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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

婚約破棄のやり方シリーズ

【Web版】ヒロインの攻略対象は・・・

タグは見ましたか?

そうであるならきっと予想できてしまいますがどうぞお楽しみください(  ̄ー ̄)ノ

「ネリシア!君との婚約は破棄させてもらう!」


予定通り、お馬鹿な王子は夜会でそう宣言してくれた。

私は、思わず笑みが出そうになるのを抑えてなるべく愛らしい表情を意識する。


今の王子の発言のせいで周りは静まりかえっていた。

誰もが成り行きを見守るなかで、当事者の一人・・・王子の婚約者のネリシア様は余裕のある笑みを浮かべて王子に視線を向けた。


「あら?婚約破棄とは・・・殿下は言葉の意味を知っていますの?」

「馬鹿にするな!当たり前だろ!!」

「それは失礼しましたわ。では、知っててこの場で言っておられると?」


呆れたようにネリシア様は王子にそう言った。

まあ、普通に考えればこの場でやるのは酷いよね。うん。

さて、そんなことを気にしていない王子はネリシア様を睨み付けている。


「ふん!俺は真実の愛を見つけたんだ。ナンシー!こっちに来い!」


おっと、呼ばれてしまいましたよ。

仕方なく最後の仕事として私は王子に近づく。

すると、王子は私の肩をつかんで自分の方に寄せる。


ほ、骨が痛い!

力込めすぎよ!馬鹿王子!


声には出さずに私は内心で密かにクレームをつける。

そんな私に気づかずに王子は続ける。


「ナンシーは君とは違い、優しくて俺の心を癒してくれる。だから俺はナンシーと結婚する。お前とは婚約破棄だ!」

「そうですか・・・殿下がそう望まれるならわかりました。婚約破棄慎んでお受けいたします。」

「ふん!ならさっさとこの場から去れ!皆のもの今から俺とナンシーの婚約パーティーも行うぞ!しっかりとその目で新たな王妃をみろ!」


ざわめく会場にそう告げた王子。

言質もとれたし、そろそろかな・・・

私は静かに殿下の腕から抜け出した。


「ナンシー?どうかしたのか?」

「はい。殿下にお話がございまして。」

「話だと?」

「ええ。」


私はにっこりと笑みを浮かべると、王子にハッキリと告げた。


「私は殿下とは結婚しません。」

「はぁ・・・・?」


ポカンとこちらをみる王子。

美形のアホ面は面白いね。

そんなことを思っていたら再起動した王子に詰め寄られた。


「な、何故だ!ナンシー!まさかあの女に脅されて・・・!」

「いえ、そもそも前提が違いますよ。」

「ど、どういうことだ!」

「簡単ですよ。私は別に殿下のこと好いてはいませんから。」


その一言に王子は凍り付く。

ふむ。この表情はいいね。

訳がわからないという感じの困惑と、若干真実に近づいて恐怖する表情か。

王子はしばらくしてから顔を真っ青にした。


「な、そんな・・・」

「あ、照れ隠しとか嘘ではありませんよ。私は他に好きな人がいますので。それに、殿下のことは友達くらいにしか考えてませんでしたので。」

「な・・に・・」

「いえ、だからいつも言ってたじゃないですか。殿下とはいい“お友達”でいたいって。あれは別に建前ではなくて本心からの言葉ですよ。それに思い出してくださいよ。確かに殿下は愛を囁いてはいましたが、私は一度てもそれに答えたり私から愛を囁いたことはありましたか?」

「そんなもの・・・」


ないと言おうとして王子は絶句した。

今さら気がついたのだろう。

そう、確かに王子は愛を囁いてはいた。

とはいえ、私はそれに微笑んでただけだ。

一度も好きとは言ってない。


「そういう訳ですので、殿下。私もそろそろ失礼しますね。早く国へ帰りたいので。」

「な・・・帰るとはどういうことだ!」

「え?言ってませんでしたか?私は他国からの留学生なんですよ。だから留学期間が終われば国へ帰りますよ。」

「そんな・・・ナンシーは俺のことが・・・」

「殿下ですか?嫌いではないですが異性としてはあり得ませんよね。しかも公衆の面前で婚約破棄とかしたり、婚約者を放置して他の女を追いかける人は特に無いですね。」


私のその一言に王子は涙目で膝をついた。

内心でざまぁと思ってから私は王子に背を向けた。


「では、殿下。さようなら。」





「ナンシー。」


会場から退出して私が待ち合わせの場所に向かうとあちらから声をかけてくれた。


「お待たせしました。ネリシア様。」

「あら?そんな他人行儀ではなくていつもみたいに呼んで欲しいわ。」

「ふふ・・・そうね。じゃあ、ネリー。お待たせ。」

「ええ。意外と早かったわね。」

「まあね。ネリーの方は大丈夫だったの?」

「ええ。予定通り公爵家から出られそうよ。あなたのお陰ね。」


嬉しそうに頬笑むネリーに私は抱きついた。


「ナンシー?」

「・・・ネリーようやくだね。ようやく二人で暮らせるね。」

「そうね・・・やっとだわ・・・」


ネリーと初めて会ったのは子供の時。

たまたまこちらの国へ遊びにきたときに偶然出会った。

その時にネリーと私は仲良くなり、よく文通をするようになった。

大きくなってからネリーに再会した時にそれまでは友情だったものが恋慕へと変わってしまい当初は困った。ネリーも同じだったらしく、しかし、王子の婚約のネリーと結ばれるには王子から婚約破棄させるしかないと思い、私とネリーはある計画をたてた。


それは、留学生として私がネリーの国へいき、学校で王子と接触して籠絡して婚約破棄させるというものだ。

実は、私は前世の記憶があって似たような悪役令嬢やら乙女ゲームものの小説を山ほど読んだのでその手の知識が役にたった。


公爵家はネリーに王子の婚約者としての価値しか見いだしてなかったので、婚約破棄されれば簡単にネリーを追い出すとふんでいた。結果は・・・予想通りだった。


「ネリー。早速だけどこの国を出るよ。大丈夫?」

「もちろんよ。あなたとならどこでも行くわ。」


笑顔で答えてくれるネリーに私は嬉しくなり思わずキスをしてしまう。


「ん・・・強引ね。」

「嫌だった?」

「いいえ・・・知ってるでしょ?そんな訳ないって。」

「もちろん。大丈夫だよ。ネリー。」

「私もよ。ナンシー。」


王子との婚約破棄。

これが乙女ゲームなら悪役令嬢はネリーで私はさながらヒロインだろうか?

そうなると、ヒロインの攻略対象は悪役令嬢かしらね?

お読みいただきありがとうございます。


さて、今回は百合です。

まさかの婚約破棄に百合をやってしまった・・・・

完全に夜中のテンションで書いてしまいました。


ちなみに、題材は「悪役令嬢とヒロインの恋と策略」かな?


ではではm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 手堅い内容ですが だからこそ安定して楽しめました。 この作品を生み出してくださったことに感謝を
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