錬金術開始2
ヤバい・・・ヤバいってこれ。
冷や汗が流れでてくる。
なぜこんな状態になったのか?
今までの状況をまとめてみよう。
いやし草を薬研ですり潰す。
いやし草→いやし草の粉になった。
ここまでは良い。ここまでは良かったんだ。
問題はその後だ。
天秤に載せると、粉が0.1個単位で測れたのだ。
しかも、1個までではなく、1.2個にもできる。
まさか!?と思ってビーカーに水を入れると、これも0.1個単位で測れた。
魔石ヒーターは低温、中温、高温と3段階に分かれている。
つまり、初級ポーションの一番品質の高い作り方を調べるようとする。
すると、0.1個から1個の間に正解があると仮定しても、10×10×3の300通りある。水を温めないことを考えると、400通りは調べないといけないという訳だ。
まぁ、水0.1個に、いやし草の粉を1個を入れても品質が高くなるとは思えない。
実際には数十通り調べれば分かるだろう。
ただし、一番簡単な初級ポーションでこれである。
今後、材料が増えていくにつれて、指数関数的に調べるのが難しくなる。
手に入れるのが難しい材料だって出てくるはずだ。
これ考えた奴、すっごいドSだろ・・・
とりあえず、
いやし草の粉×1 水×1 温度 中温
で作成する。
『初級ポーション(ランクB)を作成しました。』
おお!一気に品質が上がった。
最後に作った時はEランクだった。3ランク上がっている。
作成した時に入る経験値も多い気がする。
なんだ。面白いじゃないか。
俺は先程までと打って変わって上機嫌になる。
・・・ふと視線を感じた気がした。
後ろを見ると、アルクさんがとてもいい笑顔で笑っている。
口がワの字になっていた。後光がさして見えそうだ。
「ジンクさん、錬金器具を購入したのですね!そう、この手を加えて品質を高めることこそが、錬金術の醍醐味なのです!ただかき混ぜるだけではないのですよ!」
いつもと口調が違う。テンションが異常に高い。
そういえば、一番最初に錬金術を教えてもらった時もテンションがおかしかったなこのNPC。錬金術が絡むと人格が変わるのだろうか?
「お祝いに称号をあげるわ。」
♪♪~
『錬金術師の卵の称号を手に入れた』
ファンファーレと共に称号を受け取った。
初の称号である。少し嬉しい。
「ありがとうございます。って、今まで俺は卵ですらなかったんですね。」
「ええ、ヒヨコになれるように頑張りなさい。称号は付けることで錬金術の成功率が上がるわ。あと、レシピのないアイテムでも、正しい比率で調合すれば作成することができるわ。」
さらっと更にハードルの高いことを言われた気がする。
だが、今はとりあえず初級マジックポーションの作成だ。
いやし草20本全て初級ポーションの作成に使用してみた。
結果がこれだ。
ランクB×6個
ランクC×4個
ランクD×3個
ランクE×2個
ランクF×2個
失敗×2個
ん?19個しかない?
いやし草の粉を1.1個使用したら、いやし草が2個分減ったのだ。
どうやら半端な数を使用すると、切り上げで減るらしい。
水はいいが、いやし草は余裕が出るまでは1個以内で作成したい。
失敗は、水0.1個×いやし草1個と、水1個×いやし草0.1個だ。
錬金術の終了時に光が出ず、黒い煙が出てきたのだ。
一瞬、爆発するか!?と、焦ったが、焦げた香りがしただけだった。
爆発するには何か条件があるようだ。
初級ポーションは10個作成できた。
クエスト報告に行こう。
・・・・・
「いい出来ですね。これが報酬です。」
受付のお姉さんはニコニコの笑顔である。
ランクの低い方から渡そうかと思った。
だが今は金が欲しい。切実に欲しい!
だから俺は、ランクが上の方から順に提出した。
報酬 250G
冒険者ポイント 12P
現在のランク ランクF(37/100)
いやし草が10本で100Gである。
報酬が250Gだから、2.5倍のお金になる。
ポイントも入るし、もう1回同じクエストをしたい!と掲示板に来てみたが、
同じクエストは無かった。
そう簡単には稼がせてくれないようだ。
ピピピ♪
ログアウトの時間が近い。
今回はここまでのようだ。
ジンク
LV9
HP 47
MP 81
STR:10
VIT:14
AGI:11
INT:27(+1)
DEX:27(+3)
LUC:13
善行値:1
戦闘職:魔術師LV8
生産職:錬金術師LV4→5
スキル:火魔法LV6
習得魔法:ファイアーボール
称号:錬金術師の卵
所持金500G(借金9000G)
次回 お兄さんたちと会いに行きます。
2017/10/30 カルマ値→善行値に変更しました。




