疑問
萎田芽論の葬式が終わった数日後、萎田家の遺産相続の話が毎晩行われた。
雲弧颯「お母様の遺書には私と芽論兄さんに遺産を受け渡すと書いてあったわ。」
狐塚恋「颯姉さんだけズルいよ!僕たちは萎田家の一人なんだから、分けるべきだよ。」
萎田ナツ「遺書が全てっていうわけじゃないでしょ?私たちは家族なんだから。」
雲弧颯「血が繋がってないアンタが言ってんじゃないわよぉおおおおおおおお!!
育ててもらっただけ有難いって思いなさいよぉおおおおおお!!」
萎田圭「そういえば、笑男のやつ、いないのか?」
雲弧颯「またあの変な子どもがなんかやらかしたんでしょ。
笑男は本当可哀想な男。
妻のよしこさんにも逃げられて、その上、変な子どもの世話までしなくちゃいけないんだからね。」
萎田圭「そう、アイツいつも会議欠席してるもんな。」
雲弧颯「そうよ、あなたたちには遺産を分けて、笑男の取り分を失くしちゃえばいいのよ。あの子、兄さんを殺したがってたし、その罰だと思えばいいわ。」
狐塚詩彩「颯さん、それは酷い話じゃ・・・。」
萎田圭「俺たちに遺産が入るってんなら、いいじゃねえか。」
狐塚恋「ああ、それなら文句ねえな。」
狐塚詩彩「ちょっと、アナタ。」
狐塚恋「颯姉さんが優しく見て、僕たちに遺産分けてくれるんだ。文句ないだろ?詩彩。」
狐塚詩彩「でも・・・。」
雲弧颯「詩彩さん、何か文句でも?」
萎田ナツ「詩彩さん、あなたは優しすぎるのよ。」
狐塚詩彩「・・・。」
こうして、毎晩行われていた会議は幕を閉じることとなった。
一方、萎田笑男は長男のせらに悩みを抱えていた。
萎田笑男「おい、せら。一体、クラスの子を妊娠させたってどういうことだよぉおおおお!?」
萎田せら「知らねえよ。俺はまだそいつが生理来てないって言ってたから、生でヤってたんだよ。
一応、ピル飲んでもらってたけど、あいついきなり診断書俺のとこ持って来て、妊娠したって言ってきたんだよ。」
萎田笑男「まだお前小学生だろぉおおおお!?」
萎田せら「父さんだって、母さんに逃げられたくせに何言ってんだよ!
俺だってしたいことしてもいいじゃねえか!」
萎田笑男「僕の金を無駄にしてんじゃねえぇええええぇえええええ!!」
笑男はせらを殴った。
せらは笑みを浮かべて、ずっと笑男を見つめていた。
萎田笑男「なんだ?その顔はぁあああ!?!?!」
萎田せら「遺産・・・おじちゃん死んだんでしょ?その分けてもらった遺産で払えばいいじゃん。」
萎田笑男「中絶費用ぐらい自分で払える!
お前は迂闊な行動ばかりしてないで少しは普通の小学生を見習え!
お前を見ていると僕の気が遠くなりそうだ。」
萎田せら「都呂々お兄ちゃんのお母さんがケチんぼだからでしょ?」
萎田笑男「お前には関係ない!」
そう言うと、笑男は自室に戻った。
雲弧颯、雲弧都呂々、雲弧如津武利は雲弧鰤太郎の姉である紅薔薇家に訪れていた。
雲弧都呂々「母さんが郁乃さん家に行くなんて珍しいじゃん。」
雲弧颯「パパにお世話になってもらってるし、ちょっとおばさんの家に挨拶しないとね。」
雲弧如津武利「僕、お母さんが何考えてるか分からないけど・・・。」
雲弧都呂々「如津武利、母さんに失礼だろ?」
雲弧如津武利「だって、急におばさんの家に行くなんて。」
雲弧都呂々「あ、母さん、お父さんいないの?」
雲弧颯「パパ、今日仕事あるから、無理なの。
ここに行ったってことは内緒にしてね?」
雲弧如津武利「うん・・・。僕は誰とも話さないから・・・大丈夫。」
雲弧都呂々「ああ。母さんがそういうなら気をつける。」
紅薔薇家に着くと、長女の郁乃が出迎えてくれる。
紅薔薇家は靖妃、三郎、郁乃の三人家族で、郁乃は若い頃のウンナに似ていた。
紅薔薇郁乃「めっちゃ久しぶりやん!
みぃな、おばさんとお話ししたかってん!」
雲弧颯「ありがとう。あのこれお土産だけど・・・。」
雲弧都呂々「郁乃さん、母さんに用事でもあるのか?」
紅薔薇郁乃「おばさん、めっちゃかっこいい人紹介してくれるから聞いてて楽しみにしてるねん!
みぃな、一人っ子やったから寂しかってん。
女子高で女ばっかりで、出会いもなかったし、それにみんな彼氏持ちやったし・・・。
都呂々くん、みぃの気持ち分かってくれる?」
雲弧如津武利「そういうのって紹介してもらうより自分で探すほうがいいんじゃないのかな・・・。」
紅薔薇郁乃「はぁー?
如津武利はまだ中学生のおこちゃまやねん!
高校生のうちに青春した方がええで!
みぃ、友達によく聞かされたからなぁー。」
雲弧颯「都呂々、如津武利。私と郁乃ちゃんが話し終わったら、郁乃ちゃんと遊んでもいいから、あなたたちは待ちなさい。」
雲弧都呂々「家に上がってもいいか?」
紅薔薇郁乃「いいでー。ママもおらんしな。」
雲弧都呂々「おばさんいないのか?」
紅薔薇郁乃「仕事やで。みぃ、今日な学校の先生に休んでもええって言われてん!
