パーティー戦3
週別ユニークユーザーが昨日まで100未満だったのに、
今日見たら700超えてました。
不思議なこともあるものです。
作者としては、読んでくれる方がいるだけでも有難いものです。
ダンジョンは土の丘にできた洞窟だった。
洞窟の周りには石でできた門があり、門の両端にはフルプレートの鎧を着たNPCの衛兵がいる。
その周りには大勢のプレイヤーがいた。座って話し込んでいる者もいれば、いそいそと洞窟の中に入っていくプレイヤーもいる。俺達は先のプレイヤーに続いて洞窟の中に入った。
・・・・・
「広いし、結構明るいな。」
洞窟に入ってから階段を下ると大きな空洞に出た。
10人位並べそうな横幅があり、天井は5mほどある。
地面は土で、周りの壁や天井は岩石でできている。
入口から降りるときは松明が置かれていたが、内部の岩石の一部が至る所で明るく光っているので、昼間のように・・・程ではないが、十分明るい。
「こっから先はモンスターよく湧くから気を付けろよ。」
ユージが言い終わるか否かというタイミングでモンスターが出てくる。
耳と鼻が尖っていて、緑色の肌をした小人、ゴブリンだ。
茶色い粗末な服を着て欠けた剣を持っている。
攻撃しないと!
「ファイアー・・・」
ブン!という剣の音と共にゴブリンはポリゴンとなり消えていった。
俺が呪文を唱える前にユージが袈裟切りにして倒してしまったのだ。
「ユージ・・・」
俺とテルが恨みがましい目をしていると、
ユージは冷や汗をかきながら「悪い。悪い」と言いつつ
「もうちょっと行くと敵も強くなっていくからもうちょっと待ってくれ。な?」
と言ってきたので、俺達はしぶしぶ頷いた。
プレイヤーが多いが、広いので窮屈な感じはしない。
ただ、ダンジョンはフィールドと違っていきなり目の前にモンスターがヌっと現れるのでびっくりする。
現れるモンスターはゴブリン、コウモリ、蛇、スライムだ。
コウモリ(名前はヴァンパイアバットだ)は天井にぶら下がっている。
少しでも戦闘経験を増やそうとファイアーボールを唱えるが届かない。
テルが矢を当てて引き付けてくれる。
「テルはよくあんな遠くのモンスターに当てられんな。」
「まぁ、ゲームのアシストがあるからね。弓に矢をつがえると勝手に敵に照準が合うんだよ。現実の弓道もこれくらい楽だといいんだけどね。」
俺が褒めるとテルが頬をかきながら照れている・・・あれ?
「テルは弓道やってたっけ?」
「いや、今度大学に入ったら弓道のサークルに入りたいなと思っててね。」
「3人はリアルでも知り合いなのかな?」
リコが話題に入ってきた。
「ああ、高校の友達だよ。これから大学入るから皆バラバラだけどね。」
「友達か。いいなあ。ボクは友達には内緒にしているからね。羨ましいよ。」
リコは目を細めてそう話した。
「内緒にしてるって何か問題でもあるのか?」
「ちょっとジンク、それ聞く!?」
テルが慌てている。
「ハハハ、大した理由じゃないよ。周りの友人がいたら騒がしくなっちゃうからね。ちょっと離れて遊んでみたかったのさ。」
笑っているがリコの顔が少し陰っているように見える。
「さっきからヴィル君のことを皆テルって呼んでるけど聞き違いかな?」
「いや、テルって呼んでるよ。」
「僕はホントはヴィルって呼んでほしいんだけどね。」
「じゃあボクはヴィル君って呼ぼうかな?」
「えっホント!?・・・いや、もうテルでいいよ。」
「フフ、そっか。分かったよ。テル君」
テルはもう名前については諦めたようだ。リコは笑っている。もう先ほどの陰りはない。
「おーい、ここら辺で狩ろうぜ。」
ユージに案内された場所は周りにプレイヤーがいない広場だった。
広いマップなので、こういう空白のスポットがそこらにあるらしい。
少し待っていると敵が現れた。
ゴブリンだ。2体いる。片方は銅色の鎧を着て石でできた斧を持っている。
もう片方は濃い緑色のローブを着ていて、手に杖を持っている。魔術師のようだ。
よし、俺は魔術師と対峙してファイアーボールを唱える。が、ゴブリンの方が詠唱が速い!何てこった!ゴブリンのファイアーボールが当たる。髪を乾かすドライヤー程度の熱だ。あまり熱くない。HPは10削られた。俺の詠唱は途切れることはなく続き、ファイアーボールはゴブリンの魔術師に当たった。
魔法防御力が高いのか、まだまだ倒れる様子はない。もう1度ファイアーボールを唱えようとすると、ゴブリンの肩に矢が刺さっている。テルが支援してくれているようだ。結局、俺がファイアーボール2発撃つ間にゴブリンはファイアーボールを3発撃ってきた。後はテルの矢と途中から参加してきたユージの攻撃により勝てた。俺一人では負けていただろう。
「まさか、ゴブリンに詠唱で負けるとは。」
「気にすんなよ。レベルが上がれば詠唱も速くなるさ。」
「テル、お前俺の事盾にしただろ。」
「何のことかな?まぁ魔法防御力の高いジンクに前にいてもらって助かったけどね。」
「まぁまぁ、ケンカしないで。」
そう言いつつリコが俺とユージに『ヒール』をかけてくれた。
「余裕がありそうだし、ボクは支援をするよ。」
そういうと、リコはヴァイオリンを取り出した。
次回でパーティー戦は一区切りです。