第84話 チートスキル持ちは全滅して欲しい
「あれれぇ? もしかしてこのまま逃げられるなんて、思っていませんかぁ?」
ニッコリと
しかし、背筋がゾクリとする様な笑みを浮かべる
「へっ、こっちだって伊達に修羅場を潜ってきたわけじゃないんだーークラリっ」
そうだ、こっち(異世界)に来てからこんな場面は幾度となく切り抜けて来たじゃないか
俺には頼れる仲間がいるーーー
「任せてください、へっ」
レッドの前に回り込み魔眼を使おうとするも、盛大にずっこけるクラリ
「だぁぁぁぁっ、お前って奴は!」
そうだったぁあぁぁ、俺の仲間ってこんなんばっかだった
魔眼持ってても役立たずとか本当に終わっている
「ミール!」
すぐさま、思考を切り替え、指示を飛ばす
「いや、そんなこと言われても」
「えぇ…分かってましたよ、分かってましたとも 俺もね薄々だけどね…」
そう、こいつは獣がいないとなんもできないクソ魔物使いだった…
「もうお仕舞ですか?」
「ちょ、ちょっと待てっ」
こうなったら仕方が無い、このミニスロットをーーー
って、ない!?あれ・・・どこいった!?
確かに手に持っていたはずが、影も形も無くなっていた
「もしかして、もしかしなくてもぉ 探し物はこれですかぁ?」
レッドが手のひらに乗せるように持っているのは、間違いない、あんな形をしたものは
凶夜が持っていたミニスロットしかない
「お前、いつの間に…」
くっくっく、と口を手に当てて笑う
「まぁ、教えたところで何が変わるわけもないから良いでしょう、私はーーー神速というスキルを持っていましてね、これが便利で、人よりちょーっとばかし速く動くことが出来るんですよねぇ」
マジかよ、ここにきてチートスキルか?
何が「ちょーっと」だ、神速って神の速さって意味だぞ ラスボスクラスじゃねーか!
それに、そういうのは本来、俺の特権だろぉ
凶夜は涙を貯めながら心で叫んだ
(ほんと勘弁してくれぇっ!)
本当にこの世界は世知辛い




