パーティー戦4
♪~
リコがヴァイオリンを弾くとノリの良いメロディが流れる。
かなりテンポが速い。これって人の弾ける曲なのか?
リコの腕がすごい速さで動いている。
「リコ、お前すごいな・・・」
「実際ボクが弾いてる訳じゃないさ。自動演奏だよ。
ヴァイオリンを習っていたことはあるけど、流石にこれは弾けないさ。
これは『戦士の旋律』っていう曲で、STRが上昇するんだ。
まだ僕のレベルが低いから微微たるものだけどね。」
STRの上昇か。俺には関係ないな。
少しテンションが下がるが、戦闘時にBGMがあるのはいいものだ。
リコの演奏を聴きながら話しているとまた敵が現れる。
ゴブリンが2体だ。片方は長剣を、もう片方は弓を持っている。
「ゴブリンナイトと、ゴブリンアーチャーか。俺が前に出る。」
ユージが盾と剣を構えてモンスターの前に出た。
ユージが右足で踏み込み、剣を振るう。霞んで2回攻撃しているように見える。
何か武技を使ったのだろう。硬直時間の間に矢がユージに当たる。
HPバーはちょっとしか削れていない。硬い!流石盾職だ。
後ろでテルが矢を同時に2本つがえてゴブリンナイトに命中させている。
これも武技か。
俺も攻撃しないと!ゴブリンナイトにファイアーボールを撃つと、近くにいるユージに当たってしまいそうだ。
俺はゴブリンアーチャーに向かってファイアーボールを撃つ。
ユージは左から振るわれた剣を盾で左にはじき返している。
どんだけ力があるんだ?ユージの奴。がら空きになった胴に剣を刺している。
クリティカルになったようだ。ゴブリンナイトのHPバーが砕け散った。
1匹になったゴブリンアーチャーは、俺、ユージ、テルに攻撃され瞬殺された。
あれ?何か黒い石が落ちている。
「お!?珍しいな。魔石だ。」
ユージが黒い石を拾い上げる。
「ユージ、魔石って何なんだ?」
「ああ、ジンクは見るの初めてか。魔石はダンジョンでしか出ないアイテムでな。何かの生産活動に使えるらしいんだよ。とはいってもまだ使い方が分からないからNPCに売る以外使い道がないが・・・。これ1個で500Gで売れるぞ。」
1個500G!?生産活動に使えるのであれば取っておきたい。
しかし、今回はパーティーで攻略しているので、
売ってから皆で金で分けた方がいいな。
「今回は売った方がいいか。」
「そうだな。」
テルとリコも頷いている。決定だ。
・・・・・・
「ごめん、もうそろそろログアウトの時間だ。」
リコがそう言ったので時間を確認する。もう2時間はここで籠っていただろう。
結構いい時間だ。
「それじゃあそろそろ解散ということで?」
「ああ、町へ飛ぶか。」
テルが確認し、ユージが答える。って、飛ぶってどういうこと!?
「ユージ、飛ぶってなんだよ?」
「おい!転移石持って来てなかったのかよ。ギルドの売店で売ってただろうが。」
「ごめん、ボクも持ってない。」
リコも持っていないようだ。
よく考えたら、冒険者ギルドの売店は行っていない。
北の森からはデスルーラで戻ってきたのだ。金欠だったからあの後売店には行っていない。全ては貧乏が悪い。
食欲に負けて屋台は見に行ってしまったが。
ユージは「しょうがねぇな。」と言いつつ、俺とリコに転移石をくれる。
使用すると、行きたい場所の選択画面がウィンドウに出てきて、一瞬でフロンティアの噴水まで戻れた。
これは便利だ。
冒険者ギルドに行き、清算を行う。
今回のドロップアイテムの売却額は2000Gだった。
ゴブリン討伐後、魔石がもう1個出てきたので合計2個販売した。
半分は魔石の売却額だ。
一人500Gか。少ないな。と思ったが、既に所持金が1200Gになっている。
モンスターを倒した時に出るお金が、結構貯まっていたのだ。
レベルもかなり上がっている。最後の方はゴブリンの魔術師とファイアーボールの詠唱速度ほとんど変わらなかったしな。パーティー戦。いいものだな。
「パーティー戦って・・・良いな。」
「そうだろ。また時間が合えば一緒にやろうぜ。」
「ああ、だけど今回ユージとテルはもっと先に行けたんじゃないか?」
ユージは誘ってくれるが、俺、足手まといになっていないか?と戦闘中ずっと気になっていた。
「そんなことはないさ。いつもあの辺でレベル上げをしているよ。
特に、リコ君のヒールがなかったら、不味いポーションを飲まないといけなかったしね。音楽のバフも地味にありがたかったし。」
「ポーションといえば、次はハチミツ狩りに行かないか?明日の昼なんてどうだ?」
「いいね。明日は日曜日だし。大丈夫だよ。」
そういえば、ダンジョンに行く前にそんな話してたな。
ユージの提案にテルがOKを出している。
明日はバイトは入っていない。俺も大丈夫だ。
「ポーション?ハチミツ?」
「ああ、リコには説明していなかったな。俺が不味くないポーションを作るのに必要でね。ハチミツをドロップするハニービーっていうモンスターを北の森に借りに行こうって話になってたんだ。」
「ボクも行っていいかな?」
リコが上目遣いで遠慮がちに言う。
勿論OKだ!俺はブンブンと首を縦に振る。
「もちろん、歓迎するよ。」
「それじゃあフレンド登録するか。」
俺達は互いにフレンド登録し、連絡先を交換し合って解散した。
ジンク
LV3→7
HP 29→41
MP 57→69
STR:4→8
VIT:8→12
AGI:5→9
INT:16→20(+5)
DEX:8→12
LUC:7→11
(残り12P)
戦闘職:魔術師LV3→7
スキル:火魔法LV2→5
習得魔法:ファイアーボール
所持金200G→1700G
MMOのパーティー戦って足手まといになりたくないから、
つい頑張ってしまいますよね。
リコ君初の演奏です。ギルド戦ではオーケストラ部隊を結成したい(願望)