第51話 ツルリからのキラリでよろしく
凶夜は考えていた
このままでは、納得のいかないまま処刑されてしまう
そもそもなんで、街を襲うかもしれないドラゴンを倒し、さらには世界を滅ぼしてしまうかもしれない魔王誕生を阻止したのに処刑されなきゃあかんのだ
理不尽極まりない
「被告人、何も言う事は無いのか? 無いなら無いでよいが」
裁判長であるライムが、凶夜の発言を急かす
その目は、あたかも凶夜が犯人であると決めつけている様だ
くそっ、早く裁判を終わらせたいオーラだしやがって
俺がこのへっぽこパーティで、ここまで来るのがどれだけ大変だったか知りもしないくせに
心中で悪態をつくが、ともかくここは話を進めなくてはならない
いいぜ、全部話してやる
「ーこれで全部だ、そもそも、ドラゴンを倒して被害を抑えただけでも表彰ものじゃ無いのか? それに黒幕はアプリコットだ、それはギルドにも確認して貰えば分かる」
ドラゴンの下りから魔王の下りまでいかに俺が苦労してきたから雄弁に語ってやった
途中、傍聴席からもドラゴンを個人が倒すなんて…と驚きや疑いの声が上がったが、ミールが黙らせてくれたのにはちょっと感動した
ルークがいないと無能とか、初級魔法製造機とか頭お花畑とか思っててごめんと、心の中で懺悔した
でもまぁ、確かに信じられないわな
スロットの部分は伏せてたし
だけど、魔王についてはギルドという社会的にも強い証人がいる
勝ったな、一時はどうなることかと
と、気を緩めたその時
「ソレニハ オヨビマセーン」
今まで黙っていたシ・ハイニンが割って入って来る
こいつ...
「まだ、こちらの発言は終わっていないはずだ」
「いや、発言を認める」
ライムがシ・ハイニンへ発言を促す
一瞬、シ・ハイニンの唇が緩んだ
まさかとは思うが、こいつら
グルなのか…?
「ショウニンヲ ヨビダシマース」
ツルリと丸まった自分の頭をペシっと叩いて、そう高らかに宣言した




