初級ポーション改(ランクD)を作成しました。』
七色の光は出なかった。
これは正解ではないらしい。
ただ、前回よりもランクがだいぶ上がっている。粗悪品ではない。
「HPを35、MPを5回復できるみたい。」
「MP5も回復できるのか!HPの回復量も通常のポーションと大差ないし・・・これは1個120Gで売れるな。」
「120G!?」
前回の5割増し料金だ。暴利だ!
「HP40回復させるポーションが50G、MP10回復させる初級マジックポーションが100Gだ。味もいいし、問題ない。売れる。」
ユージが断言した。
ただユージが良くてもこっちには問題がある。
「ユージ、ハチミツが足りないよ。今20個しかない。」
「問題ない。狩ってきた。」
「あ、僕も。」
ユージからハチミツを50個渡される。テルからは30個だ。
「・・・あと、これは切実な問題なんだが・・・金がない。いやし草が30本しか買えない。」
「お前、あんだけ借りといて・・・まぁいい。必要経費だからな。前回売れたポーション代だ。とっとけ。」
ユージとテルから合計1200G受け取る。
一気に懐が温かくなった。
「じゃ、30分位かかるから、また後で取りに来て。」
「げ、そんなにかかるのか。」
「また後で、ジンク。」
テルとユージが出ていった。
そして今に至る。
いやし草100本をすり潰すのは思ったよりも大変だ。
もう10分近く同じ動作を続けている。
この後は、水と粉を測ってから温めて、ハチミツを一緒に釜に入れてかき混ぜて。
本当にこれ、後20分で出来るのか?
・・・待てよ?
中温 水×0.8 いやし草の粉×1.2 ハチミツ×1 は初級ポーション改の最適解ではなかった。
試しに 温め無し 水×1 いやし草の粉×1 ハチミツ×1
で作成する。
『初級ポーション改(ランクE)を作成しました。』
ランクが一つ低い。
次に水を低温に変更して同じように作成する。
『初級ポーション改(ランクD)を作成しました。』
水の温度を変えるだけでランクDになった。楽だ。
残り49個はユージとテルが戻ってくる前に何とか作成できた。
経験値が大量に入った。錬金術師のレベルが2つも上がっている。
「サンキューな。あと、今度の土曜ってジンク予定あるか?」
「土曜は・・・午後からバイトだから朝ならいいよ。」
「そうか。リコも来れるみたいだから、また皆で狩りに行こうぜ。」
「いいねー。行く行く!」
「また後で連絡する。」
「バイバーイ。」
ユージとテルが出ていった。
久しぶりにリコとも会えるようだ。
ジンク
LV9
HP 47
MP 81
STR:10
VIT:14
AGI:11
INT:27(+1)
DEX:27(+8)
LUC:13
生産職:錬金術師LV5→7
称号:錬金術師の卵
所持金500G(借金9000G)