それにな、公欠にさせてくれるねんって!」
雲弧都呂々「はぁ。」
如津武利「お邪魔します。」
都呂々と如津武利は紅薔薇の家に入った。
雲弧颯と紅薔薇郁乃は玄関でにこにこと話し合っていた。
雲弧都呂々「なあ、怪しくないか。」
雲弧如津武利「都呂々兄ちゃんはそう思うの?」
雲弧都呂々「母さんが郁乃さんに興味あるって、相当ないんじゃない?」
雲弧如津武利「僕、母さんが恋次くんのお母さんとお父さんを悪口言ってたの見たよ・・・きっとそのことじゃないかな。」
雲弧都呂々「母さんには何か裏があるかもな。」
雲弧如津武利「僕たちには関係ないことだから、考えるだけ無駄だよ。」
如津武利は颯を見て少し溜息をついた。
狐塚舞知が学校から家に帰ると、女子高生が仲良さげに話しかけてきた。
紅薔薇郁乃「初めまして!みぃの名前は紅薔薇郁乃って言います!
あなたは?」
狐塚舞知「狐塚舞知・・・。何の用?」
紅薔薇郁乃「えっとー、みぃと友達になって欲しいねん!
みぃ、女子高通ってて、女友達少ないから・・・。」
狐塚舞知は少し好感を持った。
若い頃のウンナに似ており、とても面白い人だと思った。
男子校に通っていた狐塚舞知にとっては好都合だった。
狐塚舞知「いいよ。えっと・・・連絡先とか教えて欲しい。
一緒に遊びたいし、それに君のこともっと知りたいし。」
紅薔薇郁乃「めっちゃ嬉しい!
みぃの友達になってくれるん?」
狐塚舞知「うん・・・。」
紅薔薇郁乃「ありがとう!」
紅薔薇郁乃はそう言うと、かわいい笑みを狐塚舞知に投げる。
狐塚舞知は悪い気がしなかった。
日が経つうちに二人は仲良くなっていった。
狐塚夫妻が気づくのは時間の問題だった。
狐塚詩彩が買い物の帰り、狐塚舞知と紅薔薇郁乃が手を繋いで歩いているところを偶然見てしまう。
後をついて行ってみると、そこはホテル街で人気も少ない。
狐塚舞知と紅薔薇郁乃がキスをするところを目の当たりにした。
狐塚詩彩は腹を立て、その場から去った。
狐塚詩彩はそのことを恋に報告し、家族会議となった。
狐塚恋「あのなぁ、舞知、女と遊ぶのはいいが、立場をわきまえろ。」
狐塚舞知「俺が誰かと恋愛したっていいじゃねえか!」
狐塚恋「紅薔薇さんだっけか・・・。」
狐塚舞知「なんでそこまで調べてんだよ!」
狐塚詩彩「舞知!私はまともな女と付き合ってほしいの!」
狐塚舞知「まともな女じゃないっていうのかよ!」
狐塚詩彩「あのねぇ、紅薔薇さんを探偵に調べてもらったんだけど・・・他の男と浮気しているのを見たらしいわ。
舞知にはちゃんとした女の子と付き合ってほしいってママは思うの。」
狐塚恋「舞知にはちゃんとした男に育ってほしいんだ。」
狐塚舞知「別れろって言うのかよ・・・。」
狐塚詩彩「きっといい人見つかるから・・・。ごめん舞知・・・。」
狐塚詩彩は舞知を抱きしめて、頭を撫でた。
舞知は親の言うことを信じ、紅薔薇郁乃との連絡を絶ち切った。
舞知は自分の部屋に戻った。
狐塚恋「颯姉さんの策略に舞知を使われた。」
狐塚詩彩「舞知の心をもてあそぶなんて・・・酷いわっ!
アナタ・・・あの人をどうにかしないとっ!」
狐塚恋「ああ、分かっている。
探偵なんて嘘をついてしまった俺は最低な父親だな・・・。」
狐塚詩彩「いいの・・・いいの・・・私はアナタを許すわ。」
萎田芽論の葬式の後、会議が行われる。
皆は茫然としており、静かだった。
会議が行われる前に会議室にいたのは雲弧都呂々を除いた雲弧一家だった。
会議室の扉の前で戌亥雪野は息を潜めていた。
雲弧如津武利「おばあちゃんの子どもってお母さんとおじちゃんと、他にいるの?」
雲弧鰤太郎「如津武利。それを聞いてどうするんだ?」
雲弧如津武利「ごめん。」
雲弧颯「ゆるこさんと雪野さんよ。」
雲弧颯「おばあちゃんに好きな人がいたの。隠し子よ。その人とおばあちゃんの間に出来た子どもがゆるこさんと雪野さん。死んだおじいちゃんとおばあちゃんとの間に生まれたのがおじちゃんと私。」
雲弧如津武利「へえ!そうなんだ!」
雲弧颯「おじちゃんから教えてもらったの。まだ小さい頃の私には衝撃的だった。
私はおばあちゃんに隠し子がいるなんて思わなかったもの。
しかも、私が住んでいたお屋敷の使用人をしていたなんてね・・・。」
雲弧鰤太郎「お前っ!」
雲弧颯「これは私と如津武利の秘密よ。」
雲弧如津武利「はーい。」
その会話を聞いていた戌亥雪野はその場を立ち去った。




